8 / 9
来たよ。異世界。
賊だし!
しおりを挟む
――チン……。
見慣れぬ部品を眺め暫し呆然とする萌香。
――チン…………。
両の手で頬をパチンとはたく。
――よっし。落ち着け。落ち着けっ こーゆー時こそ落ち着け!
ふうぅぅーと長めに息を吐く。
――うん。そう。今アタシは男の子なんだね! うん。サイズ的にも男の子だね! 何でかっていうと異世界だからだね! ……。いや、抜けてたね! そう、なんか頭に浮かんだ言葉を口にしたよね!
「チト……」
おっと、と手で口を塞ぐ萌香。
――落ち着け……。落ち着け……。ちゃんと考えろ……。
もう一度声に出してみようかと思ったが危険ではないかと思い至る。
そもそもこの言葉が出てきたきっかけは……!?
『あー…… せめて男だったら……』
――そうだ……。確かに男だったらと願った。
――…………。 もしかして、、、呪文??
――これって、、、呪文なの!?
「えーっと……」
呪文であれば幾度も使用できるはず……。
「うっし……」
意を決した萌香は呟く。
「チトパイチトパイチンチンチン」
いい終わるやいなやポワンと煙に巻かれ、直ぐにシュワっと煙は消えた。
先程と同様、軽く宙に浮いた感じがし、身体がぞわっとした。
萌香は恐る恐る体を見渡す。
――ん。戻ってる……。
クルっと、元の制服と体つきを確認する。
そして再び呟く。
「チトパイチトパイチンチンチン」
再びポワンと煙に巻かれ、また少年の姿を現す。
クルクルーっと体つきを確認する。
「んーーー」
目を瞑り顔を上げる。
――なる、ほど! 呪文だわこれ! 呪文だ! 性転換の呪文だ!
カッと目を見開く。
――「チトパイチトパイチンチンチン」……。
思うだけでは作動しないようだ。
――なんで、こんななの……。変な、呪文……。
――………………。
「まぁ、ヨシっ! 夜道は危険だから、男の子でレッツラゴー!」
右手を掲げ気合いを入れ直し、道を突き進む。途中ズボンのポケットに何も入っていない事も確認し、チェッっとなる。
――……。…………。
「ふぅぅぅぅ」
またもや長めに息を吐く萌香。
――……もようしてきたよね。これ、もようしてきたよね……。 タチ、ション……。 まぁ大でなくて良かった……。……。 あ!紙も要らなくね!? うっはー! 男で大正解!!
揚々と用を足しに行く萌香。ちょっと月明かりで恥ずかしかったので、道からそれ木々の中へと移動する。
――こういうのは早く慣れる為にも勢いが大切……。いざ!!!!
――――――ふぅ。上手く出来たはず。手が洗えないのは仕方なし!!
さてと、元来た道に戻ろうとすると、パッと眼前が明るくなった。
――????
眩しさを遮ろうと手で顔を覆い、隙間から状況を窺う。
――や、やばい!? なになになにーーー!?
直ぐに光は落ち着き、目の前には屈強そうな男が立っていた。簡易な鎧のような武具を身につけており、手には松明のような物を手にしている。これが先程の光の元であろう。顔には切り傷があり、無精髭が見える。男は少し驚いていたようだが、直ぐにニターと萌香に笑いかける。
「よおーお、坊ちゃん。お散歩かい……」
男はニタニタと距離を詰めてくる。
――こ、これは……
初の異世界住人に遭遇となる萌香。冒険者かな?と、一瞬心踊ったが、男のニタリ顔で察知する。
――……どーみても、ならずものです! 賊です! 夜盗とか! 盗賊の類い!
この先を想像し、ゴクリと息を飲む萌香。だがハッとする。
――そ、そーだ! 『坊ちゃん』! そーです! 今、アタシ! 男!
これ以上寄るなといった意を込め、右手を前に伸ばし掌を向ける萌香。
瞬時に警戒する男。
「自分、お金、持ってないんで!」
キメ顔で言い放つ萌香。
男はポカンとしている。
「じゃ、そーゆーことで! お先でーす!」
いそいそ戻ろうとする萌香の腕を男がガシっと掴み上げる。
「いっ、たっ……!」
「あはは~ぁ、 坊ちゃん金がねーのかい…… そいつあー、てーへんだ~」
男は顔を近づけ酒臭い息を吐く。
「くっさ!」
その言葉に触発されたのか男は萌香の頬をベロリと舐め上げる。
――なっ……!
突然の事に固まる萌香。
男は口を塞ぐように顔を向けてくる。
――ッッッッッッッ!!!!
力いっぱい跳ね除ける萌香。
少ししゃがんだのが良かったのであろう、男から離れる事が出来た。
「くッ……!!」
思いっきり走り出すが、男も追いかけてくる。
――な、な、なん、なの もー! なんなのーーーー!!!
『萌え・萌え・ボ・ン・バー♪』
頭に声が響く。
「え? 萌え萌えボンバー?」
ゼイゼイと息をしながら萌香が復唱すると、
視線の先で、頭一つ分くらいの規模がボンッと弾け、光りと煙が暗がりにいっとき広がった。
「うっわ! なになになにー!?」
ヒョイっと爆ぜたあたりを避け、走り続ける萌香。
『聞こえますか……。今……、貴方の脳内に……、直接、語りかけています……』
「は、あ~!?」
脳内に響く声に、思わず声が出る萌香。
――あれ……。この声……!!
脳内の声は堪えきれなかったようで、うふふと含み笑いをもらす。
――や、やっぱり! あんた!! 女神様でしょ!!!!
『あ、は~♪ だっい、せい、か~~い! パンパカパカ~ン♪ 女神ちゃんでした!』
――ナー?
何でと!?色々聞きたい萌香だが、それどころではない。
男が背後に迫ってきているのだ――
見慣れぬ部品を眺め暫し呆然とする萌香。
――チン…………。
両の手で頬をパチンとはたく。
――よっし。落ち着け。落ち着けっ こーゆー時こそ落ち着け!
ふうぅぅーと長めに息を吐く。
――うん。そう。今アタシは男の子なんだね! うん。サイズ的にも男の子だね! 何でかっていうと異世界だからだね! ……。いや、抜けてたね! そう、なんか頭に浮かんだ言葉を口にしたよね!
「チト……」
おっと、と手で口を塞ぐ萌香。
――落ち着け……。落ち着け……。ちゃんと考えろ……。
もう一度声に出してみようかと思ったが危険ではないかと思い至る。
そもそもこの言葉が出てきたきっかけは……!?
『あー…… せめて男だったら……』
――そうだ……。確かに男だったらと願った。
――…………。 もしかして、、、呪文??
――これって、、、呪文なの!?
「えーっと……」
呪文であれば幾度も使用できるはず……。
「うっし……」
意を決した萌香は呟く。
「チトパイチトパイチンチンチン」
いい終わるやいなやポワンと煙に巻かれ、直ぐにシュワっと煙は消えた。
先程と同様、軽く宙に浮いた感じがし、身体がぞわっとした。
萌香は恐る恐る体を見渡す。
――ん。戻ってる……。
クルっと、元の制服と体つきを確認する。
そして再び呟く。
「チトパイチトパイチンチンチン」
再びポワンと煙に巻かれ、また少年の姿を現す。
クルクルーっと体つきを確認する。
「んーーー」
目を瞑り顔を上げる。
――なる、ほど! 呪文だわこれ! 呪文だ! 性転換の呪文だ!
カッと目を見開く。
――「チトパイチトパイチンチンチン」……。
思うだけでは作動しないようだ。
――なんで、こんななの……。変な、呪文……。
――………………。
「まぁ、ヨシっ! 夜道は危険だから、男の子でレッツラゴー!」
右手を掲げ気合いを入れ直し、道を突き進む。途中ズボンのポケットに何も入っていない事も確認し、チェッっとなる。
――……。…………。
「ふぅぅぅぅ」
またもや長めに息を吐く萌香。
――……もようしてきたよね。これ、もようしてきたよね……。 タチ、ション……。 まぁ大でなくて良かった……。……。 あ!紙も要らなくね!? うっはー! 男で大正解!!
揚々と用を足しに行く萌香。ちょっと月明かりで恥ずかしかったので、道からそれ木々の中へと移動する。
――こういうのは早く慣れる為にも勢いが大切……。いざ!!!!
――――――ふぅ。上手く出来たはず。手が洗えないのは仕方なし!!
さてと、元来た道に戻ろうとすると、パッと眼前が明るくなった。
――????
眩しさを遮ろうと手で顔を覆い、隙間から状況を窺う。
――や、やばい!? なになになにーーー!?
直ぐに光は落ち着き、目の前には屈強そうな男が立っていた。簡易な鎧のような武具を身につけており、手には松明のような物を手にしている。これが先程の光の元であろう。顔には切り傷があり、無精髭が見える。男は少し驚いていたようだが、直ぐにニターと萌香に笑いかける。
「よおーお、坊ちゃん。お散歩かい……」
男はニタニタと距離を詰めてくる。
――こ、これは……
初の異世界住人に遭遇となる萌香。冒険者かな?と、一瞬心踊ったが、男のニタリ顔で察知する。
――……どーみても、ならずものです! 賊です! 夜盗とか! 盗賊の類い!
この先を想像し、ゴクリと息を飲む萌香。だがハッとする。
――そ、そーだ! 『坊ちゃん』! そーです! 今、アタシ! 男!
これ以上寄るなといった意を込め、右手を前に伸ばし掌を向ける萌香。
瞬時に警戒する男。
「自分、お金、持ってないんで!」
キメ顔で言い放つ萌香。
男はポカンとしている。
「じゃ、そーゆーことで! お先でーす!」
いそいそ戻ろうとする萌香の腕を男がガシっと掴み上げる。
「いっ、たっ……!」
「あはは~ぁ、 坊ちゃん金がねーのかい…… そいつあー、てーへんだ~」
男は顔を近づけ酒臭い息を吐く。
「くっさ!」
その言葉に触発されたのか男は萌香の頬をベロリと舐め上げる。
――なっ……!
突然の事に固まる萌香。
男は口を塞ぐように顔を向けてくる。
――ッッッッッッッ!!!!
力いっぱい跳ね除ける萌香。
少ししゃがんだのが良かったのであろう、男から離れる事が出来た。
「くッ……!!」
思いっきり走り出すが、男も追いかけてくる。
――な、な、なん、なの もー! なんなのーーーー!!!
『萌え・萌え・ボ・ン・バー♪』
頭に声が響く。
「え? 萌え萌えボンバー?」
ゼイゼイと息をしながら萌香が復唱すると、
視線の先で、頭一つ分くらいの規模がボンッと弾け、光りと煙が暗がりにいっとき広がった。
「うっわ! なになになにー!?」
ヒョイっと爆ぜたあたりを避け、走り続ける萌香。
『聞こえますか……。今……、貴方の脳内に……、直接、語りかけています……』
「は、あ~!?」
脳内に響く声に、思わず声が出る萌香。
――あれ……。この声……!!
脳内の声は堪えきれなかったようで、うふふと含み笑いをもらす。
――や、やっぱり! あんた!! 女神様でしょ!!!!
『あ、は~♪ だっい、せい、か~~い! パンパカパカ~ン♪ 女神ちゃんでした!』
――ナー?
何でと!?色々聞きたい萌香だが、それどころではない。
男が背後に迫ってきているのだ――
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
暗算参謀は王国を追放される――戦わずして勝ち続けた男の失脚譚――
まさき
ファンタジー
現代日本から異世界へ転生した主人公。
彼に与えられた唯一の能力は、瞬時にあらゆる数値を弾き出す「暗算」だった。
剣も魔法も使えない。
だが確率と戦略を読み解くことで、王国の戦を幾度も勝利へ導いていく。
やがて王国の戦略顧問として絶大な信頼を得るが、
完璧すぎる功績は貴族の嫉妬を招き、巧妙な罠により不正の罪を着せられてしまう。
証明できぬ潔白。
国の安定を優先した王の裁定。
そして彼は、王国を追放される。
それでも彼は怒らない。
数字は嘘をつかないと知っているからだ。
戦わずして勝ち続けた参謀が、国を去るその日までを描く、
知略と静かな誇りの異世界戦略譚。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、生命を懸けて鬩ぎ合い、幾度も涙を流す旅路の中で自分の在り方を探す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※基本週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開中(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる