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治外法権2
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調子に乗って缶詰を食い過ぎ、普段なら丸一日寝ているところだが、何とか昼過ぎに起きた。公園の水場で体を洗ってきたという学は苛立ちを超えたまるで烏天狗みたいな形相で、まだまどろむ俺を見下ろし「行くぞ」と先を行くのだった。
細かい道は分からないが、高架下沿いに行けば繁華街に出る。学は、そこの量販店で地図を見ると言った。ネットワーク端末の見本は店のサンプルIDで接続されているか、あるいは個人ID入力式であってもログアウトを忘れる輩が必ずいるから、見られるだろうとのことだった。当然学もその端末を持っているわけだが、位置情報が漏れるのを恐れて電源はあれ以来入れていないという。学が、本当のところいったい何を恐れているのか未だに計り知れないが、用心だけは続けているようだった。俺はそれを横で見ながら、馬鹿らしくてさっぱり萎えたり、あるいはせっかくだから一緒にスパイごっこでもしようかという発芽を促してみたり、しかし結局は歩き疲れて腹が減ってくるのを感じると、「だから何だ」という諦観が勝るのだった。
そして、まぶしい日なたに出たり、高架下へ入ったりしながら目がチカチカするのを楽しんでいると、ふとした疑問が浮かんだ。
「そういえば、この上の道って歩いたことないな。どっから登れるんだろう」
「登れないだろ? 首都高なんか、歩けるわけがない」
「シュトコー? 俺、トーメーだかコーソクだかって思ってた」
「同じ意味だろうよ。つまりは高速道路だ」
「ふうん、俺たちは使えないわけ」
「そりゃそうだ」
「これが巨塔に通じてる?」
「・・・ってことだろうな。まあ、合理的に考えれば」
そう言う間にも上で重い走行音が響き、大きな車輌が前方へと走り去った。飛行機ならその形がはっきり見えることもあるが、高速を走る車はトラックなのか戦車なのか、こうしてあらためて考えるまで、想像したこともなかった。
徐々に人通りが多くなり、繁華街はひどい混雑ぶりだった。
「どうしてこんなに混んでるんだ。年末だからって・・・ああ、クリスマスか」
「俺たちにとってはその方が足がつきにくい」
「クリスマスねえ・・・、誰かが死んだ日を祝ってるんでしょ? 俺はよく、知らないけどさ」
「イエス・キリストが主人である人間の罪を背負って死に、その忠誠心を称えたり祀ったりする行事が形骸化して、結局はこういうお祭り騒ぎになっている。俺も無宗教だから、詳しくは知らないが」
「それで、何で鳥を食うわけ?」
「・・・さあ、そこまでは」
「あのさあ、昔は俺たちが人間に飼われてたって・・・あれ、どう思ってる?」
「それは、何派に属するかという政治的質問か?」
「いいや、単に、個人的にどう思ってるかってだけ」
ふいのことだったが、俺は成り行きから、踏み込めるだけ踏み込んでみようと思った。人によっては突然激昂したり、強引に話題を変えてきたりもするが、その辺りが楽しかったりする。訊きながら、万一、学とはこれっきりになるかもしれない可能性も考えたが、それならそれまでだった。
「そんなこと、聞いてどうする?」
「別に、どうも」
「――起こったことは起こったことで、それがどうだという解釈に興味はない。どこかに事実があって、それを知ることができないとき、いくつか意見があれば、派閥になって権力争い・・・いつもの構図だろ、意味はない。それに、上司が誰であっても社会としてそれほど変わらないんじゃないか? どう足掻いても上に行けるのは一握りだし、それがゼロ握りであっても、<その他大勢>が<やっぱり全員>になるだけで、・・・いやむしろ、自分の<主人>が誰だか選べないのなら実力主義すら潰(つい)えるわけで、はあ、それなら大変革ではあるが、やっぱりやることは変わらないんだろ」
「やることって?」
「報酬のために人の顔色を窺って仕事をする」
「・・・したことないな」
「はは、それはまた――。しかしどっちにしても、人間という種が絶滅した以上、詮無い議論だ。代わりに<あいつら>に飼われるなんて選択肢もないわけだからな――」
客引きのダミ声、下品に着飾った女たちの嬌声、互いの下半身にしか気がいっていないカップルたちのバカ笑いで学の声は掻き消された。その乾いた声はただ淡々と質問に対する答えを返しただけで、どんな感情も信念もないみたいだったが、何を構える様子もなく街中で<人間論>をぶってみせたのは、ひとえに相手が俺(猫)だからか。
そのまま量販店に入り、店頭で新型モデルのスペックをわめき続ける店員に一瞥をくれられながら、奥のコーナーへと進んだ。どういう経緯かはさっぱり分からないが、店内には本来IDを持てないはずの猫の姿も多く、俺がひとり目立つようなことはなかった。
「なあ、どうなってるんだろう?」
「さあ、いろいろなことがあるんだろ? いろいろなことが。俺の知ったことじゃない」
「まあ、確かに」
学の言うとおり、きっといろいろなことがあるのだろう。俺だって知ったことじゃない。世の中のすべてを知ってるわけじゃないし、だからこそこうしてスパイごっこもどきをしている。
――否。この苛立ちの半分は、嫉妬だ。学の半ギレについてはそれこそ知ったことじゃないが、俺についていえば、あそこのほとんどガキみたいなシャムや、向こうの黒い三人連れがなぜ同伴の犬もなしにこういう店を闊歩できるのか、その理屈が分からないのは不愉快ではあった。別に、犬のネットワーク回線などに興味はないし、非合法な裏取引みたいなものもやりたいやつがやればいいが、こうして、俺の<知らない>場所にとっくのとうに乗り込んで、我が物顔で例外という綱渡りを楽しんでいるやつを見ると、無能な自分が憧れだけをぶちまけながらとんでもなく出遅れている気がしてみじめになる。
だからといって、やはり、こんなところに俺の<それ>はない――。俺はそう言い聞かせながら、それが負け惜しみではなく真実であることを確かめようと、学のよれた鞄の中に入っているだろうあの石鹸を思った。どこかの誰かがただ金のためにあちこちいじっただけのネットワーク箱なんざ、そのネットワーク自体を作った<人間>に比べたら月とスッポン、それでいくら儲けていようがライオンの食べ残しにありつくハイエナだ――。おっと失礼、差別用語か。
「――どう、入れた?」
「たぶん」
学は目だけで周りを気にしながら画面を何度もタッチし、地図のページを立ち上げた。たかが地図なんか、昔はいくらでも紙でぺらぺらめくっていた気がするが、今はネットワーク上にしかない。
「何を調べてる?」
俺が訊くと、学のつぶやき声は「きみの言う、とうめい」。透明? ああ、「トーメー」か。
画面は赤丸の<現在地点>から、先ほど通ってきた道を遡っている。それは分かるが、しかし途中で逸れるはずの「トーメー」は表示されていない。学は縮尺をぐんと落として、赤丸を中心とした広域を出した。主要な道路はあるが、やはり「トーメー」はない。
「載ってないの?」
「正確には、載せていない」
「なんで? どうせ通れないから?」
「・・・いろいろあるんだろう」
そうして今度は北に上がり、感覚からいってあの巨塔の見える方面へ移り、縮尺が拡大されたが、そこら一帯、敷地が囲われているだけでろくな表示がなく、不自然に白かった。
ああ、載ってないんじゃなく、載せていない。
法治圏外・・・法外地権・・・じゃなくて、治外法権とかいうやつ?
「ふうん、何にも分からないってわけだ。それ知ってたなら、なんで来た?」
「いや、知らなかったし、それを確かめようと思った。・・・それに」
そして学は黙って画面を見せ、地図を南東へ移動させた。大きな川があり、埋立地らしき直線の島があり、更に南は湾。――学の顧客とやらが沈んだあの公園も近い。
「・・・何だよ?」
「見てみろ」
「・・・あ」
俺は無意識に海に面したあの公園の様子を地図に当てはめようとしていたが、学が示しているのはその公園ではなく、埋立地の不自然な空白だった。
巨塔の枠囲いと同じ太線――つまり、治外法権。しかしあんなところに高い建物はなかった。単なる倉庫街かと思っていたが、治外法権の倉庫街だったとは。
あの公園の周囲を歩きまわった記憶を目の前に呼び出してみる。川沿いは、橋の下かあの公園くらいしか歩けなかった。だから俺はあの公園が好きだった。川に降りる階段も、広々とした河原も土手もなく、橋の通っていない向こう岸へはどうやって行くのだろうとぼんやり思っていた――。何だかもう、数日前のことが遠い話だ。
「そういうことか」
「どういうことかは分からないがな」
「しかし、危ないんじゃないの。あの場所に戻るとなると」
学は眉根を寄せて鼻をひくつかせると、首を振って苦笑いをした。俺としては賛同するもしないもないが、行くとなれば行くだけだった。
細かい道は分からないが、高架下沿いに行けば繁華街に出る。学は、そこの量販店で地図を見ると言った。ネットワーク端末の見本は店のサンプルIDで接続されているか、あるいは個人ID入力式であってもログアウトを忘れる輩が必ずいるから、見られるだろうとのことだった。当然学もその端末を持っているわけだが、位置情報が漏れるのを恐れて電源はあれ以来入れていないという。学が、本当のところいったい何を恐れているのか未だに計り知れないが、用心だけは続けているようだった。俺はそれを横で見ながら、馬鹿らしくてさっぱり萎えたり、あるいはせっかくだから一緒にスパイごっこでもしようかという発芽を促してみたり、しかし結局は歩き疲れて腹が減ってくるのを感じると、「だから何だ」という諦観が勝るのだった。
そして、まぶしい日なたに出たり、高架下へ入ったりしながら目がチカチカするのを楽しんでいると、ふとした疑問が浮かんだ。
「そういえば、この上の道って歩いたことないな。どっから登れるんだろう」
「登れないだろ? 首都高なんか、歩けるわけがない」
「シュトコー? 俺、トーメーだかコーソクだかって思ってた」
「同じ意味だろうよ。つまりは高速道路だ」
「ふうん、俺たちは使えないわけ」
「そりゃそうだ」
「これが巨塔に通じてる?」
「・・・ってことだろうな。まあ、合理的に考えれば」
そう言う間にも上で重い走行音が響き、大きな車輌が前方へと走り去った。飛行機ならその形がはっきり見えることもあるが、高速を走る車はトラックなのか戦車なのか、こうしてあらためて考えるまで、想像したこともなかった。
徐々に人通りが多くなり、繁華街はひどい混雑ぶりだった。
「どうしてこんなに混んでるんだ。年末だからって・・・ああ、クリスマスか」
「俺たちにとってはその方が足がつきにくい」
「クリスマスねえ・・・、誰かが死んだ日を祝ってるんでしょ? 俺はよく、知らないけどさ」
「イエス・キリストが主人である人間の罪を背負って死に、その忠誠心を称えたり祀ったりする行事が形骸化して、結局はこういうお祭り騒ぎになっている。俺も無宗教だから、詳しくは知らないが」
「それで、何で鳥を食うわけ?」
「・・・さあ、そこまでは」
「あのさあ、昔は俺たちが人間に飼われてたって・・・あれ、どう思ってる?」
「それは、何派に属するかという政治的質問か?」
「いいや、単に、個人的にどう思ってるかってだけ」
ふいのことだったが、俺は成り行きから、踏み込めるだけ踏み込んでみようと思った。人によっては突然激昂したり、強引に話題を変えてきたりもするが、その辺りが楽しかったりする。訊きながら、万一、学とはこれっきりになるかもしれない可能性も考えたが、それならそれまでだった。
「そんなこと、聞いてどうする?」
「別に、どうも」
「――起こったことは起こったことで、それがどうだという解釈に興味はない。どこかに事実があって、それを知ることができないとき、いくつか意見があれば、派閥になって権力争い・・・いつもの構図だろ、意味はない。それに、上司が誰であっても社会としてそれほど変わらないんじゃないか? どう足掻いても上に行けるのは一握りだし、それがゼロ握りであっても、<その他大勢>が<やっぱり全員>になるだけで、・・・いやむしろ、自分の<主人>が誰だか選べないのなら実力主義すら潰(つい)えるわけで、はあ、それなら大変革ではあるが、やっぱりやることは変わらないんだろ」
「やることって?」
「報酬のために人の顔色を窺って仕事をする」
「・・・したことないな」
「はは、それはまた――。しかしどっちにしても、人間という種が絶滅した以上、詮無い議論だ。代わりに<あいつら>に飼われるなんて選択肢もないわけだからな――」
客引きのダミ声、下品に着飾った女たちの嬌声、互いの下半身にしか気がいっていないカップルたちのバカ笑いで学の声は掻き消された。その乾いた声はただ淡々と質問に対する答えを返しただけで、どんな感情も信念もないみたいだったが、何を構える様子もなく街中で<人間論>をぶってみせたのは、ひとえに相手が俺(猫)だからか。
そのまま量販店に入り、店頭で新型モデルのスペックをわめき続ける店員に一瞥をくれられながら、奥のコーナーへと進んだ。どういう経緯かはさっぱり分からないが、店内には本来IDを持てないはずの猫の姿も多く、俺がひとり目立つようなことはなかった。
「なあ、どうなってるんだろう?」
「さあ、いろいろなことがあるんだろ? いろいろなことが。俺の知ったことじゃない」
「まあ、確かに」
学の言うとおり、きっといろいろなことがあるのだろう。俺だって知ったことじゃない。世の中のすべてを知ってるわけじゃないし、だからこそこうしてスパイごっこもどきをしている。
――否。この苛立ちの半分は、嫉妬だ。学の半ギレについてはそれこそ知ったことじゃないが、俺についていえば、あそこのほとんどガキみたいなシャムや、向こうの黒い三人連れがなぜ同伴の犬もなしにこういう店を闊歩できるのか、その理屈が分からないのは不愉快ではあった。別に、犬のネットワーク回線などに興味はないし、非合法な裏取引みたいなものもやりたいやつがやればいいが、こうして、俺の<知らない>場所にとっくのとうに乗り込んで、我が物顔で例外という綱渡りを楽しんでいるやつを見ると、無能な自分が憧れだけをぶちまけながらとんでもなく出遅れている気がしてみじめになる。
だからといって、やはり、こんなところに俺の<それ>はない――。俺はそう言い聞かせながら、それが負け惜しみではなく真実であることを確かめようと、学のよれた鞄の中に入っているだろうあの石鹸を思った。どこかの誰かがただ金のためにあちこちいじっただけのネットワーク箱なんざ、そのネットワーク自体を作った<人間>に比べたら月とスッポン、それでいくら儲けていようがライオンの食べ残しにありつくハイエナだ――。おっと失礼、差別用語か。
「――どう、入れた?」
「たぶん」
学は目だけで周りを気にしながら画面を何度もタッチし、地図のページを立ち上げた。たかが地図なんか、昔はいくらでも紙でぺらぺらめくっていた気がするが、今はネットワーク上にしかない。
「何を調べてる?」
俺が訊くと、学のつぶやき声は「きみの言う、とうめい」。透明? ああ、「トーメー」か。
画面は赤丸の<現在地点>から、先ほど通ってきた道を遡っている。それは分かるが、しかし途中で逸れるはずの「トーメー」は表示されていない。学は縮尺をぐんと落として、赤丸を中心とした広域を出した。主要な道路はあるが、やはり「トーメー」はない。
「載ってないの?」
「正確には、載せていない」
「なんで? どうせ通れないから?」
「・・・いろいろあるんだろう」
そうして今度は北に上がり、感覚からいってあの巨塔の見える方面へ移り、縮尺が拡大されたが、そこら一帯、敷地が囲われているだけでろくな表示がなく、不自然に白かった。
ああ、載ってないんじゃなく、載せていない。
法治圏外・・・法外地権・・・じゃなくて、治外法権とかいうやつ?
「ふうん、何にも分からないってわけだ。それ知ってたなら、なんで来た?」
「いや、知らなかったし、それを確かめようと思った。・・・それに」
そして学は黙って画面を見せ、地図を南東へ移動させた。大きな川があり、埋立地らしき直線の島があり、更に南は湾。――学の顧客とやらが沈んだあの公園も近い。
「・・・何だよ?」
「見てみろ」
「・・・あ」
俺は無意識に海に面したあの公園の様子を地図に当てはめようとしていたが、学が示しているのはその公園ではなく、埋立地の不自然な空白だった。
巨塔の枠囲いと同じ太線――つまり、治外法権。しかしあんなところに高い建物はなかった。単なる倉庫街かと思っていたが、治外法権の倉庫街だったとは。
あの公園の周囲を歩きまわった記憶を目の前に呼び出してみる。川沿いは、橋の下かあの公園くらいしか歩けなかった。だから俺はあの公園が好きだった。川に降りる階段も、広々とした河原も土手もなく、橋の通っていない向こう岸へはどうやって行くのだろうとぼんやり思っていた――。何だかもう、数日前のことが遠い話だ。
「そういうことか」
「どういうことかは分からないがな」
「しかし、危ないんじゃないの。あの場所に戻るとなると」
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