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side 神下える②

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作りかけの衣装があったという理由だけで天使に種族チェンジしてしまった私は、先輩天使に仕事を教わることになった。

「仕事の前に、天界の事と私達天使の事を教えます」

「お願いします」

「天界は下界である地上を管理する為に存在しています。元々は最高神様が自ら地上を管理されていましたが、自身で管理されなくても良いようにおつくりになったのが私達天使です。そして私達天使が仕事をしたり生活する場所が天界になります」

「最高神様が天使をつくったというのはどういうことですか?」

「最高神様が神力をお使いになり、天使という生命を生み出しました。最高神様がおつくりになられた天使は2人だけです。その2人の天使を原初に私達天使は種を増やしています」

「そうなると、私とあなた達天使は似て非なるものということですか?」
私はスキルで天使になっただけで、最高神からつくられたわけではない。

「根本は異なるのかもしれませんね。生活をしていれば、天界のことも、私達のことも自ずとわかるでしょう。それでは私達の仕事の話をしながら、もう少し詳しく説明しますので付いてきて下さい」

先輩天使から天界の案内をされつつ、他の天使がどんな仕事をしているのかの説明を受ける。

「ここまでが一般的な天使の仕事になります。あなたにも同じような仕事をして頂くつもりでしたが、先程最高神様より念話が届きました。仕事をさせるのであれば、プロジェクトに関わる仕事をやらせるようにとの内容です」

「プロジェクトというのはなんでしょうか?」

「あなた達のことです。異世界からこの世界に学生を集団で連れてくることがこのプロジェクトの始まり。最高神様からプロジェクトの詳細についてはあなたに話さないように指示を受けています。なので話せるのはここまでです。もちろん仕事をやる上で必要な事に関してはちゃんと説明するから安心してくれていいわよ」
賭けがどうのこうの言ってたからその場のノリで私達を誘拐してきたのだと思っていたけど、どうやら計画的に進められていることのようだ。

「私は何をすればいいですか?」
先輩天使に自分の仕事を聞く。
最高神は仕事をやるかどうかは自由だと言っていたけど、やらないとご飯が食べられないそうなので、やるしかない。

「あなたには体の調整をやってもらうわ」

「調整?」

「そうです。しかし、今はやる事はありませんのでその時になったら教えます。それまでは自由にしていて下さい。部屋に案内しますので付いてきて下さい」
私は先輩天使に案内されて部屋を与えられる。

「この部屋を使って下さい。2時間程しましたら、夕食になるので呼びにきます」

「わかりました。ありがとうございます」

雲のようなベッドの上に寝転がったらすぐに寝てしまった。

「起きて下さい」
起こされて目を開けると先輩天使がいた。

「ノックをしても返事がないので勝手に入らせてもらいました。夕食の時間ですがどうしますか?食べずに寝ますか?」

「食べます」

「では行きますよ。食堂はこっちです」

先輩天使に付いていき食堂に入る。

「ここの機械に手を触れて下さい」

「はい」
機械に触ると美味しそうな食事がトレーに乗って出てきた。
ご飯に味噌汁、それから唐揚げ。イチゴまである。
私の好物だ。

先輩天使が持っているトレーには違うものが乗っている。

「もしかして食べたい物が自動的に出てくるんですか?」

「そうです」

毎日好きなものを食べれるなんて幸せだなと思った。

それからしばらくの間、仕事に呼ばれる事はなく基本散歩して過ごしていると、やっと仕事に呼ばれた。

「待たせたわね。これから仕事をやりに行きます」

「体の調整というやつですよね?何をすればいいんですか?」

「見たほうが早いから行きましょうか」

先輩天使の後を付いていき大きなドーム状の建物に入る。
普段私が入らせてもらえない建物だ。

中には部屋がいくつもあった。

「こっちよ」
その中の1つの部屋に入る

部屋には大きなカプセルが1つと見たことない機械が何個か置いてあった。

「その中を覗いてみて」
私は言われた通り、カプセルの中を覗く。

「……田中くん?」

「そう、それは田中風磨の体よ。そろそろ使うことになりそうだから、調整をしていくわ」

「なんでここに田中くんの体があるんですか?」
息をしているようにも見えず、寝ているというよりも人形のように見えてしまう。

「それは…………教えてはいけないみたいね」
前にも念話って言ってたし、最高神もしくはこの天使の上司的な人に確認をとったようだ。

「そうですか」
先輩天使に言ったところで教えてくれるわけでは無さそうなので、聞くのを諦める

「今からやる調整は普段ならあまり時間を掛けることが出来ないのだけれど、今回はある程度タイミングがわかるから教育するにはちょうどいいわ」

「そうなんですね。お願いします」
よくわからなかったけど、じっくりと教育してくれるとの事のようなのでとりあえず返事をした。

「それじゃあ、始めましょうか」

「はい」

「まずはこれを読んで」
先輩天使が空中で手を動かすと、私の目の前にステータスが見れるボードと同じような透明なボードが現れた。

「わかりました」
ボードには田中くんの異世界での行動が事細かく書かれていた。
その内容はショックの大きいものだった。
それから細かく書いてはあるけど、書いてあるのは田中くん本人のことだけだ。
声を掛けられて盗賊になったことは書いてあるけど、声を掛けてきた人についての情報は何もない。

「大丈夫ですか?無理そうであれば他の仕事を任せることも出来ますが……」

「……いえ、大丈夫です」

「やめたくなったらいつでも言ってください」

「わかりました。ありがとうございます」

「今見てもらった情報を元にこの体に手を加えていきます」

「あ、はい」

「まずはこの体から生命力を抜きます」

「え?」
生命力を抜く?

「今この体は地球に住んでいた時と同じ状態になっています。先程、田中風磨がこちらの世界で何をしていたのか読んでもらいましたよね?田中風磨はちゃんと栄養を摂れていましたか?」

「……摂れてません」
田中くんは盗賊になるまでまともな食事をしていなかった。
そしてすぐに捕まった後、食事は与えられていない。

「そうですね。だからこの体から生命力を抜くのです」
だから抜くと言われても意味がわからない

「なんで抜かないといけないんですか?」

「それはあなたには教えることは出来ません。今は言われた通りにやってください」

「……わかりました。あの、田中くんはそんなことはありませんでしたが、例えば腕を落としていたりしたら、この体の腕を切っていたんですか?」

「場合によりますが、基本的にはそんな事はしません。栄養を抜くのも、この後の帳尻を合わせる為ですので、必ずやらないといけないことではありません」

「そう……なんですね」
よくわからない。私もこのプロジェクトの被験者側の1人のようだから仕方ないのかもしれないけど、もう少し事情を教えてほしい。

「理解出来ないこともあるでしょうが、今は仕事だと割り切って諦めてください。生命力を調整するのはこの機械です。このコードをそこに繋いで下さい」

「…はい」
私は田中くんの入っているカプセルと機械とをコードで繋ぐ。

「この数値を変更して下さい。現在の50が元の値です。そうですね……まずは45にして下さい」

「私は言われた通りに機械を操作して数値を45に変更する」

「うわっ!」
すると田中くんの体が少しやつれた

「いい感じですね。もう少し下げますか。42にしてください」
いい感じなのだろうか?

「はい」
私が機械を操作すると田中くんはさらにやつれた

「このくらいですね。これで生命力の調整は終わりです。えっと、他に前もって出来ることは……これがありました」

「あの、先輩が見ているのは私が見ているものと同じものですか?」

「違います。私の見ているものにはこの体がどのように使われるかも書かれています。それからあなたが見てはいけない事も書かれています」

「そうですか。次は何をすればいいですか?」

「この体を汚くします。カプセルの横のパネルを操作して下さい」

私が言われた通りにパネルを操作するとカプセルの中に煙のようなものが充満して田中くんの体が薄汚れた。

「今出来る事は以上です。この体は予定では明日の昼過ぎに使うことになります。残りの作業はその時にやりますので、今日はもう終わりです」

何のためにやっていたのか結局わからないことだらけだったけど、明日になれば少しはわかるのかな?
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