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エミーと雪の国の怪物
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この世界の、誰も知らない場所にこの国は存在しました。
一年中雪が降り続けるこの国は、周りは氷の海に囲まれ、外の世界の人々は誰一人近づくことができません。
小さなこの国では、10年ごとに行われるある風習がありました。それは、氷の海に住んでいる怪物に生贄を捧げるというものです。
怪物はこの国を支配しており、国の安泰と人々の平和を願って生贄を捧げ、怪物の怒りを鎮めるのです。
生贄となるのは、10歳の子供。
生贄は無作為に選ばれ、選ばれた子は海に身を投げ、怪物の元へと行かなければなりません。
そしてこの年、生贄を捧げる年が来ました。
今年生贄に選ばれた子供は、貧しい家の一人娘。
名前はエミー。
エミーのお父さんとお母さんは、エミーが生贄に選ばれてから、毎晩泣きました。
大事に育てた一人娘を生贄に捧げなければならないのです。
しかし、国の王様が決めたことなので、逆らうことは出来ません。
2人は泣く泣くエミーを差し出し、お別れをしました。
エミーも悲しみましたが、王様はエミーにこう言いました。
「この儀式で選ばれる子供はたった1人だ。誇りに思うといい」
エミーは王様の顔も見ず、小さく頷きました。
それから、お父さんとお母さんは元気がありませんでした。
エミーは2人を元気づけるため、ふざけてみたり、冗談を言ってみたりして笑わせようとしましたが、2人は笑いませんでした。
そのまま、生贄となる日が来ました。
「お父さん、お母さん、2人とも元気に過ごしてね。エミーはいつも笑うようにするよ」
お父さんとお母さんは泣きながらエミーを抱きしめました。
そうして、エミーは手足を縛られ、王様の命令で冷たい氷の海へと身を投げました。
「息ができない…とても冷たい…私死んじゃうのかな…やだなぁ…」
エミーは冷たい海の中で泣きました。
お父さんとお母さんの顔を思い浮かべ、エミーは静かに意識を失いました。
次にエミーが意識を取り戻したのは、体を包む暖かい感触があったからです。
全身に温もりを感じ、エミーはほっとしました。
しかし、冷たい海の中でこんなことがあるわけない。
エミーはすぐに違和感に気が付き、目を開けました。
すると、目の前には全身真っ白で、大きな体に雪が積もったかのような見たことも無い怪物がいました。
それこそが、この海にいると言われる怪物だったのです。
怪物はエミーを抱きしめ、海の中を泳ぎました。
エミーはまだ頭がぼんやりしていて、意識がはっきりしません。
怪物はエミーを連れて、住処まで泳ぎました。
怪物はエミーを離すと、エミーは怪物に聞きました。
「あなたが海の怪物?ここはどこ?私を助けてくれたの?」
「僕は海の怪物さ。ここは僕の家。エミーを助けたのも僕さ」
「どうして私の名前を知っているの?」
「当然知っているさ。まあ、散歩でもしようか」
怪物は泳ぎ始め、エミーに後をついてくるように言いました。
2人は海の中を泳ぎました。
海の中は輝きがいっぱいでした。
綺麗な鱗の魚や、見たことも無い貝殻、そして氷でできた小さなお城。
2人は楽しく泳ぎました。
「エミー。ここが気に入ったかい?」
「うん。とても気に入ったわ。けれど私…」
「なんだい?」
「私、お父さんとお母さんに会いたいわ。2人と離れ離れなんて寂しいもの」
「…そうかい。海の中をもっと見に行くかい?」
「ええ!行くわ!」
2人は泳ぎ続けました。
エミーは海の自然に触れていくうち、だんだん寂しさが無くなりました。次第にお父さんとお母さんのことも忘れ、海の怪物と楽しく過ごしました。
「エミー。ここはいい所だろう?」
「そうね。私ここが気に入ったわ」
「そうだろう。向こうに友達がいるから、エミーに紹介しよう」
「ええ!楽しみね!」
2人は海の奥まで行きました。
深く、深く、ずっと深いところまで行きました。
エミーは、もうお父さんとお母さんの顔を思い出すことはありませんでした。
それから、10年が経ちました。
エミーは海の住人となり、怪物たちと仲良く暮らしていました。
そして、海の上から1人の子供がやってきました。
エミーはその子供を連れ、海の中を泳ぎました。
綺麗な鱗の魚や、見たことも無い貝殻、そして氷でできた小さなお城。
エミーが初めて見た光景をその子にも見せてあげました。
すると突然、お父さんとお母さんに合いたいと、泣き始めました。
エミーは寂しさを紛らわせてあげるため、海の友達を紹介しました。
すると子供は、にっこりと笑って、楽しそうに過ごしていました。
その子は、もう、お父さんとお母さんのことは話さなくなりました。
それから、10年経つごとに子供が海にやって来ました。
エミーは子供たちを暖かく受けいれ、海の住人として迎え入れました。
数百年後、雪の国は無くなりました。
誰も入れなかったこの地に、外の人間が入り込みました。
新しい土地を広げようと、人々は雪の国を調べました。
すると、周りの海の中から、小さな子供たちがたくさん見つかりました。
子供たちはみんな幸せそうな顔をして、手を握って、息もせずに眠っていました。
一年中雪が降り続けるこの国は、周りは氷の海に囲まれ、外の世界の人々は誰一人近づくことができません。
小さなこの国では、10年ごとに行われるある風習がありました。それは、氷の海に住んでいる怪物に生贄を捧げるというものです。
怪物はこの国を支配しており、国の安泰と人々の平和を願って生贄を捧げ、怪物の怒りを鎮めるのです。
生贄となるのは、10歳の子供。
生贄は無作為に選ばれ、選ばれた子は海に身を投げ、怪物の元へと行かなければなりません。
そしてこの年、生贄を捧げる年が来ました。
今年生贄に選ばれた子供は、貧しい家の一人娘。
名前はエミー。
エミーのお父さんとお母さんは、エミーが生贄に選ばれてから、毎晩泣きました。
大事に育てた一人娘を生贄に捧げなければならないのです。
しかし、国の王様が決めたことなので、逆らうことは出来ません。
2人は泣く泣くエミーを差し出し、お別れをしました。
エミーも悲しみましたが、王様はエミーにこう言いました。
「この儀式で選ばれる子供はたった1人だ。誇りに思うといい」
エミーは王様の顔も見ず、小さく頷きました。
それから、お父さんとお母さんは元気がありませんでした。
エミーは2人を元気づけるため、ふざけてみたり、冗談を言ってみたりして笑わせようとしましたが、2人は笑いませんでした。
そのまま、生贄となる日が来ました。
「お父さん、お母さん、2人とも元気に過ごしてね。エミーはいつも笑うようにするよ」
お父さんとお母さんは泣きながらエミーを抱きしめました。
そうして、エミーは手足を縛られ、王様の命令で冷たい氷の海へと身を投げました。
「息ができない…とても冷たい…私死んじゃうのかな…やだなぁ…」
エミーは冷たい海の中で泣きました。
お父さんとお母さんの顔を思い浮かべ、エミーは静かに意識を失いました。
次にエミーが意識を取り戻したのは、体を包む暖かい感触があったからです。
全身に温もりを感じ、エミーはほっとしました。
しかし、冷たい海の中でこんなことがあるわけない。
エミーはすぐに違和感に気が付き、目を開けました。
すると、目の前には全身真っ白で、大きな体に雪が積もったかのような見たことも無い怪物がいました。
それこそが、この海にいると言われる怪物だったのです。
怪物はエミーを抱きしめ、海の中を泳ぎました。
エミーはまだ頭がぼんやりしていて、意識がはっきりしません。
怪物はエミーを連れて、住処まで泳ぎました。
怪物はエミーを離すと、エミーは怪物に聞きました。
「あなたが海の怪物?ここはどこ?私を助けてくれたの?」
「僕は海の怪物さ。ここは僕の家。エミーを助けたのも僕さ」
「どうして私の名前を知っているの?」
「当然知っているさ。まあ、散歩でもしようか」
怪物は泳ぎ始め、エミーに後をついてくるように言いました。
2人は海の中を泳ぎました。
海の中は輝きがいっぱいでした。
綺麗な鱗の魚や、見たことも無い貝殻、そして氷でできた小さなお城。
2人は楽しく泳ぎました。
「エミー。ここが気に入ったかい?」
「うん。とても気に入ったわ。けれど私…」
「なんだい?」
「私、お父さんとお母さんに会いたいわ。2人と離れ離れなんて寂しいもの」
「…そうかい。海の中をもっと見に行くかい?」
「ええ!行くわ!」
2人は泳ぎ続けました。
エミーは海の自然に触れていくうち、だんだん寂しさが無くなりました。次第にお父さんとお母さんのことも忘れ、海の怪物と楽しく過ごしました。
「エミー。ここはいい所だろう?」
「そうね。私ここが気に入ったわ」
「そうだろう。向こうに友達がいるから、エミーに紹介しよう」
「ええ!楽しみね!」
2人は海の奥まで行きました。
深く、深く、ずっと深いところまで行きました。
エミーは、もうお父さんとお母さんの顔を思い出すことはありませんでした。
それから、10年が経ちました。
エミーは海の住人となり、怪物たちと仲良く暮らしていました。
そして、海の上から1人の子供がやってきました。
エミーはその子供を連れ、海の中を泳ぎました。
綺麗な鱗の魚や、見たことも無い貝殻、そして氷でできた小さなお城。
エミーが初めて見た光景をその子にも見せてあげました。
すると突然、お父さんとお母さんに合いたいと、泣き始めました。
エミーは寂しさを紛らわせてあげるため、海の友達を紹介しました。
すると子供は、にっこりと笑って、楽しそうに過ごしていました。
その子は、もう、お父さんとお母さんのことは話さなくなりました。
それから、10年経つごとに子供が海にやって来ました。
エミーは子供たちを暖かく受けいれ、海の住人として迎え入れました。
数百年後、雪の国は無くなりました。
誰も入れなかったこの地に、外の人間が入り込みました。
新しい土地を広げようと、人々は雪の国を調べました。
すると、周りの海の中から、小さな子供たちがたくさん見つかりました。
子供たちはみんな幸せそうな顔をして、手を握って、息もせずに眠っていました。
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