私、家出するけどちゃんと探してよね!

スーパー・ストロング・マカロン

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オオニシの苦悩、ソラの決心

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ゴトン

郵便受けに封筒を投函する音が聞こえる。

寝癖でボサボサになったオオニシの頭髪はまるで、親鳥が雛を育てる為にせっせと作った鳥の巣のようだ。

玄関ドアを開ける。

青空が広がり、後部座席には幼児を乗せた母親が忙しそうに交通量の多い道を自転車で通過していく。
その後ろには、ブレザーを着て髪を金色や茶色に染めた男女が笑い声を弾ませながら仲睦まじく歩いている。

現在のオオニシにとって自分は社会から必要とされていないという思いが、心に重くのし掛かり出口のない迷路に迷い込んでしまった気でいる。

目の前の日常は明るい未来がある"真人間"だけの世界であり、それを肌で感じる距離にいるのは不愉快極まりなく遮断してしまいたい気分だった。

ゴツゴツした手で郵便受けから封筒を取り出す。

オオニシは部屋に戻らず、その場で封を開けて中身を見た。

『選考結果のご連絡』

この度は弊社の求人にご応募頂き誠にありがとうございます。
応募書類を元に慎重に選考した結果、大西様のご期待に添えない結果となりました。

何卒、ご了承いただきたくますようお願い致します。

大西様の今後の就職活動の成功をお祈り致します。

「そんなこったろうと思ったよ。あのスダレハゲの面接官、冷たかったもんな。
やっと捻出した写真代と交通費を返せって言いたいものよ。」

オオニシは不採用通知の書類をビリビリに破り、生ゴミやティッシュペーパーがギュウギュウに詰まって山のように膨れ上がったゴミ箱に捨てた。

パンパンに空気が入り、張り詰めたゴム風船のようにいつ爆発するかわからないくらいストレスを抱えているオオニシには耐えられない状況だ。

「参ったな。家賃、払えねえな…。」

暴力事件を起こした自動車工場を辞めてから、一度も天日干しをしていない汗とダニが棲みつく布団にだらしなく寝転がる。

抜け殻同然になったオオニシは無言でテレビの電源を入れチャンネルをランダムに操作していると、軽快なBGMとともにシャンプーのCMが映し出された。

こないだ二十歳を迎えたばかりの国民的女性アイドルが出演している。

「ツヤツヤ、ウルウル!大切な髪に水分をしっかり閉じ込めて集中リペア!」

黒くて張りのあるロングヘアを両手でなびかせながら笑顔で言う。

「…あの娘さん達に会いたいな。特にお姉さんの方に。
あの娘さん(ソラ)の方がこの姉ちゃんより綺麗な髪、顔をしているよ。」

ピンポーン

「誰だ?お巡りか?ミカミの件か?」

ピンポーン

再度、大西の部屋のチャイムが鳴る。

「…まさか、美しい娘さんが来てくれたのかね?
俺の心配でもして肉じゃがを作って持ってきていたりしてな。」

想像を膨らませたオオニシは顔をほころばせ、不潔な布団の中から玄関を見つめた。





















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