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第65話 廃坑
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「本当にそのスキルでプリンの記憶喪失を治す事ができるんですか?」
「状態異常を回復する効果なんてなさそうでしたけど」
マリーニャ達の疑問も尤もだ。
正直なところ、俺の見立てでも五分五分といったところだ。
「確実とは言えないけど、治る可能性は高いと思う」
「分かりました。これはチェインの経験ポイントですから、習得するスキルを私達がとやかく言う事ではありませんね」
「誰も異論はありませんわ」
「ありがとう。それじゃあ───」
俺は魔法珠を操作して、10000の経験ポイントと引き換えにスキル・魔法効果追加を習得した。
「ちょっと実験してみよう。プリン、そこに座ってて。何か思い出したら、思い出した事を全部話してみて」
「うん……」
俺はプリンを椅子に座らせると、≪リプレイス≫の魔法を詠唱する。
すると俺の脳内にいくつもの選択肢が浮かび上がった。
容姿、能力、知識、記憶、状態───パラメータ以外に交換するものを自由に選択できる様だ。
もちろん複数選択も可能だ。
但し、その分魔力の消費が激しくなり、効果時間は短くなる。
「今回は、まず『状態』を選択して……≪リプレイス≫」
≪リプレイス≫の魔法が発動し、俺とプリンのパラメータと状態が入れ替わる。
「あ……」
その瞬間、プリンがはっとした表情をして声を上げる。
「覚えてる、全部思い出した!」
成功だ。【記憶喪失】という状態異常が俺に移ったのだ。
しかし逆に俺の頭の中は真っ白だ。
自分が今何をしていたのか、目の前の人が誰なのかも分からない。
「チェイン、マリーニャ、ルッテ、シズハナ、【フルーレティ】……全部思い出したよ。あたしはあの時チェインを庇って……」
プリンは思い出した事を語り出す。
しかし数秒後、≪リプレイス≫の効果が切れてプリンは元の記憶喪失状態に戻ってしまった。
そして俺の記憶は戻った。
俺が記憶喪失になっている数秒間の出来事、プリンが話していた内容はしっかり覚えている。
「チェイン、確かに一時的にプリンの記憶が戻りましたが、僅か数秒では根本的な解決には至りませんね」
「それに、チェインの記憶が消えてしまってはあまり意味がありませんわ」
マリーニャ達はがっくりと肩を落とすが、大丈夫だ。
そこはちゃんと考えている
「言うまでもなく記憶喪失ってのは状態異常のカテゴリーなんだ。だから、記憶喪失という状態異常が無効の魔物と交換すればあるいは」
マリーニャ達は一瞬何を言ってるんだこいつという表情をするが、すぐに俺の言いたい事を理解した。
「なるほど、魔物と交換した瞬間に記憶喪失という状態異常が無効化されて……正常な状態で戻ると」
「画期的な治療法ですわ。それこそ人間をやめていないと思いつかないぐらい」
「チェインは頭おかしい」
仲間達からお褒めの言葉を賜ると、後は実行に向けての作戦会議だ。
命を持った鉱物、ゴーレムは自我などなく、記憶という概念そのものがない。
記憶というものが存在しないこの魔物ならそもそも記憶喪失という状態異常には絶対にならないはずだ。
俺達はギルドの掲示板をチェックすると、クリムドの北の廃坑跡に出没するゴーレム討伐のクエストを見つけた。
推奨レベル25。報酬も銀貨50枚程度だ。
討伐が目的ではないので依頼を受けるまでもない。
俺達は馬車をレンタルすると、すぐさま廃坑跡へ向かった。
◇◇◇◇
廃坑跡に到着したのは日が沈みかかった頃だ。
松明に火を灯して廃坑の奥へ進むと、目標のゴーレムが姿を現した。
ゴーレムは有無を言わずに襲い掛かってくるが、氷結の杖で全身を凍らせると簡単に無力化できた。
俺達はプリンの記憶を戻す作戦の手順を再確認する。
まず俺がプリンに≪リプレイス≫をかけ、パラメータと『能力』を交換する。
するとプリンが≪リプレイス≫が使えるようになるので、今度はプリンがゴーレムに≪リプレイス≫をかけ、パラメータと『状態』を交換する。
その瞬間に記憶喪失という状態異常はゴーレムに移り、無効化される。
これで効果が切れた時にはプリンの記憶は元通りになっているはずだ。
「じゃあ始めようか。≪リプレイス≫!」
打ち合わせ通りまずは俺がプリンに≪リプレイス≫をかける。
「やってみる。≪リプレイス≫!」
続けてプリンはゴーレムに向かって≪リプレイス≫をかける。
ピキーン。
「……あれ?」
その時、想定外の事が起きた。
ゴーレムとプリンの状態が入れ替わった事でプリンが凍りつき、逆にゴーレムが自由に動けるようになった。
ゴーレムは拳を振りまわして動けないプリンに殴りかかる。
「え、これってヤバいんじゃ……」
パキン。
ゴーレムの巨大な拳が氷漬けのプリンに命中し、大きな音を立てて砕け散る。
───ゴーレムの腕の方が。
「そうか、今のゴーレムのパラメータは俺のものか。驚かせやがって!」
そりゃあレベル1の魔導士が本気で氷の塊を殴ったら自分の腕の方が壊れるよな。
その瞬間、≪リプレイス≫の効果が消える。
ゴーレムは再び凍りつき、プリンは───
「チェイン、今のはちょっと焦ったぞ! 詰めが甘いんじゃないか!」
「プリン、俺達の事分かる?」
「え……? あ……分かる。全部思い出した!」
どうやら上手くいった様だ。
結果オーライ。
「状態異常を回復する効果なんてなさそうでしたけど」
マリーニャ達の疑問も尤もだ。
正直なところ、俺の見立てでも五分五分といったところだ。
「確実とは言えないけど、治る可能性は高いと思う」
「分かりました。これはチェインの経験ポイントですから、習得するスキルを私達がとやかく言う事ではありませんね」
「誰も異論はありませんわ」
「ありがとう。それじゃあ───」
俺は魔法珠を操作して、10000の経験ポイントと引き換えにスキル・魔法効果追加を習得した。
「ちょっと実験してみよう。プリン、そこに座ってて。何か思い出したら、思い出した事を全部話してみて」
「うん……」
俺はプリンを椅子に座らせると、≪リプレイス≫の魔法を詠唱する。
すると俺の脳内にいくつもの選択肢が浮かび上がった。
容姿、能力、知識、記憶、状態───パラメータ以外に交換するものを自由に選択できる様だ。
もちろん複数選択も可能だ。
但し、その分魔力の消費が激しくなり、効果時間は短くなる。
「今回は、まず『状態』を選択して……≪リプレイス≫」
≪リプレイス≫の魔法が発動し、俺とプリンのパラメータと状態が入れ替わる。
「あ……」
その瞬間、プリンがはっとした表情をして声を上げる。
「覚えてる、全部思い出した!」
成功だ。【記憶喪失】という状態異常が俺に移ったのだ。
しかし逆に俺の頭の中は真っ白だ。
自分が今何をしていたのか、目の前の人が誰なのかも分からない。
「チェイン、マリーニャ、ルッテ、シズハナ、【フルーレティ】……全部思い出したよ。あたしはあの時チェインを庇って……」
プリンは思い出した事を語り出す。
しかし数秒後、≪リプレイス≫の効果が切れてプリンは元の記憶喪失状態に戻ってしまった。
そして俺の記憶は戻った。
俺が記憶喪失になっている数秒間の出来事、プリンが話していた内容はしっかり覚えている。
「チェイン、確かに一時的にプリンの記憶が戻りましたが、僅か数秒では根本的な解決には至りませんね」
「それに、チェインの記憶が消えてしまってはあまり意味がありませんわ」
マリーニャ達はがっくりと肩を落とすが、大丈夫だ。
そこはちゃんと考えている
「言うまでもなく記憶喪失ってのは状態異常のカテゴリーなんだ。だから、記憶喪失という状態異常が無効の魔物と交換すればあるいは」
マリーニャ達は一瞬何を言ってるんだこいつという表情をするが、すぐに俺の言いたい事を理解した。
「なるほど、魔物と交換した瞬間に記憶喪失という状態異常が無効化されて……正常な状態で戻ると」
「画期的な治療法ですわ。それこそ人間をやめていないと思いつかないぐらい」
「チェインは頭おかしい」
仲間達からお褒めの言葉を賜ると、後は実行に向けての作戦会議だ。
命を持った鉱物、ゴーレムは自我などなく、記憶という概念そのものがない。
記憶というものが存在しないこの魔物ならそもそも記憶喪失という状態異常には絶対にならないはずだ。
俺達はギルドの掲示板をチェックすると、クリムドの北の廃坑跡に出没するゴーレム討伐のクエストを見つけた。
推奨レベル25。報酬も銀貨50枚程度だ。
討伐が目的ではないので依頼を受けるまでもない。
俺達は馬車をレンタルすると、すぐさま廃坑跡へ向かった。
◇◇◇◇
廃坑跡に到着したのは日が沈みかかった頃だ。
松明に火を灯して廃坑の奥へ進むと、目標のゴーレムが姿を現した。
ゴーレムは有無を言わずに襲い掛かってくるが、氷結の杖で全身を凍らせると簡単に無力化できた。
俺達はプリンの記憶を戻す作戦の手順を再確認する。
まず俺がプリンに≪リプレイス≫をかけ、パラメータと『能力』を交換する。
するとプリンが≪リプレイス≫が使えるようになるので、今度はプリンがゴーレムに≪リプレイス≫をかけ、パラメータと『状態』を交換する。
その瞬間に記憶喪失という状態異常はゴーレムに移り、無効化される。
これで効果が切れた時にはプリンの記憶は元通りになっているはずだ。
「じゃあ始めようか。≪リプレイス≫!」
打ち合わせ通りまずは俺がプリンに≪リプレイス≫をかける。
「やってみる。≪リプレイス≫!」
続けてプリンはゴーレムに向かって≪リプレイス≫をかける。
ピキーン。
「……あれ?」
その時、想定外の事が起きた。
ゴーレムとプリンの状態が入れ替わった事でプリンが凍りつき、逆にゴーレムが自由に動けるようになった。
ゴーレムは拳を振りまわして動けないプリンに殴りかかる。
「え、これってヤバいんじゃ……」
パキン。
ゴーレムの巨大な拳が氷漬けのプリンに命中し、大きな音を立てて砕け散る。
───ゴーレムの腕の方が。
「そうか、今のゴーレムのパラメータは俺のものか。驚かせやがって!」
そりゃあレベル1の魔導士が本気で氷の塊を殴ったら自分の腕の方が壊れるよな。
その瞬間、≪リプレイス≫の効果が消える。
ゴーレムは再び凍りつき、プリンは───
「チェイン、今のはちょっと焦ったぞ! 詰めが甘いんじゃないか!」
「プリン、俺達の事分かる?」
「え……? あ……分かる。全部思い出した!」
どうやら上手くいった様だ。
結果オーライ。
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