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第1章:ちょろいヤンキーは幼馴染みが苦手?
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しおりを挟む「悠雨! あ、あのさ……」
「ん、どした?」
「来月、バスケの試合に出られることになったんだ。だからその……見に来てくれると嬉しい……」
「試合出んのか! すげえな! 絶対見に行くからそんときはシュート決めろよ!」
そう言えば、奏十は照れくさそうに笑った。
「お前が見に来てくれるなら、できそうな気がするよ」
さっき奏十と別れた先輩がこちらをチラチラと見ていたので、軽く会釈して奏十と別れた。
冬牙はすでに車に乗っていて、俺も車に近づくと御上さんが降りてきてドアを開けてくれた。
「待たせて悪かったな」
後部座席に座り、シートベルトをつけたところで、いきなり冬牙の顔がドアップになった。整った顔があまりにも近くて、思わず目を逸らす。
「な、何だよ……」
「悠雨は本当、人たらしだよな」
「は、は!? 意味わかんねえし! つか、お前にだけは言われたくねえ!」
冬牙がどんどん近づいてくるせいで、俺は後部座席とドアの隅に身を縮める。
「天然? それともそこまで全部わざと?」
耳元で囁かれた瞬間、ぼっと火が出るかと思うくらい、一気に顔が熱くなった。
「冬牙様、発車いたしますので、シートベルトをおつけください」
運転席の御上さんがそう言うと、冬牙は大人しく体勢を戻し、シートベルトをつけた。
今年で五十歳になるとは思えないほど若々しい御上さんと、ミラー越しに目が合う。御上さんは優しさの塊みたいな笑顔を浮かべていた。
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