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過去の話
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世界で何千何万とある事故の一つに過ぎない、ただの事故だったと思う。
その一つは、当時の俺に酷く衝撃を与えた。立ち直れなくなる程に。
桜の花びらが舞う中、赤い飛沫が目の前で散った。
彼女は、俺の友達だった。
そして、俺の好きだった人でもあった。
出会いは、非常にシンプルだった。
高校の時、土方のアルバイトをしていた時、少し失敗してしまい入院する事になった。
幸い骨折で済んだが、体の事なんてどうでもいいくらいルームメイトに気が向いていた。
俺はそれなりに、女性への関心があり普通だと思っている。
でも、前のベットに入る幼い患者に心を惹かれてしまった。
心惹かれる、紅い髪。
吸い込まれそうになる程、綺麗な瞳。
どこを取っても素敵で、 何度も何度も自分を否定した。
したけど、否定するたびに強くなる想いに、自分ながら呆れてしまった。
「い、いい天気......ですね」
気がつけば声をかけていた。
やばい、捕まるっ。
自分でも咄嗟の行動だったので身構えてしまう。
しかし、その様子を見た彼女は、
「ふふっ。前からお見かけしてましたよ」
上品に笑って愛想よくしてくれた。
そこからは、楽しい記憶しかなかった。
今だって脳裏に焼きついた感動と、笑顔は忘れない。
ある日、彼女の退院が決まり、祝いとして桜を見に行く事になった。
彼女は笑顔で、俺も笑っていた。
桜が綺麗に見える公園まで、あと少しのところで、信号を待っていた。
赤から、青に変わるのを。
ここまでは、どこだってある普通の光景。
ここからは、一生に残る最悪の光景。
青に変わった途端、意気揚々と歩く彼女を止めることなく見つめていた。
突如、世界は暗転、いや。
真っ赤に染まった。
なにがなんだかわからなくなった。
そこにある赤いものは彼女なのかそれとも違うものなのか。
トラックの運転手は、真っ青な顔で逃げ去った。
後で分かった事だがその犯人はちゃんと捕まったらしい。が、彼女が帰ってくる事は無い。
先ほどまで残っていた手のぬくもりに意識を集中し、現実から逃避する。
気がつけば、家で泣いていたような気がする。
結局、その子の親と会う事もなくその病院を去って行くことにした。
そこから、他人と触れることが苦手になった。
また、壊れてしまうと思ったから。
結局、学校も辞めた。
する事もなく今まで、家に引きこもっていたが、親に無理やり専門学校に行かされることになった。
一人暮らしにも挑戦する事になった。
そこで、とんでもない事になったのだが。
「ど、う、し、た、んですか!」
「うおぉう! あぁ......悪い」
そうか、こいつと遊びに行く途中だったか。
何故か、不意に過去の事が蘇ってしまった。
いかんな、もっと明るくならなきゃ。
顔を上げた時、肩に衝撃を感じた。
「あぁ、すまない」
白衣を着た女性とぶつかってしまう。
「あ......すみま......せん」
途切れ途切れだが、しっかり言えた。
「健さん、キモイよ」
「酷いなっ!」
最近、彼女が冷たい気がする。
「ふふっ仲が良くて何よりだよ」
「え?」
その声は、白衣の人から発せられたと思った。
だが、振り向いても白衣の人はいなかった。
「あれ? 猫さん、ここに居た人知らない?」
「......知らないにゃ」
なんとも含みのある物言いだった。
「知ってる、でしょ?」
「あー! あー! 知らない、知らないにゃ! とっとと、遊びに行くにゃ!」
「お、おう......」
なんとも言えない勢いに押され、そのまま流される。
まぁ、いいか。
「まずは動物園に行こうか」
「わかったにゃ!」
その一つは、当時の俺に酷く衝撃を与えた。立ち直れなくなる程に。
桜の花びらが舞う中、赤い飛沫が目の前で散った。
彼女は、俺の友達だった。
そして、俺の好きだった人でもあった。
出会いは、非常にシンプルだった。
高校の時、土方のアルバイトをしていた時、少し失敗してしまい入院する事になった。
幸い骨折で済んだが、体の事なんてどうでもいいくらいルームメイトに気が向いていた。
俺はそれなりに、女性への関心があり普通だと思っている。
でも、前のベットに入る幼い患者に心を惹かれてしまった。
心惹かれる、紅い髪。
吸い込まれそうになる程、綺麗な瞳。
どこを取っても素敵で、 何度も何度も自分を否定した。
したけど、否定するたびに強くなる想いに、自分ながら呆れてしまった。
「い、いい天気......ですね」
気がつけば声をかけていた。
やばい、捕まるっ。
自分でも咄嗟の行動だったので身構えてしまう。
しかし、その様子を見た彼女は、
「ふふっ。前からお見かけしてましたよ」
上品に笑って愛想よくしてくれた。
そこからは、楽しい記憶しかなかった。
今だって脳裏に焼きついた感動と、笑顔は忘れない。
ある日、彼女の退院が決まり、祝いとして桜を見に行く事になった。
彼女は笑顔で、俺も笑っていた。
桜が綺麗に見える公園まで、あと少しのところで、信号を待っていた。
赤から、青に変わるのを。
ここまでは、どこだってある普通の光景。
ここからは、一生に残る最悪の光景。
青に変わった途端、意気揚々と歩く彼女を止めることなく見つめていた。
突如、世界は暗転、いや。
真っ赤に染まった。
なにがなんだかわからなくなった。
そこにある赤いものは彼女なのかそれとも違うものなのか。
トラックの運転手は、真っ青な顔で逃げ去った。
後で分かった事だがその犯人はちゃんと捕まったらしい。が、彼女が帰ってくる事は無い。
先ほどまで残っていた手のぬくもりに意識を集中し、現実から逃避する。
気がつけば、家で泣いていたような気がする。
結局、その子の親と会う事もなくその病院を去って行くことにした。
そこから、他人と触れることが苦手になった。
また、壊れてしまうと思ったから。
結局、学校も辞めた。
する事もなく今まで、家に引きこもっていたが、親に無理やり専門学校に行かされることになった。
一人暮らしにも挑戦する事になった。
そこで、とんでもない事になったのだが。
「ど、う、し、た、んですか!」
「うおぉう! あぁ......悪い」
そうか、こいつと遊びに行く途中だったか。
何故か、不意に過去の事が蘇ってしまった。
いかんな、もっと明るくならなきゃ。
顔を上げた時、肩に衝撃を感じた。
「あぁ、すまない」
白衣を着た女性とぶつかってしまう。
「あ......すみま......せん」
途切れ途切れだが、しっかり言えた。
「健さん、キモイよ」
「酷いなっ!」
最近、彼女が冷たい気がする。
「ふふっ仲が良くて何よりだよ」
「え?」
その声は、白衣の人から発せられたと思った。
だが、振り向いても白衣の人はいなかった。
「あれ? 猫さん、ここに居た人知らない?」
「......知らないにゃ」
なんとも含みのある物言いだった。
「知ってる、でしょ?」
「あー! あー! 知らない、知らないにゃ! とっとと、遊びに行くにゃ!」
「お、おう......」
なんとも言えない勢いに押され、そのまま流される。
まぁ、いいか。
「まずは動物園に行こうか」
「わかったにゃ!」
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