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3【ナルシス女】
しおりを挟むーー恋、とは?
皆の初恋はいつだろうか。
「それだ!」と認められるのは、どれになるのか。
未だにわからないでいる。
『“好き“という気持ちと共に独占欲や嫉妬が発生したものとする』と仮定義を上げるてみる。
私の恋はお母さんから始まる。
幼稚園の先生(女)、卒園時引っ越してしまった親友(女)、小学生からの幼なじみ(女)。
ちなみに、自分は女だ。
ーーレズビアンでは、無いと思う。
好きになることは多々あれど、好きになってもらえたのは同性からの友好感情ばかりなのだ。
私は、仮定義の感情を異性に抱いた事が無かった。
ーー独占欲が湧くほど、求めた異性は居なかった。
私のモテ期は幼稚園生時代。
体型も正常。長くて綺麗な髪を母が毎日綺麗にゆってくれた。
ーー明確に。可愛かった。
大好きなどろんこ遊びを恐れる事なくこなし、男女共に心を掴む。
女子とはおままごとをこなし、内気男子とは色水を楽しんだ。
ーーモテた。人生で1番モテた。
先生にも同級生にもモテた。
兄の友達にも「妹かわいいよね」と言われたのを覚えている。
ーーもう2度と来なかったモテ期だ。
小さい頃からへそ曲がりな考えだった。
好きになって欲しいから、その為に頑張るのは楽しい。
ーーでも。いざ好きなって貰えても、その人を幸せにする自信はない。
恋に恋する……より厄介。
恋に恋する自分に恋する女ーー厄介なナルシズムだった。
「痩せたり、可愛くなろうとしなくて良い」
「今の状態でいてくれたら、それで良い」
『結婚を前提に付き合って欲しい』
ーー甘い誘いに怖くなった。
癖のある思考や癖虚言癖など相殺する、整った顔を持ち合わせた彼が。
ーー何故私を求める?
私は「好きな人がいるから」と言って断った。
お金でも取られるんじゃ無いか、弄ばれてるんじゃ無いかと身構えた。
正直、いつものようにヘラヘラ笑って諦めるとばかり思っていた。
彼は、とても寂しそうな顔をした。
「嫌いになるまで友達でいて欲しい。僕は、僕のことを好きな人が大好きだから」
「君はいつも……めんどくさい、じゃなくて。可哀想だなって思ってくれた」
「君は僕のこと好きだと思うけどな」
「優しいよね、ありがとう」
そんな言葉を並べた数週間後には「好きな人出来たよ!」と嬉しそうに報告してきた。
胸を撫で下ろした。
それと同時に、今まで同性にしか抱かなかった仮定義が発生した。
私には荷が重いと感じつつも、友達のポジションが手放せないでいた。
誰かのものになってしまうのは嫌だ、とか。
彼をなんだかんだ理解してるのは私じゃ無いか、とか。
都合のいい考えが頭によぎっていた。
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