劇作家のタマゴは物語のような恋を妄想する

ぽよよん

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友人ですかぁ

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「え~!あれってわたしとマクシミリアン殿下がモデルじゃないの?」

 鍛錬場でミーシャさんと遭遇して、何故かミーシャさんに押し切られるようにカフェのテラス席に連行されたワタシは先日の学園祭の劇の話を根掘り葉掘り聞かれることになった。
 意外なことにミーシャさんはあの劇を観てくれたのだという。しかも2回も!!

「身分差に悩む悲劇の恋人たち!恋人たちを引き裂き、ヒロインを虐める悪役令嬢!まさに私たちのことだと思ったんだけどなぁ。」

 うん、なかなかに図々しいぞ。第二王子殿下はラクシュエル様の婚約者なんだから、ミーシャさんの恋人ではない!はずだよね?

「あのお話はフィクションです。特定の人物、団体とは一切関係はございません。」
「フィクションて何?」
「さあ?」

 モデルはいるのかと誰かに聞かれたらそう答えるようにってラクシュエル様が言っていたけど、よく分からない言葉で煙に巻けってことだったのね。
 ミーシャさんがキョトンとしてるわ。
 うーん、キョトンとしている顔も可愛い。庇護欲っていうんだったかな。ちょっと窄めたプルプルの唇と、つぶらな瞳で見上げられちゃうと、少々図々しいのは許してしまうかもしれない。


「ミーシャさんと第二王子殿下は恋仲なのですよね?」

「まだよ!」

 一応、確認のため聞いてみた。
 むすっとした顔も可愛らしい。

 どうやら第二王子殿下は婚約者がいるのに、他に目移りするようなことはできないらしい。意外と真面目~!!
 ミーシャさんが粉をかけても乗ってこないと、ぶつぶつ言っている。
 ミーシャさんは生徒会役員なので大体、第二王子殿下のそばにいる。あんなに四六時中一緒にいるのだから、ワタシはてっきりミーシャさんは第二王子殿下の愛じ…ゲフンゲフン、恋人だと思っていた。

「ミーシャさんは第二王子殿下のどんな所が好きなんですか?」

「そうね~なんといっても、見た目が好みなの!逞しいところも、あの神秘的な紫の瞳も素敵!それに優しいのよ!!」

 優しいか…。ワタシは、第二王子殿下がラクシュエル様に怒鳴っているとこしか見たことないから想像しづらいな。
 でも第二王子殿下の周りにはミーシャさんだけでなく、財務卿閣下の息子さんとか、近衛軍の隊長の息子さんとか、結構な人材が揃っていて、第二王子殿下を慕っているみたいだから、イイヒトなのかね?

「やっぱり、フランもマクシミリアン殿下狙いなのね!」

「いやいや、違うって!このメモはそういうんじゃないから!」

 うっかりいつもの調子でミーシャさんの「マクシミリアン殿下のいいところ15選」をメモってしまった。
 ていうかワタシのことは既に呼び捨てですか⁉︎
 ミーシャさんて他人ひととの距離感近くないですか⁉︎

「そんなに必死にマクシミリアン殿下のことを調べるなんて、絶対マクシミリアン殿下のこと狙ってる!」

「だから、違うって、メモこれは趣味みたいなもので」

「だってあんな素敵な方だもん。他の男なんて目じゃないわ!まあ、フランがマクシミリアン殿下のことを好きでも譲らないわよ!」

 こんなところで、おっきい声でマクシミリアン殿下が好きなんて言わないで!!誰が聞いているか分からないのに!!!!
 キョロキョロ見回すと、変な時間のせいか声が聞こえる範囲には誰もいない。

「ワタシ!第二王子殿下じゃなくて、ちゃんと他に好きな人がいるの!!」

「誰っ?」

 食いつき早っ!!

「あー!!わかった!あの人でしょ!あの王子様役やっていた、なんだっけ……」

「えっっ!!ダイアン?っ違うよっっ!!」

「じゃあ、もう一人のイケメン!ほら、ウィル。違うな…」

「もしかしてリグリー?」

「あー、そうそう。そんな名前!そういえばよ~く一緒にいるよね。」

 うふふって。

「違うって!あの二人はただのクラスメイト!特別な感情はないんだから!!」

 誤解のないようにいっておかないと!あの二人は人気急上昇中だから、変な噂でも流れたら……ガクブル。

「え~。じゃあ誰なの?ねえねえ!教えて~。」

 くっ!目を合わせないようにしているのに、しつこい!!ミーシャさん、まるで井戸端会議のおばちゃんみたいだわっ!ニコニコしながら絶対食い付いたら離れないのよね。よくお母さんが困ってたわ。

 奮闘虚しく、数分後にはミーシャさんに根掘り葉掘り聞かれることになりました…トホホ。


 
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