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第5部 追う人、逃げる人、悪い人。
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大嵐家を後にしたウミは妻が宿泊するビジネスホテルへ再びやってきた。
「ソラはここにまだいるかな?チェックアウトしてなきゃいいけど…。」
ソラが部屋から出てきた所を捕まえようと画策するウミはコーラを片手に待機している。
「ソラは劇的な再会を希望しているはずだ。
ただ、ロビーでバッタリじゃあ納得してくれないだろう。
どっかの玩具店で血糊でも買って顔に塗りたぐろうかな?
おまえを探すのに命懸けだったとアピールすりゃ泣いて喜ぶかもしれねぇ。」
テッテケテテ
「おっと。今度こそソラだ。」
はやる気持を抑え、1度深呼吸をしてからスマホを取った。
「もしもし。ソラ?」
「もしもし、ウミィ…。ウッウッウッ。」
「おいおい。どうしたんだ?泣いているのか?
夫である俺に泣いているわけを話してごらんよ。」
ウミはソラに今までで1番優しく接している事を自覚している。
「ねぇ?ウミィ。私ね独りでいるのがさみしいの。」
「さみしいんだな。それならこの俺が迎えに行くよ。場所はどこだい?」
さりげなくソラが口を滑らせて居場所を言うのを狙って聞いた。
「それは言えない。でなきゃウミが私を探す意味がなくなるって以前も言ったじゃん。
ウミは私の騎士様なんだもん。
どんな難題もきっと自力で解決するわ。」
ウミは"ふざけんな馬鹿野郎"と叫びたいのをグッと耐え忍び、慎重に言葉を選び通話を続けた。
「お、俺はさ、お姫様を見つける為のナイトだ。頑張ってソラを探すよ。」
「ウミの口から私をお姫様だなんて…。」
ソラは今までにない声で泣き叫んだ。
「あん、ばやぐぅわだぢをみちゅけでよぉ。(早く私を見つけてよぉ)」
「ああ、任せろや!すぐ見つけ出してやらぁ。」
ウミはいつものように気合いが入り語気が強くなった。
「…ウミ?さっきの優しいナイト様はどこへいったのよぉ?
乱暴な口調になってる…ウミがナイト様でなくなっちゃったぁぁ。
もう生きていられないわぁぁ。」
「ひ、姫様。つい興奮してしまったのだ。
ぼ、僕は姫様を救う為ならどんな試練でも耐えてみせる。
必ず美しい姫様をこの腕で抱きしめるのだから。」
「ありがとう…ウミィ。ウミは私の愛しき旦那様であり、勇敢な騎士様だわ。
その言葉を聞いて今夜は独りでも眠れそうよぉ。そろそろ私は…。」
ウミは何のヒントもないまま通話を切られてしまうのを恐れて会話を続けた。
「姫様?ディナーはどちらで?」
「私はウミと高校時代に泊まった新横のビジネスホテルを出て、ロイヤルホステスで食べたのよぉ。ウミが隣にいればもっと美味しかったはずだわ。」
ロイヤルホステスは新横浜にはない。
生まれも育ちもハマっ子のウミは知っている。
「僕も姫様の隣で食べたかったなぁ。ロイヤルホステスの近辺には他にどんな店があるのかな?」
「どんな店?えっとね。」
ソラは寝ていたベッドから立ち上がり殺風景な部屋から窓を見た。
母譲りの形の良い大きな乳房が、パジャマの上着の中でパツンパツンに張りとても窮屈そうだ。
「…エッチな男の人が行くお店がある。」
これでウミは、ある程度ソラがいる地域を絞れた。
「だって他は宿泊料が高いのだもの。
ホテル住まいじゃ給料だってそのうち底をついちゃうし…こんな場所に長く留まりたくないよぉ。
早く迎えにきて。」
「わかった!今すぐ行ってみっけてやるぜ!」
「アレ?」
「あっ、姫様?夏もそろそろ終わりです。
身体を冷やして風邪などひかぬよう気をつけるのですよ。」
「身体を冷やすで思い出した。
それがね、私、寒い国でオーロラを見ながら全裸でカキ氷を食べた夢を見たの。
冷房をつけっぱで寝ちゃったせいかもね。
その時、ウミが私にもっと脚を広げて俺に見せろなんて言ったんだよぉ。
ウミを愛しているから隅々までたっぷり見せちゃった。
興奮しているウミを見れて夢とはいえ嬉しかったわ。」
ソラは包紙の中でベトベトになって溶けたミルクキャンディのようにネットリした声で言った。
「そ、そうか。愛しているよソラ。じゃなかった姫様。
僕が姫様の為に必ず見つけ出しますよ。
では良い夢を。」
いつものウミなら声を荒げたであろうソラの発言だったが、今回ばかりはそういうわけにもいかない。
腹正しさを抑えて電話を半ば一方的に切った。
「なんてイカれた夢を見てんだ?
俺がそんな気持ち悪りぃ事を求めるわけねえだろ。
頭おかしいんじゃねえか?俺の妻は。」
パチパチパチパチパチ
ウミはロビーを見渡した。
老若男女問わず宿泊している客がウミとソラの通話を聴いており、笑顔で拍手している。
燃え盛る炎のように顔が真っ赤になったウミはあまりの恥ずかしさに耐え切れず、新横浜のビジネスホテルを逃げるように出て行った。
ウミはヘトヘトになるまで走り続け街灯がない路地裏で体力の限界を感じ足を止めた。
「はぁはぁはぁ。」
呼吸が整っていないまま大嵐家で飲んだ麦茶のように無謀にもコーラを一気飲みした。
その結果さすがのウミの喉も炭酸にはかなわず、案の定、口から噴き出してしまった。
「ゴホッゴホッ、ゴヘェッ!」
咳き込みながらウミは思った。
見つけ出したらソラをギャフンといわせてやろうと。
「ソラはここにまだいるかな?チェックアウトしてなきゃいいけど…。」
ソラが部屋から出てきた所を捕まえようと画策するウミはコーラを片手に待機している。
「ソラは劇的な再会を希望しているはずだ。
ただ、ロビーでバッタリじゃあ納得してくれないだろう。
どっかの玩具店で血糊でも買って顔に塗りたぐろうかな?
おまえを探すのに命懸けだったとアピールすりゃ泣いて喜ぶかもしれねぇ。」
テッテケテテ
「おっと。今度こそソラだ。」
はやる気持を抑え、1度深呼吸をしてからスマホを取った。
「もしもし。ソラ?」
「もしもし、ウミィ…。ウッウッウッ。」
「おいおい。どうしたんだ?泣いているのか?
夫である俺に泣いているわけを話してごらんよ。」
ウミはソラに今までで1番優しく接している事を自覚している。
「ねぇ?ウミィ。私ね独りでいるのがさみしいの。」
「さみしいんだな。それならこの俺が迎えに行くよ。場所はどこだい?」
さりげなくソラが口を滑らせて居場所を言うのを狙って聞いた。
「それは言えない。でなきゃウミが私を探す意味がなくなるって以前も言ったじゃん。
ウミは私の騎士様なんだもん。
どんな難題もきっと自力で解決するわ。」
ウミは"ふざけんな馬鹿野郎"と叫びたいのをグッと耐え忍び、慎重に言葉を選び通話を続けた。
「お、俺はさ、お姫様を見つける為のナイトだ。頑張ってソラを探すよ。」
「ウミの口から私をお姫様だなんて…。」
ソラは今までにない声で泣き叫んだ。
「あん、ばやぐぅわだぢをみちゅけでよぉ。(早く私を見つけてよぉ)」
「ああ、任せろや!すぐ見つけ出してやらぁ。」
ウミはいつものように気合いが入り語気が強くなった。
「…ウミ?さっきの優しいナイト様はどこへいったのよぉ?
乱暴な口調になってる…ウミがナイト様でなくなっちゃったぁぁ。
もう生きていられないわぁぁ。」
「ひ、姫様。つい興奮してしまったのだ。
ぼ、僕は姫様を救う為ならどんな試練でも耐えてみせる。
必ず美しい姫様をこの腕で抱きしめるのだから。」
「ありがとう…ウミィ。ウミは私の愛しき旦那様であり、勇敢な騎士様だわ。
その言葉を聞いて今夜は独りでも眠れそうよぉ。そろそろ私は…。」
ウミは何のヒントもないまま通話を切られてしまうのを恐れて会話を続けた。
「姫様?ディナーはどちらで?」
「私はウミと高校時代に泊まった新横のビジネスホテルを出て、ロイヤルホステスで食べたのよぉ。ウミが隣にいればもっと美味しかったはずだわ。」
ロイヤルホステスは新横浜にはない。
生まれも育ちもハマっ子のウミは知っている。
「僕も姫様の隣で食べたかったなぁ。ロイヤルホステスの近辺には他にどんな店があるのかな?」
「どんな店?えっとね。」
ソラは寝ていたベッドから立ち上がり殺風景な部屋から窓を見た。
母譲りの形の良い大きな乳房が、パジャマの上着の中でパツンパツンに張りとても窮屈そうだ。
「…エッチな男の人が行くお店がある。」
これでウミは、ある程度ソラがいる地域を絞れた。
「だって他は宿泊料が高いのだもの。
ホテル住まいじゃ給料だってそのうち底をついちゃうし…こんな場所に長く留まりたくないよぉ。
早く迎えにきて。」
「わかった!今すぐ行ってみっけてやるぜ!」
「アレ?」
「あっ、姫様?夏もそろそろ終わりです。
身体を冷やして風邪などひかぬよう気をつけるのですよ。」
「身体を冷やすで思い出した。
それがね、私、寒い国でオーロラを見ながら全裸でカキ氷を食べた夢を見たの。
冷房をつけっぱで寝ちゃったせいかもね。
その時、ウミが私にもっと脚を広げて俺に見せろなんて言ったんだよぉ。
ウミを愛しているから隅々までたっぷり見せちゃった。
興奮しているウミを見れて夢とはいえ嬉しかったわ。」
ソラは包紙の中でベトベトになって溶けたミルクキャンディのようにネットリした声で言った。
「そ、そうか。愛しているよソラ。じゃなかった姫様。
僕が姫様の為に必ず見つけ出しますよ。
では良い夢を。」
いつものウミなら声を荒げたであろうソラの発言だったが、今回ばかりはそういうわけにもいかない。
腹正しさを抑えて電話を半ば一方的に切った。
「なんてイカれた夢を見てんだ?
俺がそんな気持ち悪りぃ事を求めるわけねえだろ。
頭おかしいんじゃねえか?俺の妻は。」
パチパチパチパチパチ
ウミはロビーを見渡した。
老若男女問わず宿泊している客がウミとソラの通話を聴いており、笑顔で拍手している。
燃え盛る炎のように顔が真っ赤になったウミはあまりの恥ずかしさに耐え切れず、新横浜のビジネスホテルを逃げるように出て行った。
ウミはヘトヘトになるまで走り続け街灯がない路地裏で体力の限界を感じ足を止めた。
「はぁはぁはぁ。」
呼吸が整っていないまま大嵐家で飲んだ麦茶のように無謀にもコーラを一気飲みした。
その結果さすがのウミの喉も炭酸にはかなわず、案の定、口から噴き出してしまった。
「ゴホッゴホッ、ゴヘェッ!」
咳き込みながらウミは思った。
見つけ出したらソラをギャフンといわせてやろうと。
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