【完結】竜王に嫁いだら、推しの半竜皇子の継母になりました〜冷酷な夫には興味ありませんが、闇落ち予定の皇子は私が全力で幸せにします!〜

せりもも

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L'épilogue 6

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 「謝ってほしいのだけど」
彼に背中を抱かれたまま横たわり、言った。
「わたしは、あなたの忍耐力を試したことなんて、一度もないわ」

 暖かい両手が、ぐいとわたしを引き寄せた。

「本当にそう思ってるの?」
「ええ」

「なら、言うよ。君のその目。信頼しきっている茶色の目はとてもチャーミングで、いつだって吸い込まれそうになる。それに、赤いふっくらした唇。思い出すだけで、噛みついてこじ開けて、味わいたくてたまらない」

 わたしは向きを変えて起き上がり、彼の唇にキスをした。瞑っていた目を開くと、たったひとつの銀色の瞳が、わたしをじっと見つめている。

 大胆すぎたかしら。
 にわかに恥ずかしくなって、そのまま、広い胸に顔を埋めた。

 低い声でバートラフは笑った。

「外見だけじゃない。君のその優しさ、勇気、決断力、無謀なほどの実行力……」
「褒めてるの?」
「当たり前じゃないか」

 抱きしめる両腕に力が込もった。

「君を傷つけるのが怖かった。だから、全力で自制してきた。キスひとつ、できなかった。一度触れたら、決壊して、全てを台無しにしてしまいそうで。なにより、僕は卑劣だった。父が君に一度も触れたことがないと知った時、今にも君を押し倒しそうだった」

 氷の城で、わたしは自ら、ワッツァに抱かれたことがないと自白してしまった。
 あの時のバートラフの驚いたような顔。

「貴方、呆れたんではないの?」

 だって彼は、「不遜だ」と言った。あれは、わたしに同情して、ワッツァを糾弾したのではなかったのか。夫に一度も顧みられることのなかったこのわたしに、呆れたのではなったか。

「違うよ。不遜なのは僕だ。僕は、どんな君でも愛しているつもりだった。愛し続けるつもりだった。けれど、君が父のものでなかったことを知って、心の底から嬉しかったんだ。君は僕だけのものだ。そう思えたから」

 なぜだろう。
 わたしは「物」なんかではない。でも、バートラフにそういわれたことが、とても嬉しい。

「もちろん君は、『物』なんかじゃない。でもやっぱり、僕のなんだ。僕一人の。……ごめんね、デジレ」
「謝らないで。嬉しいの」

肘をつき、バートラフが半身を起こした。

「大好き。君は驚くかもしれないけど、最初に一目見た瞬間から、君が大好きだった」
「わたしはそれ以前からだわ」

 腕を伸ばし、彼の首筋に絡める。
 だってわたしは、前世から、貴方のことが好きだったんだもの。

「僕が先だ」
「わたしよ」
 初めての言い争いは、雨あられと降ってくるバートラフのキスの中に消えてしまった。







⌒*⌒*⌒*⌒*⌒*⌒*⌒*⌒*⌒*⌒*⌒*

お読みいただき、ありがとうございました。
大賞ポイントをはじめ、ご感想も頂き、とても幸せな1ヶ月間でした。また、ハートマーク、動く栞、エール、とても励みになりました。
心より感謝申し上げます。ありがとうございました。


普段、私は、あまり人気にんきのない歴史小説を書いています。にもかかわらず、お読みくださる方々に感謝の気持ちを込めて、ここ数年、歴史の大賞の後に、「(私に描ける精いっぱいの)流行りの小説」をお贈りしています。(直近では「イヌキがスズメを……」がその一例です)

今年は、バートラフとデジレのちょっとしたエピソードを進呈したいと思っています。

「歴史・時代小説大賞」の後ですので、掲載は、7月頃になるかと存じます。

完結設定は致しますが、もしよろしかったら、その頃、お立ち寄り頂けますと嬉しいです。






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感想 10

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みんなの感想(10件)

柚木ゆず
2026.03.11 柚木ゆず

本日も、お邪魔しております。

一度拝読しているのでストーリーを(何が起きるのかを)知ってはいるのですが、それでも物語に引き込まれます。
それはやはり、皆さんが生きていらっしゃるからなのだと思います。
舞台装置的な意味でのキャラクターではなくて、それぞれの意思を持った人。ですから辛いことがあれば自分も辛くなりますし、嬉しいことがあれば自分も嬉しくなるんですよね。

改めて。
素敵な皆さんであり世界に出会えてよかったと感じておりまして。今後も覗かせていただきますね。

2026.03.11 せりもも

わあ、ありがとうございます! 読み返して頂いた上に、生きている、なんて、最上のご評価を頂きました。私には、もったいないくらいです。

書きたいものを描いてきた私ですが、読んで下さる方にも楽しんで頂きたいと思い、恋愛ジャンルに挑戦しました。例年のお礼小説にするつもりだったのですが、思いがけず長くなってしまい、また、ちょうど時期が重なったので、大賞に上げてみました。
それを、こんな風に読んで頂けるなんて! 私だけでなく、デジレやバートラフたちも、とても幸せです。

また、お立ち寄り下さる由、心よりお待ち申し上げています。
未来にまで続く、素晴らしい御縁を頂き、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

解除
柚木ゆず
2026.03.02 柚木ゆず

本日、最終話まで拝読しました。

改めて。素敵な世界であり素敵な皆様に触れる機会を与えてくださり、ありがとうございます。
本当にお二人は、色々なことがあって。傷付き、苦しみ、悩みながら、前へと進んでいきましたよね。
その先に、今がある。
今のお二人のお姿を見られて、幸せでございます……!

末永くお幸せに(仰られていたエピソードも、楽しみに待たせていただきますね)。

2026.03.02 せりもも

最後までお目通し頂き、感激です。

中世(近世?)ヨーロッパ風でありながら、和や中華の要素も取り入れ、混沌としてはいますが、恋愛王道に寄せるよう、精いっぱい努力しました。異世界転生にもトライできて、(うまくできているかどうかはさておき)一応の目的達成のつもりです。

おまけの企画は、エピローグのような感じで、私自身も楽しんでデジレたちと再会したいと思っています。

何度も応援頂いて、大変心強く、また、ご感想を通してやり取りして頂けて、とても嬉しかったです。
心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。

解除
柚木ゆず
2026.02.23 柚木ゆず

本日、エピローグの1話目まで拝読しました(タイトルが正しく打てず、このような形で説明をさせていただくこと、お許しください)。

あれからお会いできていなかったと知って。どうなるのかな? と気になっておりましたら、ラストでお姿が……!

このあと外出の予定がありまして、帰宅しだいすぐに続きを楽しませていただきますね……!

2026.02.23 せりもも

お忙しい折にも関わらず、ご感想を頂き、申し訳なくも、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

タイトルは、バートラフの全名に寄せて、フランス風にしてみました。お気を使わせてしまい、申し訳なかったです。

エピローグは、私の未熟さのせいでどうしても本編に組み込めなかった恋愛シーンを描いてみました。お時間に余裕をお持ちの時にでもお楽しみ頂ければ幸いです。

解除

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