魔王軍の幹部は鬼畜サイコパス勇者に監禁され狂愛をうける

あぐたまんづめ

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4.はじめての味

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「ンッ……んん……」

 少し口に含んだだけで、汗と苦みの混じった味が口内に広がった。

「はは…すっごい眉間にシワ寄ってる。どう? 初めての男の味は」

 勇者は私の髪を優しい手つきで梳きながら言った。

 サイアクだ、と口が自由なら言ってやりたい。が、そんな気を悟らせないよう冷静を装う。どんな反応もこの男を喜ばせるだけだと思ったからだ。

「ん、んぅ…ふぅ」
「怖がらないで大丈夫。そのまま、ゆっくりおいで」

 怖がる?私が貴様なんかに恐怖を抱くはずがないだろう。高見の見物を決めているのが、心底腹立たしい。
 その余裕を奪ってやりたい一心で、さらにペニスを咥えこむ。
 こんなに大口を開けたのは初めてで、顎が砕けそうだ。口からはだらしなくヨダレが垂れ、圧迫感で息が苦しい。

「――っは、やっば……きもち」
「んっぐ、んふぅ、ぅっ――」
「辛そう。でも上手にしゃぶれてるよ」

 エラのはった部分やペニスの裏筋を舌でがむしゃらに舐める。
 テクニックなどさっぱりだが刺激を与えれば、勇者は顔をさらに紅潮させ、快感に喘いだ。

「くっ……! 清純なあんたが、男の性器を貪るように咥えこんでいるだけで興奮するよ。もう神父辞めてこっち本業にしたら…――っ!」

 勇者の体がビクリとはねる。私が歯を立てたからだ。

「……冗談だって」

 殺意を込めてにらむと、彼は苦笑いを浮かべて言った。




 ――薄暗い部屋。食い散らかされたテーブル。その横で宿敵のペニスをくわえる私。室内の音は、じゅぽじゅぽという水音に加え、彼の喘ぎと私の呻きが重なる響きだけ。

 これ以上の悲劇などないだろう。最悪なシナリオだ。
 デスモンド様は言わずもがなアエローやゲーデリッヒには死んでも知られたくない。

「ん、んふ……ンン゛!?!」

 とつぜん勇者が立ち上がったかと思うと、後頭部をつかまれ、思いきり腰を打ちつけられた。
 衝撃でペニスが私の喉奥に突き刺さる。

「っ、ぅぶう!!!」

 彼は腰を小刻みに振り続ける。そのたびに口内の奥まで凶器同然の肉棒が当たり、嘔吐反射の苦しさで涙がにじむ。
 スイッチが入ったように豹変した勇者に、すっかり私のペースはかき乱された。

「うぅっ、んぶっ……ん゛ん゛ん゛! う、んぅ」
「あ、あ、出そうっ! オズワルド、中に出すぞ!」
「んぅ!? ン゛~~!!!」

 言葉のない抗議の声を上げるが、今の彼は性を発散させたいだけの獣と化しているので通用しない。
 いや、獣に失礼だ。もはや知能はゴブリン並だ。

「ッ、くぅ――――!」
「う゛む゛! うっぶ、う゛ン゛ン゛ン゛っ!!!」

 パンパンに精を蓄えた肉木にくぼくが、爆ぜた。
 ドロリと粘つく液体が口いっぱいにあふれ、咽頭に張りつく嫌悪感。加えて、呼吸困難で脳はブラックアウト寸前。
 肉体的にも精神的にも限界を迎え、意識を手放そうとした時、勇者の体が弛緩する。
 とっさに彼を突き飛ばし、必死で酸素を取り込んだ。

「うっぷ……ぅ、おえ゛え゛え゛!! ゲホッ――!!!」

 胃からせり上がってくる感覚に耐えられず、床に吐瀉物を吐いた。
 口元を拭った後、床に倒れた勇者に視線をやる。
 彼がわずかに唇を動かして発した言葉に、私は戦慄した。

「……足りない。もっとしたい。あんたを滅茶苦茶に犯したい……!」
「ひっ、ぃあ――――!」

 ゆらりと起き上がった勇者に床へと押し倒され、馬乗りにあう。
 錯乱状態なのか彼の瞳は焦点が定まっておらず、正気には見えない。

 ――まさか、睡眠薬でここまでの副作用が出るとは。

 後悔しても、もう遅い。
 とっさにガーターベルトに装備したナイフを取り出そうとする。が、動かそうとした両手はすぐさま顔の真横に縫いとめられた。どれだけ力を込めてもビクともしない。
 鍛えていない生身の私と、巨体オーガの親玉を討ち取った英雄――純粋な力比べで勝てるはずもなく。

「ゆ、勇者様! まって……落ち着いてください! い、いやっ……! 離せ!!!」

 涙目になりながら、というか半泣きで懇願する。
 抹殺計画など頭から抜けており、凌辱されるという恐怖だけが全身を支配していた。
 その時、押さえつけられていた力が弱まり――

「ん……急にねむ、け……が――」

 勇者は私の上に覆い被さるように事切れた。
 真横で聞こえる寝息に、ようやく睡眠薬が効いたのだと察する。
 頬に一筋の涙が伝い、安堵のため息がもれた。

「助かった……」

 起きあがる時に勇者の体を仰向けにする。
 下半身を露にし、間抜けな寝顔をさらす姿はひどく滑稽で、笑わずにはいられなかった。

「は…ははは! いいザマだな、勇者アラン! 貴様の命運もここまでだ!!!」

 先ほどまで最悪の気分だったのに、今は高揚している。こんなに笑ったのは久しぶりだ。
 ここまで耐えた甲斐があったというもの。勝利の女神は最後、私に微笑みかけたのだ。

 さあ、ここからクライマックスである。憐れな主役には凄惨なおもてなしをもって、舞台からご退場願おう。

 私はさっそく勇者の最後にふさわしい準備に取り掛かった。
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