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砂城院邸は門から屋敷まで徒歩1時間
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「ソラのヤツ、ゴッツイ輪っかなんざ嵌めてあんな事しやがってよ。
おかげで飯も食った気がしなかったし、風呂の良さも半減したぜ…。」
ドライヤーで濡れた髪を乾かしたウミは、銭湯並みに広い貸し切り大浴場で、鏡に映る自分にポツリと独り言を呟いた。
浴衣に着替え、あらかじめかつらから貰ったマップを手にディナーを食べたレストランではなく喫茶店へ向かった。
「てめえの家に喫茶店があるってぶっ飛んでるよ。」
含み笑いをしたウミはエレベーターで上に昇る。
「いらっしゃいませ。神園ウミ様でございますね。」
店内に入るとキラキラしたシャンデリアが灯りともしており、スーツを着た七三分けの男性スタッフが笑顔で話しかけてきた。
「おぉ。」
「貸し切りでございますので、お席はご自由にどうぞ。」
迷う事なく眺めの良い窓際のカウンター席に座った。
「洒落た喫茶店に浴衣ってのも場にそぐわない格好だが、まぁいいか。」
席に腰掛けた瞬間、ウエイトレスがオーダーを取りにきた。
「お決まりですか?」
「すまねぇ、まだ何にすっか決めてねえんだ。
それよかよ、このピアノも良いんだけどさ、ジャズが聴きてぇ気分なんだ。
悪いがアート・ブレイキーでもかけてくんないか?
曲はランダムでいいから。」
商品の注文ではない、BGMの変更要請でも動じることなく微笑を浮かべたウエイトレスは、かしこまりましたと言いバックヤードに引っ込んだ。
「ふぅー。何にっすかねぇ~。喉の渇きを癒してくれるもの…やっぱ俺はコーラかなぁ?」
グラスの水をがぶ飲みしたあと、メニュー表を捲って思案している。
ウミはスイーツが掲載されているページを目にした。
フルーツパフェとチョコレートパフェの隣にイチゴがどっさり盛り付けられたイチゴのパフェを発見した。
「フッフッ。」
妻であるソラがイチゴが好物であるのを思い出し、自然とニヤけてしまった自分を窘めた。
「ケッ、なんでぇーあんなヤツ。」
頭の中にソラの天真爛漫な笑顔が浮かんできたが、無理やりかなぐり捨てる。
俺に手錠をかけた女の笑顔になんざ支配されてたまるか。
ウミは乱暴にページを捲った。
コーラ以外、注文するつもりはなかったがプリンアラモードを見つけ、ヨダレが垂れそうになったのを自覚した。
「あ、姉さんいいかい?」
食べたいものが決まったウミは手を振ってウエイトレスに声をかけた。
上品に制服を着こなしたスタイルの良いウエイトレスはウミが座る席に近づく。
「コーラと、プリンアラモードを。
あっ、あと、このナゲットも。
同時に食いたいから一緒でいいよ。」
「かしこまりました。」
窓から外の景色を見る。
先ほどのウエイトレスの姿勢良く歩く後ろ姿がガラスに反射している。
「うん?」
ウミは窓ガラスから反射した様子を見て驚いた。
それはウェイトレスの美しいヒップでもなく、夕方皆んなで眺めた大仏やグランドキャニオンでもなかった。
ウミがウエイトレスに気軽に頼んだBGMだ。
わざわざ、バンドを呼びアート・ブレイキーの曲を生演奏している。
青い髪色のロック青年は、咄嗟に先ほどの美しいウエイトレスを呼びつけた。
「姉さんマジかよ。バンドが生演奏してくれんのか?
お、俺、金はないぞ?」
「こちらは神園様からのリクエストでございます。
お代は頂きませんのでご安心ください。
リクエストされたアーティストに、お間違いはございませんか?」
予約など一切なく、突如呼び出されたバンドは食事をするウミ1人の為に、世界的なジャズドラマーであるアート・ブレイキーの曲、「モーニン」を演奏し始めた。
「俺、こんな素晴らしいもてなしをされたのは初めて。嬉しくって泣きそう…。」
感極まるウミを見て、ウエイトレスは口元に細い人差し指を当てて微笑を浮かべた。
おかげで飯も食った気がしなかったし、風呂の良さも半減したぜ…。」
ドライヤーで濡れた髪を乾かしたウミは、銭湯並みに広い貸し切り大浴場で、鏡に映る自分にポツリと独り言を呟いた。
浴衣に着替え、あらかじめかつらから貰ったマップを手にディナーを食べたレストランではなく喫茶店へ向かった。
「てめえの家に喫茶店があるってぶっ飛んでるよ。」
含み笑いをしたウミはエレベーターで上に昇る。
「いらっしゃいませ。神園ウミ様でございますね。」
店内に入るとキラキラしたシャンデリアが灯りともしており、スーツを着た七三分けの男性スタッフが笑顔で話しかけてきた。
「おぉ。」
「貸し切りでございますので、お席はご自由にどうぞ。」
迷う事なく眺めの良い窓際のカウンター席に座った。
「洒落た喫茶店に浴衣ってのも場にそぐわない格好だが、まぁいいか。」
席に腰掛けた瞬間、ウエイトレスがオーダーを取りにきた。
「お決まりですか?」
「すまねぇ、まだ何にすっか決めてねえんだ。
それよかよ、このピアノも良いんだけどさ、ジャズが聴きてぇ気分なんだ。
悪いがアート・ブレイキーでもかけてくんないか?
曲はランダムでいいから。」
商品の注文ではない、BGMの変更要請でも動じることなく微笑を浮かべたウエイトレスは、かしこまりましたと言いバックヤードに引っ込んだ。
「ふぅー。何にっすかねぇ~。喉の渇きを癒してくれるもの…やっぱ俺はコーラかなぁ?」
グラスの水をがぶ飲みしたあと、メニュー表を捲って思案している。
ウミはスイーツが掲載されているページを目にした。
フルーツパフェとチョコレートパフェの隣にイチゴがどっさり盛り付けられたイチゴのパフェを発見した。
「フッフッ。」
妻であるソラがイチゴが好物であるのを思い出し、自然とニヤけてしまった自分を窘めた。
「ケッ、なんでぇーあんなヤツ。」
頭の中にソラの天真爛漫な笑顔が浮かんできたが、無理やりかなぐり捨てる。
俺に手錠をかけた女の笑顔になんざ支配されてたまるか。
ウミは乱暴にページを捲った。
コーラ以外、注文するつもりはなかったがプリンアラモードを見つけ、ヨダレが垂れそうになったのを自覚した。
「あ、姉さんいいかい?」
食べたいものが決まったウミは手を振ってウエイトレスに声をかけた。
上品に制服を着こなしたスタイルの良いウエイトレスはウミが座る席に近づく。
「コーラと、プリンアラモードを。
あっ、あと、このナゲットも。
同時に食いたいから一緒でいいよ。」
「かしこまりました。」
窓から外の景色を見る。
先ほどのウエイトレスの姿勢良く歩く後ろ姿がガラスに反射している。
「うん?」
ウミは窓ガラスから反射した様子を見て驚いた。
それはウェイトレスの美しいヒップでもなく、夕方皆んなで眺めた大仏やグランドキャニオンでもなかった。
ウミがウエイトレスに気軽に頼んだBGMだ。
わざわざ、バンドを呼びアート・ブレイキーの曲を生演奏している。
青い髪色のロック青年は、咄嗟に先ほどの美しいウエイトレスを呼びつけた。
「姉さんマジかよ。バンドが生演奏してくれんのか?
お、俺、金はないぞ?」
「こちらは神園様からのリクエストでございます。
お代は頂きませんのでご安心ください。
リクエストされたアーティストに、お間違いはございませんか?」
予約など一切なく、突如呼び出されたバンドは食事をするウミ1人の為に、世界的なジャズドラマーであるアート・ブレイキーの曲、「モーニン」を演奏し始めた。
「俺、こんな素晴らしいもてなしをされたのは初めて。嬉しくって泣きそう…。」
感極まるウミを見て、ウエイトレスは口元に細い人差し指を当てて微笑を浮かべた。
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