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作家になるために
しおりを挟む「「一位 作家 二位 公務員 三位 サッカー選手」」
唐突に表れた数字。これは、小学生のなりたい職業ランキングの最新版。
現代の風刺と言わんばかりの職業選択だが、一つ異質なものが存在する。
そう、作家だ
この職業が毎年のように名を連ねるのには理由がある。
ある時、金を余らすほど稼いでいた作家がいた。
その人は、次世代の小説家を多く増やしたいと考え。
学校を設立。
名は、春風文学学校。誰もが、正気じゃないと鼻で笑った。
しかし、学校に入ったもの全員が作家デビューと破格の年収を手にする。
誰もが羨むほどの成功を遂げた。
その話は瞬く間に広がり、多種に渡る文学学校の設立、競争が行われた。
そうして徐々に成長し作家は安定して高収入を得られる職業というイメージが定着したのである
僕こと、江口 文也もその夢に魅せられ、紆余曲折ありながらも最も有名で難関な高校、春風文学学校に入学することが出来たのだ。
出来たのだ……が。
「私にNスポーツで負けた場合は、退学。いいわね」
「……」
どうしてこんなことに……。
時は一時間前に戻る。
入学式が終わり、春の風が教室に満ちる。
そんな新入生ばかりで、皆がテンションをあげている中、僕は血液がなくなってしまった屍のような表情で机に倒れこむ。
「部活に入れない……」
この御時勢全員が全員、入るだけで成功するわけではない。
もちろん実力がいる。
その指標として存在しているのが、部活だ。
この学校では、文芸部が50部屋もある。
そんなにあるのだ、一つぐらい掠ってもと思っていた。
だが、現実は小説よりも厳しく、酸っぱい。
「まさか、全ての部室にお断りを入れられるとは……」
肺の全てを吐き出し、全身から力と魂が抜けるのを感じる。
27部室目からは、顔を見るだけで帰ってくれと言われる始末だ。
どんだけ情報が回るのが早いんだよ……。
「あら、あなたまだ部活に入ってないの?」
机を壁にしていたから、聞こえていないと思っていたが。
声が大きかったのだろう、隣の女性がこちらを見つめる。
隣の机の女子が驚くようにこちらを見つめていた。
気品溢れる金髪に小さなツインテール。ぱちりとした大きな瞳。
手には、本が握られており髪型に似合わず落ち着きのある正確だと悟る。
僕は、そんな甘いものに甘いものを混ぜた様なかわいらしい姿に見覚えがあった。
「君は……学園長の」
「そうよ」
彼女は、溜めるようにゆっくりと自己紹介を行った。
「私は、学園長の娘。春風 月夜よ、よろしく」
やっぱり。ここに来る前パンフレットで見たことがあった。
最高の環境、最高の家庭教師に育てられた天才。
僕には、地面から大気圏ぐらいまでの手が届かない相手だった。
「僕は、江口 文也。いろいろあってここに来られたんだけど、よろしく」
「江口……文也?」
月夜の眉が、ピクリと揺れた。さっそく人の逆鱗にでも触れてしまったのだろうか。
「う、うん。そうだけど……」
「い、一日で第四十七文芸部までたらい回しにされたっていうあの?」
初対面からとんでもないことを……。
かわいらしい外見なのに、言葉は信じられない程に鋭利だ。
「そ、そうだけど……」
と、顔を引きつらせそうになるのを堪え答えようとした矢先。
「迷惑です」
「え……」
僕の困惑に、一切動じることなく話を続ける。
「ここは春風文学高校。その知名度は知っているでしょう? なのに初日から全部室から断られるなんて……」
「う、うぐ……」
僕の呟きを、彼女は人権なんて無いとばかりに遮る。
「そんな人間がここにいても迷惑! この学校は素晴らしい作品を書ける人間しかいらないのよ!」
「め……迷惑?」
一応自分の作品に、自信を持っている。それを馬鹿にされて、黙っているほど人間は出来ていない。
「そんなに、いうなら僕より上だって証明してくださいよ! そこまで言われて黙って……」
「証明してあげますよ」
しずかな声色が、僕の話を遮る。
にやりとする笑みは、どこか僕の心の奥をくすぐられる物があった。
「そう、Nスポーツでね!」
「え、Nスポーツ?」
僕の巣頓狂な金切り声を他所に、やり取り見ていた他の生徒がざわつく。
「まさか……あれをやるというのか……」
「まじかよ……ゴクリ」
「や、やべーじゃん……やべぇ、のか」
お前らも知らないのかよ!
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