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第三.五話:夢と現実の狭間とカレー
3.5-4:カレー和平(1)
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ランチタイムもディナータイムも、今日のカレーフェアは大忙しだった。
皆いくつになってもカレーは大好物に変わりはない。どちらが人気とかの優劣なく、カレーは両方完売しそうな勢いで大好評のまま今日の営業を終えたのだった。
実に驚異的な売れ行きだったらしい。
ジェドさんもアインさんも、カレーを作る手を緩めることができず、ひっきりなしに追加用のカレーの準備をしていた。
あまりの大繁盛っぷりに、閉店時間が近くなるころには流石に二人ともへとへとになってしまったようだ。
『CLOSED』の看板を出すなり、二人してテーブルに突っ伏してしまった。
「つ、つ、つかれたぁぁー……」
「流石に堪えました……余はもう動けません……」
アインさんも、ジェドさんも、普段の優雅さはどこかに消えて、ぐでぐでとテーブルに顔を付けたまま呻いている。
ジェドさんは今日掃除当番の筈だ。明日も絶対忙しいだろうから、掃除は代わりにやっておこうと僕は思った。
「二人ともお疲れ様でした。……はい、仕事終わりのコーヒーです」
僕とヴィクターは淹れたてのコーヒーを二人の前にそっと置く。
「ありがとう、きょっぴー」
よろりと起き上がったアインさんが、おもむろにコーヒーを手に取って一口二口、口にする。
「あー、染み渡る……」
「それ、なんか老人みたいですよ」
思わず口をついて出た僕の突っ込みに、思わずアインさんがむせる。
「ははは、本当だね。参ったな」
「冗談です、冗談」
あまり気にさせてはいけないので、慌てて僕はそう言っておいた。……もしかして、気にするだろうか。
「まあでも、気が遠くなるくらい生きてるわけだから、あながち間違ってもないですよね」
言わなくていいのに、ジェドさんがすかさず傷を抉る。いつの間にか姿勢を直して、すまし顔でコーヒーを飲んでいる。
「いやいや、それを言ったらジェド。君だって同じだろう」
苦笑いしながら、アインさんが反論を試みた。確かに、ジェドさんも元ミイラならきっとアインさんとは比べ物にならないくらいの時間を生きているに違いない。
まさに、『人の事言えた義理じゃない』という訳だ。
「ちょいーーーーっス!」
突然勢いよく扉が開いて僕たちは驚く。入ってきたのは勿論エミリオさんだ。手には何やらこんもりと山になった何かを持っている。
こんな陽気に入ってくる人、エミリオさんの他に居る訳がない。
「エミリオ、どうしたんだい?」
アインさんが驚いてエミリオさんの方を見る。
エミリオさんが普段パンを届けに来るのは大概開店前の時間と、ランチタイムとディナータイムの間が多いから、この時間に来るのは結構珍しい事だ。
「やー、おたく今日からカレーフェアなんやて? 外に行列出来てたからすぐわかったわ!」
そう。今日は行列が出来るほどの大盛況だったのだ。
普段少しの順番待ちになることはあれど、ここまで行列が出来たのは僕が来てからは初めての事だった。
「はは、御免。もしかしてお客さんの行列邪魔になってたかな?」
「いやいや! ちゃうねん! 大盛況でなによりやーってことや!」
苦情かと思ってアインさんは謝ったけれど、エミリオさんはどうやら茶化しに来ただけらしい。
「そうそう! そんでな! これ!」
そう言うと山のように何かが積まれたお皿をテーブルの上に置いた。
「これ!」
それは見るからにカレーパンだった。
「カレーフェアやからな! 差し入れや! 昼食べる暇もなかったんちゃうか?」
実際本当に大盛況で、合間の時間にお昼を食べることができたのは僕とヴィクターだけだった。ジェドさんもアインさんも、さっきのコーヒーがようやく口に入れたものだったのだ。
「参ったなあ……流石、お見通しだね」
照れ笑いしながらアインさんは肩を竦めた。
「この時間からは、ワイらだけのカレーフェアや! 派手にいこか!」
ゲラゲラと豪快に笑いながらエミリオさんも椅子に座る。
僕とヴィクターは顔を見合わせた後で、
「追加のコーヒー持ってきます!」
慌ててエミリオさんの為のコーヒーを取りに厨房へと向かったのだった。
皆いくつになってもカレーは大好物に変わりはない。どちらが人気とかの優劣なく、カレーは両方完売しそうな勢いで大好評のまま今日の営業を終えたのだった。
実に驚異的な売れ行きだったらしい。
ジェドさんもアインさんも、カレーを作る手を緩めることができず、ひっきりなしに追加用のカレーの準備をしていた。
あまりの大繁盛っぷりに、閉店時間が近くなるころには流石に二人ともへとへとになってしまったようだ。
『CLOSED』の看板を出すなり、二人してテーブルに突っ伏してしまった。
「つ、つ、つかれたぁぁー……」
「流石に堪えました……余はもう動けません……」
アインさんも、ジェドさんも、普段の優雅さはどこかに消えて、ぐでぐでとテーブルに顔を付けたまま呻いている。
ジェドさんは今日掃除当番の筈だ。明日も絶対忙しいだろうから、掃除は代わりにやっておこうと僕は思った。
「二人ともお疲れ様でした。……はい、仕事終わりのコーヒーです」
僕とヴィクターは淹れたてのコーヒーを二人の前にそっと置く。
「ありがとう、きょっぴー」
よろりと起き上がったアインさんが、おもむろにコーヒーを手に取って一口二口、口にする。
「あー、染み渡る……」
「それ、なんか老人みたいですよ」
思わず口をついて出た僕の突っ込みに、思わずアインさんがむせる。
「ははは、本当だね。参ったな」
「冗談です、冗談」
あまり気にさせてはいけないので、慌てて僕はそう言っておいた。……もしかして、気にするだろうか。
「まあでも、気が遠くなるくらい生きてるわけだから、あながち間違ってもないですよね」
言わなくていいのに、ジェドさんがすかさず傷を抉る。いつの間にか姿勢を直して、すまし顔でコーヒーを飲んでいる。
「いやいや、それを言ったらジェド。君だって同じだろう」
苦笑いしながら、アインさんが反論を試みた。確かに、ジェドさんも元ミイラならきっとアインさんとは比べ物にならないくらいの時間を生きているに違いない。
まさに、『人の事言えた義理じゃない』という訳だ。
「ちょいーーーーっス!」
突然勢いよく扉が開いて僕たちは驚く。入ってきたのは勿論エミリオさんだ。手には何やらこんもりと山になった何かを持っている。
こんな陽気に入ってくる人、エミリオさんの他に居る訳がない。
「エミリオ、どうしたんだい?」
アインさんが驚いてエミリオさんの方を見る。
エミリオさんが普段パンを届けに来るのは大概開店前の時間と、ランチタイムとディナータイムの間が多いから、この時間に来るのは結構珍しい事だ。
「やー、おたく今日からカレーフェアなんやて? 外に行列出来てたからすぐわかったわ!」
そう。今日は行列が出来るほどの大盛況だったのだ。
普段少しの順番待ちになることはあれど、ここまで行列が出来たのは僕が来てからは初めての事だった。
「はは、御免。もしかしてお客さんの行列邪魔になってたかな?」
「いやいや! ちゃうねん! 大盛況でなによりやーってことや!」
苦情かと思ってアインさんは謝ったけれど、エミリオさんはどうやら茶化しに来ただけらしい。
「そうそう! そんでな! これ!」
そう言うと山のように何かが積まれたお皿をテーブルの上に置いた。
「これ!」
それは見るからにカレーパンだった。
「カレーフェアやからな! 差し入れや! 昼食べる暇もなかったんちゃうか?」
実際本当に大盛況で、合間の時間にお昼を食べることができたのは僕とヴィクターだけだった。ジェドさんもアインさんも、さっきのコーヒーがようやく口に入れたものだったのだ。
「参ったなあ……流石、お見通しだね」
照れ笑いしながらアインさんは肩を竦めた。
「この時間からは、ワイらだけのカレーフェアや! 派手にいこか!」
ゲラゲラと豪快に笑いながらエミリオさんも椅子に座る。
僕とヴィクターは顔を見合わせた後で、
「追加のコーヒー持ってきます!」
慌ててエミリオさんの為のコーヒーを取りに厨房へと向かったのだった。
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