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よん
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前略
子どもが産まれました。
名前はルドルフ・カイエン
愛称はルディ。男の子です。
髪色は亜麻色。
瞳は青灰色。
是非とも洗礼式にはお越しください。
かしこ
「こう言ってはなんだが、よく言って報告書だね。」
「義父様には猫の子の血統書と言われましたわ。」
2ヶ月前に内容証明で出した手紙を見ながら、ラリー先生がなんともしょっぱいお顔をされています。
でも、他に書きようがなかったのですよね。内容証明は控えを2通も書かなくてはなりませんし、公証人に内容を確認していただくので、あまり込み入った内容は書けません。
「それでもカイエン子爵は領地に来なかったわけだね。」
「ええ。」
面白いように夫の有責事項が増えていきます。
だからといって何かするわけではないのですが、万が一、夫から言い掛かりをつけられた時のための証拠は残しておいた方がいいのでしょう。
洗礼式にはわたくしの両親リシュタット伯爵夫妻と弟。ライテール伯爵夫妻と夫のお兄様夫妻。そして、なんと辺境伯ギレン・ドルトイル様がいらして下さいました。
このカイエン子爵領はリシュタット、ライテールに挟まれていますが、南側はドルトイル領に接しているのです。と言ってもドルトイル領は広大ですので、少しばかり接しているだけのカイエン領とはあまり交流はなかったのです。
しかし、これからは違います。
実はカイエン領の特産品は木炭で、主にリシュタット領とライテール領の燃料を賄ってきました。
なので、前カイエン子爵が事情により爵位を返上する際に、その両家はカイエン領地の管理者に名乗りをあげ一時期険悪になりかけました。
わたくしのお爺様が当主をしていた頃の話です。
辺境伯領に近い領主同士が争っていることを良しとしなかった王家が、共同統治を王命で決めたのです。そして、両家の話し合いにより、両家の血筋を汲むわたくしと夫の子どもが将来的にカイエン子爵となることが決定したわけです。
ですが、時代は変わりつつあります。
燃料もだんだん木炭から変わってきています。
わたくしは木炭を作る時にできる木炭クズを肥料にすることで、新しい農業の可能性を考えました。
開発した肥料は、この地方の農作物と相性が良かったようで、じわじわと売り上げを伸ばしていましたが、ドルトイル領のテンサイという作物とは特に相性が良かったみたいです。
作付けが年々増えていると、ドルトイル辺境伯からお褒めの言葉をいただき、それからというものこのカイエン子爵領を気にかけて下さいます。
わざわざルディの洗礼式まで来ていただけるなんて、ルディとカイエン領の将来は明るいですわ。
あと気がかりなのは、夫のことですわね。
洗礼式にも来ない、連絡しても返事もないなんて。
洗礼式の前にお義父様に、夫に送った手紙を全てお見せしたのですが、確認するとだけおっしゃってそのままになっています。
今日は訪問のお手紙を頂いていますので、もうすぐいらっしゃると思うのですが。
「奥様、ライテール伯爵夫妻がいらっしゃいました。応接室にお通ししております。」
お母様に躾けられたメイドは素晴らしいですね。
わたくしも子爵夫人となったのですから、使用人を育てられるようにならなくてはいけませんよね。
「奥様、リシュタット伯爵夫妻がお見えですが、応接室にお通ししてもよろしいでしょうか?」
「え?お父様とお母様が?」
応接室にはお父様とお母様、そしてお義父様とお義母様がお揃いです。
四人のお顔が強張っているように見えて、嫌な予感がしますわ。
一通り挨拶を交わすと、お義父様が一枚の書類を机の上に出しました。
「単刀直入に言おう。
この離婚届に署名してほしい。」
「え?」
冗談ですよね?
お父様とお母様を見ますと、二人とも難しい顔をしているけど、止める様子はありません。ということは二人とも了承済み?
子どもが産まれました。
名前はルドルフ・カイエン
愛称はルディ。男の子です。
髪色は亜麻色。
瞳は青灰色。
是非とも洗礼式にはお越しください。
かしこ
「こう言ってはなんだが、よく言って報告書だね。」
「義父様には猫の子の血統書と言われましたわ。」
2ヶ月前に内容証明で出した手紙を見ながら、ラリー先生がなんともしょっぱいお顔をされています。
でも、他に書きようがなかったのですよね。内容証明は控えを2通も書かなくてはなりませんし、公証人に内容を確認していただくので、あまり込み入った内容は書けません。
「それでもカイエン子爵は領地に来なかったわけだね。」
「ええ。」
面白いように夫の有責事項が増えていきます。
だからといって何かするわけではないのですが、万が一、夫から言い掛かりをつけられた時のための証拠は残しておいた方がいいのでしょう。
洗礼式にはわたくしの両親リシュタット伯爵夫妻と弟。ライテール伯爵夫妻と夫のお兄様夫妻。そして、なんと辺境伯ギレン・ドルトイル様がいらして下さいました。
このカイエン子爵領はリシュタット、ライテールに挟まれていますが、南側はドルトイル領に接しているのです。と言ってもドルトイル領は広大ですので、少しばかり接しているだけのカイエン領とはあまり交流はなかったのです。
しかし、これからは違います。
実はカイエン領の特産品は木炭で、主にリシュタット領とライテール領の燃料を賄ってきました。
なので、前カイエン子爵が事情により爵位を返上する際に、その両家はカイエン領地の管理者に名乗りをあげ一時期険悪になりかけました。
わたくしのお爺様が当主をしていた頃の話です。
辺境伯領に近い領主同士が争っていることを良しとしなかった王家が、共同統治を王命で決めたのです。そして、両家の話し合いにより、両家の血筋を汲むわたくしと夫の子どもが将来的にカイエン子爵となることが決定したわけです。
ですが、時代は変わりつつあります。
燃料もだんだん木炭から変わってきています。
わたくしは木炭を作る時にできる木炭クズを肥料にすることで、新しい農業の可能性を考えました。
開発した肥料は、この地方の農作物と相性が良かったようで、じわじわと売り上げを伸ばしていましたが、ドルトイル領のテンサイという作物とは特に相性が良かったみたいです。
作付けが年々増えていると、ドルトイル辺境伯からお褒めの言葉をいただき、それからというものこのカイエン子爵領を気にかけて下さいます。
わざわざルディの洗礼式まで来ていただけるなんて、ルディとカイエン領の将来は明るいですわ。
あと気がかりなのは、夫のことですわね。
洗礼式にも来ない、連絡しても返事もないなんて。
洗礼式の前にお義父様に、夫に送った手紙を全てお見せしたのですが、確認するとだけおっしゃってそのままになっています。
今日は訪問のお手紙を頂いていますので、もうすぐいらっしゃると思うのですが。
「奥様、ライテール伯爵夫妻がいらっしゃいました。応接室にお通ししております。」
お母様に躾けられたメイドは素晴らしいですね。
わたくしも子爵夫人となったのですから、使用人を育てられるようにならなくてはいけませんよね。
「奥様、リシュタット伯爵夫妻がお見えですが、応接室にお通ししてもよろしいでしょうか?」
「え?お父様とお母様が?」
応接室にはお父様とお母様、そしてお義父様とお義母様がお揃いです。
四人のお顔が強張っているように見えて、嫌な予感がしますわ。
一通り挨拶を交わすと、お義父様が一枚の書類を机の上に出しました。
「単刀直入に言おう。
この離婚届に署名してほしい。」
「え?」
冗談ですよね?
お父様とお母様を見ますと、二人とも難しい顔をしているけど、止める様子はありません。ということは二人とも了承済み?
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