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第33話 別れ
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翌日、俺達【フルーレティ】は【ブレイザー】の宿泊している宿に赴き、エルテウス達に協力する旨を伝えた。
「ありがとう。君達なら必ず協力をしてくれると思っていたよ」
エルテウスは諸手を挙げて歓迎の言葉を述べる。
どうせ俺達の事は妖精に監視させているはずなので、俺達が出した結論は知っているだろうに、白々しい限りだ。
俺達冒険者は魔獣を討伐し、民の安寧を守るのが主な仕事だ。
もし王国が国崩級モンスターの存在に関与しているのならば捨て置く事はできない。
俺とマリーニャは、宿を後にした時には既にエルテウスに協力をする方向で考えが纏まっていた。
プリンとシズハナも、困惑しつつもエルテウス達への協力に同意する。
唯一の懸念材料はルッテだった。
ほぼ絶縁状態とはいえ、彼女は王国に仕える伯爵家の一人娘だ。
その父ハーゲン・アンドレアルフス・ムールも今回の件に関与している可能性は充分に考えられた。
最悪の場合、父と娘が真っ向から対立する事になる。
しかし、ルッテはそれを笑って否定する。
「お父様が関係しているとは考えられませんわ。ああ見えて、民衆の事は大切にしていらっしゃいましたもの。それにニャラルト公爵やホーロウ侯爵とはむしろ政敵の関係でしたわ。もしオーリンがニャラルト公爵と繋がっている事を知っていたら、私の婿になさろうとは考えなかったはずですわ」
こうして全員一致でエルテウスの企てに協力する事が決まった。
「それで、俺達は何をすればいい?」
「ああ、協力してもらいたい事は主に二つだ」
エルテウスは計画を記したノートを開き、順を追って説明を始める。
まずはニャラルト公爵とホーロウ侯爵の屋敷への潜入捜査だ。
彼らの屋敷には厳重に鍵を掛けられた扉がある事は妖精の調査で判明しているが、その奥に何があるのかまでは分かっていない。
妖精は物質をすり抜ける事は出来ないので、盗賊職や忍者職の冒険者が直接扉を開けて内部を調べる必要がある。
【ブレイザー】のメンバーは戦闘に特化した構成だ。
該当するスキルを所持した仲間はいない。
既に【殺人猫】のメンバーにニャラルト公爵の屋敷への潜入調査を要請したという。
つまり、残るホーロウ侯爵の屋敷への潜入捜査を俺達に任せたいというのだ。
そして、もう一つは、各ギルドに貼り出された依頼書の確認だ。
主な対象は王国の貴族達が依頼主のクエストで、その内容を吟味して欲しいという。
特に以前【ヘルクレス】が受けた様な怪しいアイテムの回収クエストは押さえておきたいとの事だ。
先回りして彼らの手に渡る前にそのアイテムを入手する事が理想的だ。
但しこれにはもっと人手が必要の為、協力者が増え次第、順次要請をしていくそうだ。
「じゃあホーロウ侯爵の屋敷へは私が行く」
潜入捜査に名乗りを上げたのはシズハナだ。
「一人で大丈夫か?」
「平気。私なら隠密スキルで警備兵が何人いようと誰にも見つからずに潜入できる」
【フルーレティ】で探知スキルと隠密スキルを習得しているのはシズハナだけだ。
俺達がついていったら逆に足手まといになるだけだろう。
ホーロウ侯爵の屋敷への潜入捜査はシズハナに一任する事にした。
そうなると、俺を含めた他の仲間は依頼書の確認の役目を受け持つ事になる。
「話は纏まった様だな。それで、我々との連絡方法についてだが───」
「妖精を使うんですね。いるんでしょう?」
「やはり気づいていたか、さすがマリーニャ君だ。話が早い。よし、シャミィ、リーン出てこい」
「はいはーい」
エルテウスが合図をすると、マリーニャの髪の中から一匹、さらにスカートの中からもう一匹の妖精が出てきた。
「こ、こんなところに隠れていたなんて……!?」
マリーニャは顔を赤らめてスカートを押さえる。
妖精は万物に宿る精霊を具現化したものだ。シズハナの探知スキルにも引っ掛からない。
これならば敵にも見つかる可能性はない。
スパイとしてこれ程理想的な存在はないだろう。
「シャミィはこのままマリーニャ君に、リーンはシズハナ君についていてくれ。何かあったらすぐに連絡を寄こすんだ」
「りょーかいっ」
「リーンにおまかせだよっ!」
シャミィは再びマリーニャの髪の中に潜り、リーンはシズハナの装束の腰帯の中に隠れる。
「妖精はテレパシーで遠隔での会話ができる。君達も私に伝えたい事があったら妖精を通して連絡してくれ。私も何かあれば連絡をさせてもらうよ」
「分かりました」
「それでは【フルーレティ】の皆さん、宜しく頼むよ」
俺達はエルテウス達と綿密な打ち合わせを行った後、宿を後にした。
「シズハナ、絶対に無茶はしないでね。危ないと感じたらすぐに屋敷から出るんですよ」
「大丈夫。私は絶対に見つかったりしないし、いざとなったら逃げる事には自信がある」
シズハナは自信満々にそう言うと懐から煙幕弾や撒菱を取り出す。
諜報活動については俺達よりも忍者であるシズハナの方がプロフェッショナルだ。
これ以上俺達が口出しをする事もないだろう。
俺達は王都ギルティアの外れまで来たところでシズハナと別れ、クリムドへ向かった。
「ありがとう。君達なら必ず協力をしてくれると思っていたよ」
エルテウスは諸手を挙げて歓迎の言葉を述べる。
どうせ俺達の事は妖精に監視させているはずなので、俺達が出した結論は知っているだろうに、白々しい限りだ。
俺達冒険者は魔獣を討伐し、民の安寧を守るのが主な仕事だ。
もし王国が国崩級モンスターの存在に関与しているのならば捨て置く事はできない。
俺とマリーニャは、宿を後にした時には既にエルテウスに協力をする方向で考えが纏まっていた。
プリンとシズハナも、困惑しつつもエルテウス達への協力に同意する。
唯一の懸念材料はルッテだった。
ほぼ絶縁状態とはいえ、彼女は王国に仕える伯爵家の一人娘だ。
その父ハーゲン・アンドレアルフス・ムールも今回の件に関与している可能性は充分に考えられた。
最悪の場合、父と娘が真っ向から対立する事になる。
しかし、ルッテはそれを笑って否定する。
「お父様が関係しているとは考えられませんわ。ああ見えて、民衆の事は大切にしていらっしゃいましたもの。それにニャラルト公爵やホーロウ侯爵とはむしろ政敵の関係でしたわ。もしオーリンがニャラルト公爵と繋がっている事を知っていたら、私の婿になさろうとは考えなかったはずですわ」
こうして全員一致でエルテウスの企てに協力する事が決まった。
「それで、俺達は何をすればいい?」
「ああ、協力してもらいたい事は主に二つだ」
エルテウスは計画を記したノートを開き、順を追って説明を始める。
まずはニャラルト公爵とホーロウ侯爵の屋敷への潜入捜査だ。
彼らの屋敷には厳重に鍵を掛けられた扉がある事は妖精の調査で判明しているが、その奥に何があるのかまでは分かっていない。
妖精は物質をすり抜ける事は出来ないので、盗賊職や忍者職の冒険者が直接扉を開けて内部を調べる必要がある。
【ブレイザー】のメンバーは戦闘に特化した構成だ。
該当するスキルを所持した仲間はいない。
既に【殺人猫】のメンバーにニャラルト公爵の屋敷への潜入調査を要請したという。
つまり、残るホーロウ侯爵の屋敷への潜入捜査を俺達に任せたいというのだ。
そして、もう一つは、各ギルドに貼り出された依頼書の確認だ。
主な対象は王国の貴族達が依頼主のクエストで、その内容を吟味して欲しいという。
特に以前【ヘルクレス】が受けた様な怪しいアイテムの回収クエストは押さえておきたいとの事だ。
先回りして彼らの手に渡る前にそのアイテムを入手する事が理想的だ。
但しこれにはもっと人手が必要の為、協力者が増え次第、順次要請をしていくそうだ。
「じゃあホーロウ侯爵の屋敷へは私が行く」
潜入捜査に名乗りを上げたのはシズハナだ。
「一人で大丈夫か?」
「平気。私なら隠密スキルで警備兵が何人いようと誰にも見つからずに潜入できる」
【フルーレティ】で探知スキルと隠密スキルを習得しているのはシズハナだけだ。
俺達がついていったら逆に足手まといになるだけだろう。
ホーロウ侯爵の屋敷への潜入捜査はシズハナに一任する事にした。
そうなると、俺を含めた他の仲間は依頼書の確認の役目を受け持つ事になる。
「話は纏まった様だな。それで、我々との連絡方法についてだが───」
「妖精を使うんですね。いるんでしょう?」
「やはり気づいていたか、さすがマリーニャ君だ。話が早い。よし、シャミィ、リーン出てこい」
「はいはーい」
エルテウスが合図をすると、マリーニャの髪の中から一匹、さらにスカートの中からもう一匹の妖精が出てきた。
「こ、こんなところに隠れていたなんて……!?」
マリーニャは顔を赤らめてスカートを押さえる。
妖精は万物に宿る精霊を具現化したものだ。シズハナの探知スキルにも引っ掛からない。
これならば敵にも見つかる可能性はない。
スパイとしてこれ程理想的な存在はないだろう。
「シャミィはこのままマリーニャ君に、リーンはシズハナ君についていてくれ。何かあったらすぐに連絡を寄こすんだ」
「りょーかいっ」
「リーンにおまかせだよっ!」
シャミィは再びマリーニャの髪の中に潜り、リーンはシズハナの装束の腰帯の中に隠れる。
「妖精はテレパシーで遠隔での会話ができる。君達も私に伝えたい事があったら妖精を通して連絡してくれ。私も何かあれば連絡をさせてもらうよ」
「分かりました」
「それでは【フルーレティ】の皆さん、宜しく頼むよ」
俺達はエルテウス達と綿密な打ち合わせを行った後、宿を後にした。
「シズハナ、絶対に無茶はしないでね。危ないと感じたらすぐに屋敷から出るんですよ」
「大丈夫。私は絶対に見つかったりしないし、いざとなったら逃げる事には自信がある」
シズハナは自信満々にそう言うと懐から煙幕弾や撒菱を取り出す。
諜報活動については俺達よりも忍者であるシズハナの方がプロフェッショナルだ。
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俺達は王都ギルティアの外れまで来たところでシズハナと別れ、クリムドへ向かった。
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