雨が降る日、君は見えない

るい

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お見舞い

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私は、体が弱い。学校も休みがち。

私が学校を休むと、隣の席のリョウくんがお見舞いに来てくれる。

学校のプリントを届けてくれるのは、1番仲のいいマルちゃんじゃなく、クラスで優しいサキちゃんでもじゃなく、隣の席のリョウくんだ。

リョウくんは、私の家には上がらない。
家の前の電柱の影に隠れ、私の部屋を除く。
私は、それを眺め、手を振る。
リョウくんも手を振り返してくれる。

私は、しばらく学校に行けなかった。
リョウくんは、毎日毎日プリントを届けてくれた。
帰り際、外から私の部屋を見つめ、手を振ってくれる。
リョウくんはとても優しい男の子。

私は雨が嫌い。
雨の日は、リョウくんの顔が見えない。
リョウくんはプリントを届けて、サッと帰る。
雨なんて、降らなければいいのになぁ。

私は、しばらくベッドから起きれなかった。
一日の大半を、ベッドで過ごす。
部屋の中は見飽きて、毎日暇だ。
夕方になると、またリョウくんが来てくれる。
学校が終わる時間が毎日の楽しみ。

ある日、リョウくんは1枚のお手紙をくれた。

「早く良くなって、一緒に学校へ行こう」

私は嬉しくて、嬉しくて、ベッドで飛び跳ねた。


でも、私は前よりももっと動けなくなった。
体を起こすことも、おトイレへ行くことも、1人じゃ出来なくなった。
プリントを届けてくれるリョウくんの姿を見ることも。

お母さんはその事を、リョウくんに伝えたらしい。
リョウくんは静かに
「わかりました」
と言って、帰ったみたい。

それから1週間、リョウくんは会いに来てくれなかった。
プリントはポストに入れてあるけど、リョウくんの姿は見えなかった。
リョウくんは、私の事もういいのかな。
一緒に学校へ行けないから、もう友達じゃないのかな。
毎日毎日、そんなことを考えていた。


ある日、リョウくんが久しぶりに家に来た。
珍しく家にあがり、私の部屋に来た。
リョウくんは黙って右手を出した。
リョウくんの右手には、折り紙でおったくしゃくしゃな鶴が1000匹、吊るされていた。
私は嬉しくて、思わず涙が出てきた。
お母さんも泣いていた。

「早く良くなって、一緒に学校へ行こう」

リョウくんはお手紙のセリフをそのまま言って、帰った。


それから1年、リョウくんはもう家に来なくなった。


かわりに、私がリョウくんの家まで迎えに行くの。
毎朝寝坊助のリョウくんを起こすため、早起きしてるの。


「リョウくん!学校行くよ!」

今日も一緒に学校へ行ってきます。
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