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幕間
リルの一人暮らし
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リル・ストレンジャー、18歳!
ストレンジャー男爵家の三女です!
現在、彼氏募集中!!
三女って微妙ですよね~。お父様は男の子が欲しかったそうで、とっても頑張ったと言ってました。
残念ながら私が生まれて女の子だって分かった瞬間「もう一回やり直しだ!!」と叫んでお母様に殴られたそうです。
そのあと念願の弟が生まれ、ストレンジャー男爵家も安泰だ。とは行かなかったのですよね。
なんせ、女の子が3人。全て嫁に出すとしたら持参金で破産してしまいます。
幸い私は寄り親のマルクス伯爵家の伝でクリスティーン侯爵家でのお仕事が決まったのですが、なんと言ってもあのクリスティーン侯爵家ですよ!
クリスティーン侯爵はバルド王国現宰相様、嫡男様は第一騎士団の副団長様!
そしてお嬢様は王太子殿下の婚約者!!
バルド王国の推しも押されぬ大貴族です!
クリスティーン侯爵家でのお仕事は、もちろん、お嬢様であるディアナ様の侍女!と言うこともなく、下っ端のメイドですけどね。
クリスティーン侯爵家は使用人の数も多くて、ディアナ様の侍女も優秀で高位貴族の娘さんなんかが何人もいたから、私みたいな教育もされてないようなのは侍女にはなれないのです。
まあ、それでもクリスティーン侯爵家の方たちは結構気さくなのか、裏庭でこっそり本を読んでいる時に、ディアナ様に見つかって声をかけられたのがディアナ様との出会いです。
読み書きの練習にって、先輩のメイドが貸してくれたボロボロの恋愛小説。こんなの貴族のお嬢様が読むようなのじゃないんだけど、本の内容とか、感想とか、他のメイドとかも読むのかって、色々話を聞いてくれて、すごい優しい人だなーって!
そのあと、クリスティーン侯爵家に使用人も読んでいい本棚っていうのができて、流行りの小説とか、あ、獣人族とかエルフとかの伝説の本も読めて、楽しみが増えたーってみんなで喜んだんです。
あの頃、ディアナ様に「貴女のお陰でいい方法が思いついたわ。ありがとう。」って言われたんですよね。なんだったんだろう??
そんなお優しいディアナ様がカヒル国に輿入れすると聞いた時、そりゃあもう、みんなびっくりしましたよ。
カヒル国なんて名前しか知らないし、相手はカヒル国の軍の高官なのに、貴族でもない人だっていうじゃないですか!
で、ディアナ様について行く侍女を選んだんだけど、バルド王国の王都から遠く離れた国、というだけでみんな辞退しちゃったみたい。
そうだよね、本当なら王太子殿下の妃として王宮に上がるはずだったのに、勿論侍女だって未来の王妃付きってステータスが有れば良いところに縁付けるって野望があるわけなのですよ。
だから、もしかしたら私でも行けるかなーってダメ元で侯爵にお願いしてみたら、見事ディアナ様の侍女に選ばれたのです!!!
「で、そのリルちゃんがどうして一人暮らしの家を探すわけ?」
アイスティーの氷をカラカラさせているのは、タイラー邸で一緒に働いているテリアさんです。
ハウスキーパーのプロで、掃除も洗濯もすごい早いです。料理の腕もすごくて、最近クリスティーン侯爵家のお仕着せがキツくなった気がして仕方ないです。
そんなテリアさんから最もな質問をされました。
そう、私はディアナ様の侍女として、タイラー邸にお部屋をもらってます。
クリスティーン侯爵家みたいに使用人部屋はないので、ゲストルームの一つを使わせてもらってますが、その部屋は近い将来子供部屋になるのではないでしょうか。
「なんか、新婚夫婦の邪魔をしているみたいな気になっちゃって…」
タイラー邸はこの辺では豪邸なのですが、テリアさんと二人なら洗濯、掃除、食事の用意など、家事はすぐに終わってしまう。
例えば、貴族の奥方様の侍女ならお茶会や夜会などの社交に加え、領地や屋敷の管理などの家政の手伝いなどがあるのですが、今のディアナ様には必要ないのです。
ディアナ様はどういうわけか軍の施設で働いているので…。
「侯爵様は戻ってきても、侯爵家で働かせてくれると言うのだけど、私、カヒル国で働いていたいかな~って。」
「働くってハウスキーパーをするって事?」
テリアさんは嬉しそうに言ってくれるけど、私はあまり家事が上手ではないみたい。
テリアさんは流石にプロというだけあって、完璧だけど、私にできる気がしない……。
「多分ハウスキーパーじゃ稼げないと思う。
カヒルは魔道具もいろんな種類があるし、何か自分にできる事がないかなって思って。
それになんといっても、女性が一人暮らししても変な目で見られないのがすごいと思うの!!
だから挑戦してみたい、かな。」
バルド王国では女性が働くと言ったら貴族邸の使用人か家庭教師しかないのです。商家や農家に嫁げば家業の手伝いがあるけど、基本的に家で家事をして、子どもを育てるだけなのです。
甘い考えかもしれないけど、お洒落な洋服屋さんやカフェとかで働いてみたい!
「奥様はなんて言ってるの?賛成してる?」
「『リルが一人暮らしをするなんて、興味深いわ。』って。」
「奥様らしい!」
テリアさんが手を叩いて笑っています。
ディアナ様は、一人暮らししても家のことを手伝って欲しいと、リルがやりたい事を見つけるまででいいからね、と言ってくれます。
「じゃあ早速部屋を探しに行こう!」
「はい。」
バルドゥル様がディアナ様のために見つけた、あの可愛い家も素敵だけど、自分だけの部屋を見つけると思うとワクワクします。
リル18歳!
初めての一人暮らしに挑戦です!!
ストレンジャー男爵家の三女です!
現在、彼氏募集中!!
三女って微妙ですよね~。お父様は男の子が欲しかったそうで、とっても頑張ったと言ってました。
残念ながら私が生まれて女の子だって分かった瞬間「もう一回やり直しだ!!」と叫んでお母様に殴られたそうです。
そのあと念願の弟が生まれ、ストレンジャー男爵家も安泰だ。とは行かなかったのですよね。
なんせ、女の子が3人。全て嫁に出すとしたら持参金で破産してしまいます。
幸い私は寄り親のマルクス伯爵家の伝でクリスティーン侯爵家でのお仕事が決まったのですが、なんと言ってもあのクリスティーン侯爵家ですよ!
クリスティーン侯爵はバルド王国現宰相様、嫡男様は第一騎士団の副団長様!
そしてお嬢様は王太子殿下の婚約者!!
バルド王国の推しも押されぬ大貴族です!
クリスティーン侯爵家でのお仕事は、もちろん、お嬢様であるディアナ様の侍女!と言うこともなく、下っ端のメイドですけどね。
クリスティーン侯爵家は使用人の数も多くて、ディアナ様の侍女も優秀で高位貴族の娘さんなんかが何人もいたから、私みたいな教育もされてないようなのは侍女にはなれないのです。
まあ、それでもクリスティーン侯爵家の方たちは結構気さくなのか、裏庭でこっそり本を読んでいる時に、ディアナ様に見つかって声をかけられたのがディアナ様との出会いです。
読み書きの練習にって、先輩のメイドが貸してくれたボロボロの恋愛小説。こんなの貴族のお嬢様が読むようなのじゃないんだけど、本の内容とか、感想とか、他のメイドとかも読むのかって、色々話を聞いてくれて、すごい優しい人だなーって!
そのあと、クリスティーン侯爵家に使用人も読んでいい本棚っていうのができて、流行りの小説とか、あ、獣人族とかエルフとかの伝説の本も読めて、楽しみが増えたーってみんなで喜んだんです。
あの頃、ディアナ様に「貴女のお陰でいい方法が思いついたわ。ありがとう。」って言われたんですよね。なんだったんだろう??
そんなお優しいディアナ様がカヒル国に輿入れすると聞いた時、そりゃあもう、みんなびっくりしましたよ。
カヒル国なんて名前しか知らないし、相手はカヒル国の軍の高官なのに、貴族でもない人だっていうじゃないですか!
で、ディアナ様について行く侍女を選んだんだけど、バルド王国の王都から遠く離れた国、というだけでみんな辞退しちゃったみたい。
そうだよね、本当なら王太子殿下の妃として王宮に上がるはずだったのに、勿論侍女だって未来の王妃付きってステータスが有れば良いところに縁付けるって野望があるわけなのですよ。
だから、もしかしたら私でも行けるかなーってダメ元で侯爵にお願いしてみたら、見事ディアナ様の侍女に選ばれたのです!!!
「で、そのリルちゃんがどうして一人暮らしの家を探すわけ?」
アイスティーの氷をカラカラさせているのは、タイラー邸で一緒に働いているテリアさんです。
ハウスキーパーのプロで、掃除も洗濯もすごい早いです。料理の腕もすごくて、最近クリスティーン侯爵家のお仕着せがキツくなった気がして仕方ないです。
そんなテリアさんから最もな質問をされました。
そう、私はディアナ様の侍女として、タイラー邸にお部屋をもらってます。
クリスティーン侯爵家みたいに使用人部屋はないので、ゲストルームの一つを使わせてもらってますが、その部屋は近い将来子供部屋になるのではないでしょうか。
「なんか、新婚夫婦の邪魔をしているみたいな気になっちゃって…」
タイラー邸はこの辺では豪邸なのですが、テリアさんと二人なら洗濯、掃除、食事の用意など、家事はすぐに終わってしまう。
例えば、貴族の奥方様の侍女ならお茶会や夜会などの社交に加え、領地や屋敷の管理などの家政の手伝いなどがあるのですが、今のディアナ様には必要ないのです。
ディアナ様はどういうわけか軍の施設で働いているので…。
「侯爵様は戻ってきても、侯爵家で働かせてくれると言うのだけど、私、カヒル国で働いていたいかな~って。」
「働くってハウスキーパーをするって事?」
テリアさんは嬉しそうに言ってくれるけど、私はあまり家事が上手ではないみたい。
テリアさんは流石にプロというだけあって、完璧だけど、私にできる気がしない……。
「多分ハウスキーパーじゃ稼げないと思う。
カヒルは魔道具もいろんな種類があるし、何か自分にできる事がないかなって思って。
それになんといっても、女性が一人暮らししても変な目で見られないのがすごいと思うの!!
だから挑戦してみたい、かな。」
バルド王国では女性が働くと言ったら貴族邸の使用人か家庭教師しかないのです。商家や農家に嫁げば家業の手伝いがあるけど、基本的に家で家事をして、子どもを育てるだけなのです。
甘い考えかもしれないけど、お洒落な洋服屋さんやカフェとかで働いてみたい!
「奥様はなんて言ってるの?賛成してる?」
「『リルが一人暮らしをするなんて、興味深いわ。』って。」
「奥様らしい!」
テリアさんが手を叩いて笑っています。
ディアナ様は、一人暮らししても家のことを手伝って欲しいと、リルがやりたい事を見つけるまででいいからね、と言ってくれます。
「じゃあ早速部屋を探しに行こう!」
「はい。」
バルドゥル様がディアナ様のために見つけた、あの可愛い家も素敵だけど、自分だけの部屋を見つけると思うとワクワクします。
リル18歳!
初めての一人暮らしに挑戦です!!
応援ありがとうございます!
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