シブシブ異世界!!

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来たよ。異世界。

チュートリアルだし!

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『どぉ? 萌香ちゃん♪ 異世界は♪』
 うふふと女神様。

 ――そ、それどころじゃ……!
 追い付かれ、また腕を掴まれそうになる萌香。掴まれないよう振り向き思いっきり手を振るが、バランスを崩し転倒してしまう。

「う、わっ! ツっーーー!」
 ズサーっと倒れ込む萌香。
 男はズシっと萌香の上に覆い被さる。
「よ~~、よー! 仲良くしよーぜー……なーあー、かわい子ちゃんよ~」
 走ったせいもあるが鼻息荒く、顔を近づけてくる。

 ――や、だ…… 怖い……ッ
 恐怖で身が竦む。するとまた先程の言葉が意図せず口から出る。
「も、萌え萌えボンバー…」

 ボンッ!

 今度は男の眉間辺りが爆ぜた。
 拳ひとつ分くらいの大きさであったが、男を引き剥がすには十分な威力であった。

「うっ!!」
 男はのけ反りひっくり返った。
 萌香は慌てて走り出す。

『萌香ちゃん♪ 萌香ちゃん♪』
 ――な……? な……!?
 また女神様の声が頭に響く。

『さて♪ 「チュートリアル」のお時間よ~!』
 ――え……? なー……?

『さて、先程の「萌え・萌え・ボ・ン・バー♪」ご覧の通りボンバー♪ よ♪』
 ――は、あー…… はぁー

 男から少しでも遠くへと、走り続けている萌香。
 ――もぅ、、、何が、、、なん、、、だ、、、か、、、
 息も絶え絶えだ。

『萌香ちゃん♪ 萌香ちゃん♪ もぉ止まって大丈夫よ♪』
 その言葉に足をゆっくりと止める萌香。頭を下げ膝に手を置き肩でハァハァと息をする。

 来た道を振り返り、男が来ていないかを確認する。
「ボンバー……。あぁ、ボンバー……。ボム……。爆弾……。爆発……。あぁ、呪文かぁ……」

『そそ♪ 呪文♪ じゅも~ん♪』

 手の甲で額の汗を拭う萌香。状況を整理しようと、先ずは呼吸を整えようとする。

『それでは萌香ちゃん! 適当な場所に視線をおいて♪』
 なんだ?と思いつつも「チュートリアル」と言っていたなと、言う通りに適当な場所に視線を向ける。

『そ。そしたら「萌え・萌え・ボ・ン・バー♪」リピートアフターミ~』
「萌え萌えボンバー……」

 ボンッ!

 視線を置いた場所に、先程よりも一回り小さめな感じで爆発が起こった。
「…………。 あー……。 なるほど……」
『あら♪ 早速理解したみたいね♪ さっきより理解が深まったところで、あ、ほら! また実戦よ~~♪』

 女神様の言葉にエ?となり、来た道を振り返ると、馬が何頭かこちらに向かって来ていた。月明かりで人が乗っているのもわかった。先頭はさっきの男だ。

 ――……!!!!
 ヒュっとなる萌香。

『ほらほら♪ 大変♪ 手篭めにされちゃう♪ 萌え萌えボンバー♪ 萌え萌えボンバー♪』

 ――視線を……。 ああ!そうか。 馬に乗ってるから移動が速い……。もっと手前を見て……。 あれ、もしかしてこの距離だと届かないとかってある!? 大きな声を出せば届くかな……。

 萌香はあたりを付け、大きな声を出す。
「萌え萌えボンバー!!!!」

 スウっと萌香の視線の先で、空気が集まるような風を感じ、刹那先程とは比べようが無いほどの大きな爆発音と閃光が走った。

「ンっ……!!!!!!」
 萌香は驚きその場に伏せる。爆風も治まりソロソロと目を開けると、テニスコート4面くらいの大きさが綺麗さっぱり更地となっていた。

「な……」
 ゆっくりと立ち上がり呆然とする萌香。
『そ、威力は声の大きさと比例するわね♪』

「え、えぇぇぇー……」
 それは先に言って欲しかったと、膝から崩れ落ちる。
 そしてまた更地に目をやる。

 サーっと血の気が引く。
 先程の男達の姿が見えない。イヤ……。自分が設定したのだから、爆破されているはずだ。だがまた転ばす程度でと考えていた。

「死んでたら、、、」
『あぁ。生きてるわよ』
 あっさりと女神様が答える。
『爆風で大分遠くに飛ばされたみたいね♪ もお安心よ♪』

 目を瞑り、少し顎を上げ、ため息をつく萌香。
「ああ、良かった……。生きてる……」
『あら~♪ 優しいのね♪』

「……。違う……。「人殺し」になりたくなかっただけ……」
『ふ、う~ン……』

 ――だけど、もしかしたら、いつかは……

『あ、そうそう!』
 突然の大声にビクッとする。そして目眩がした。
 ――あ、あれ……?
 ゆらりと膝をつく。目が霞み、音も遠くなってきたが、微かに馬の足音が聞こえてくる。

 女神様が何かを言っているようだが、脳内に直接の言葉も聞こえなくなってきた。
 ゆるりとその場に倒れ込む萌香。

 ――や、ばい……?

 薄っすらと消えゆく意識の中、眼前に馬の足が見えた。何とか確認しようと必死に目を開けるが、月明かりを背に、人と馬のシルエットのみが浮かび上がる。

 ――…… 逃げきれなかったのか、な……。ヤ、ダ…………テゴメ……。

 気力を振り絞ったが敵わず、萌香はその場に伏せ、微動だにしなくなってしまった。

 頭上の人物はヒラリと馬から降り、萌香の顔を確認する――。



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