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しおりを挟むすると、僕の後ろで扉が開いた。
ガチャッ
「会長いる~~?」
この軽快な美声は・・・・・・、あの人か。
とても聞き覚えのある声に、僕は苛立った。
・・・・・・チッ、また厄介なのが・・・・・・。
イライライライライライライライラ
僕が"健気ですモード"で振り向くと、予想通りそこには彼がいた。
ーーーチャラ男会計、新条一輝(シンジョウカズキ)
緩やかなウェーブのかかった髪は、彼の甘いマスクとマッチしている。
うええええぇぇぇぇぇ
彼と目があった瞬間、僕の心の中で盛大に嘔吐した。
対する会計は僕を見て、僅かに眉をしかめる。
「うわ・・・、まだ会長の側をうろついてるの?」
「新条さん・・・・・・。」
(どうも、来ましたねヤリチン2号)
「まったく。いつまで会長に付き纏うんだか・・・・・・。だらしないよ、君。」
(貴方の下半身に比べたらちゃんとしてすけど)
知ってますからね
貴方が複数のチワワとお付き合いしていることをねっ!!(チワワ本人たちは知らない)
イライライライライライライライラ
会計の言葉を無視して、僕は俯きながら冷めた濡れタオルとシーツを抱える。
彼の前を通り過ぎようとしたら、不機嫌な声が頭上から聞こえた。
「なに無視してんの?」
ガッ!!
「!!」
突然足を引っ掛けられ、僕は身体がよろける。
背中を蹴り出されれば、身体は素直に地面へと転がった。
無様に床へ倒れる僕を見て、周りからは冷やかしの笑い声が響く。
いつの間にか専用部屋にいたチワワ達までも、僕を見下ろして嘲笑っていた。
会長も笑いをこらえきれないようだ、口元に僅かな笑みがある。
イライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライラ
そのまま調子を良くした会計は、僕の頭を掴み上げ低い声でこう言った。
「お前、キモイんだよ。」
そう言って、彼らは僕に使用済みのタオルを投げつける。
「これ、片付けておいてね。」
「後片付けよろしく、平凡く~ん。」
最後に残った会長は、冷たい顔でこう言った。
「分かったか、これが君の身分なんだよ。雑用係。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
パタンッ
扉が閉まった後、俺は床に躓いたまま動きを止める。
しばらくして、僕は青臭いタオルを掴み、ゆっくりと頭から退けた。
ペシャリッと気持ち悪い音がして、タオルは床に落ちる。
イライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライライラ
ヌチャッ
ーーーそして掌に残る、生ぬるい嫌な感触。
ブチッ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へぇ。」
僕の口から、とてつもなく低い声が溢れた。
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