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第17話 それぞれの明暗
しおりを挟む「お父様お母様ただいま戻りました」
レオンハイトたち犯罪調査機関の人間が去って暫く経った後に私とルーク殿下は屋敷に戻ってきた。
私たちは両手いっぱいの荷物を玄関に置いて仕分けをする。
「はいクローディア、これお土産」
「わーいスウィートマウンテンのハニープリンクレープだ! ありがとうお姉ちゃん!」
「お母様にはハーブティーセット、お父様にはペンを、あとセルバンティウスの分も買ってきたわよ」
「シルヴィアお嬢様、私などにそのようなお心遣い勿体ない……」
「いつもお世話になってるからほんの気持ちよ。ちゃんと受け取って頂戴」
「ありがとうございます。大切に使わせていただきますお嬢様」
「あとこれがシリウスに買ってきた骨で……」
シリウスは屋敷で買っている犬の名前である。
中庭の方に骨を投げるとシリウスは大喜びでそれを追いかけていった。
私とルーク殿下は折角街に出たのだからと思う存分ショッピングを楽しんできた。
最近は王都からエルリーン伯爵領に移ってきた店舗も多く必然的に回る店が多くなる。
予定よりも大幅に帰宅が遅れたのも致し方ないだろう。
王族であるルーク殿下は普段街で買い物をする事など全く無かった為、この体験を興奮冷めやらない様子でリストリア殿下に語りかける。
「そうか。それは良かったなルーク」
一方でリストリア殿下は冷めた目でルーク殿下の話を面白くなさそうに聞いている。
続けてルーク殿下は目を輝かせながら私の手を握ってまくし立てるように言った。
「シルヴィア嬢、追われる身の私がこんな事を言うのもなんですが今日はとても楽しかったです。また一緒にショッピングにお誘いいただけると嬉しいです」
「ええ、勿論ですよルーク殿下」
ルーク殿下には持ち切れない程買い物した荷物を持っていただいて内心申し訳ない気持ちでいっぱいだったけど、楽しんでいただけたのならなら何よりだ。
「おいルーク、ちょっとこっちへ来い」
「え? どうしたんですか兄上……ちょっ……」
リストリア殿下はルーク殿下の腕を強引に引っ張って奥の部屋に行ってしまった。
「リストリア殿下はどうなさったんでしょう?」
「シルヴィア……あなたそう言うところですよ」
お母様が心底呆れた様子で私を窘めた。
どうやらリストリア殿下はルーク殿下に嫉妬をされているらしい。
確かにデートを楽しんでいたと思われても仕方がないかもしれないけど、私はルーク殿下にはそういった特別な感情は持っていないと断言できる。
むしろ可愛い弟が増えたような感覚だ。
「うふふ……」
リストリア殿下もああ見えて意外と大人げないところがあるようだとおかしく思った。
◇◇◇◇
一方王宮のレイチェルは焦燥していた。
エルリーン伯爵領を始め、ルーク殿下の潜伏先として考えられる全ての場所に調査員を派遣したが一向にその消息を掴む事ができないでいる。
こうしている間にもサイクリア陛下の容態はますます悪くなり、いつ崩御されるか分からない状況が続いている。
ラング殿下を確実に次の王の座に就ける為にはルーク殿下の身柄を確保するしかないが、残り僅かな時間で見つけ出すのは不可能に近い。
「考えるのよレイチェル。ここで諦めたら今までの苦労が全て水の泡ですわ……」
「レイチェルここにいたのか、探していたぞ。難しい顔をしてどうしたのだ?」
「ラング様……申し訳ありません。少し考え事をしておりました。私に何かご用でしょうか?」
「一週間後に王宮内でパーティーを開こうと思うんだ。勿論出席してくれるよね?」
「パ……パーティーですか?」
この忙しい時に何を考えているんだこの男は。
「最近の君は何かと働き詰めだ。たまには楽しい時間を過ごして気を紛らわせないと身体が持たないぞ」
誰のせいだと思っているんだこの男は。
でもまあ確かにラングのいう事も一理ある。
私も少し頭を休ませた方がよさそうだ。
それに王宮のパーティーならばこの国を取り仕切っている多くの有力者が出席する。
そういった者たちに上手く取り入れば何か突破口が開けるかもしれない。
「ラング様、パーティーを楽しみにしていますわ。どんなドレスを着て行こうかしら」
「そう言ってくれると思ったよ。私は今から皆に招待状を書いてくる。……そうだ、良い事を思いついた」
ラングは得意満面で人差し指をピンと立てる。
嫌な予感しかしない。
「シルヴィアもパーティーに招待しよう。そうすればきっと……」
「絶対に来ないと思いますからおやめ下さいませ」
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