クラス転移したひきこもり、僕だけシステムがゲームと同じなんですが・・・ログアウトしたら地球に帰れるみたいです

こたろう文庫

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協力要請

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「僕に聞きたいことってなんですか?」
僕はヨツバが作った差し入れを他の衛兵さんと食べながら、兵長に聞く。

「いくつか聞きたかったんだが、あの酒場で地下に倉庫があることをスキルで見つけたと言っていただろう?」

「はい」

「そのスキルというのはどんなスキルなんだ?実は、今この街ではある問題を抱えているんだ。そのスキルが隠された部屋を見つけることの出来るスキルなのだとしたら協力を頼みたい」
マップを3D化出来る様にしただけなので、隠されている部屋を見つけるスキルとは少し違う。

マップは、強化したこととは関係なく、僕の周囲5mが表示される。
だから隠された部屋を見つけるには、部屋が隠されているだろう場所の近くを通ってから、マップを細かく調べる必要がある。

兵長が僕に何を期待しているのかがわからないけど、状況を聞かないことには協力することは出来ない。

「隠し部屋を見つけることに特化したスキルではないです。時と場合によっては隠し部屋を見つけることも出来るかもしれませんが、自分の力を隠すことは自衛になりますので、無闇に教えたくはありません。何をして欲しいのかを先に聞いてもいいですか?」

「まだ低ランクと言っていただろう?ランクを聞いてもいいか?」

「Eランクです。一応Dランクの依頼も受けてはいますけど、ランクはEです」

「Eランクなら君の言う通り低ランクだな。酒場の時にも思ったが、君はベテラン冒険者のような動きをするからもっと上位のランクだと思っていたよ」
そう思われるようなことを何かしたかな?
咄嗟に丸太を出したこと以外はずっと兵長に頼っていただけな気がするけど……

「まだ冒険者になって数ヶ月の新人ですよ。それで何をして欲しかったんですか?」

「協力の有無に関わらず、口外しないと約束してもらえるか?」

「衛兵をわざわざ敵に回すようなことはしませんよ」

「すまない。話を聞いた上で協力しても良いか考えてくれ。この街の領主様のご息女が先日、賊によって誘拐された。賊はすぐに討伐したのだが、未だにご息女が見つかっていない。賊が討伐される前にどこかに閉じ込めて隠したのだと我々は考えているのだが、どれだけ探しても発見することが出来ないんだ」
なかなかにヘビーな内容だった

「その、先日というのは何日前の話ですか?」

「3日前だ。賊から暴行を受けていなかったとしても、かなり危険な状態になっている可能性が高いと思っている」
水も飲めない状態に陥っているとすると、今がギリギリのラインかもしれない。

「どこにいるかの当てはあるんですか?」

「ああ、賊が拠点としていた屋敷がある。そこのどこかにはいるはずなんだ」
そこの屋敷に絞れば、隠された部屋を見つけることは出来るかもしれない。

「なんでそこにいるとわかるんですか?」

「ご息女が誘拐されたのは馬車で移動している時だ。その時に護衛していた者は、誘拐こそ許してしまったが、助ける為に賊をずっと追いかけていた。そして屋敷を拠点としていることを突き止めて、すぐに人数を集めて強襲して討伐した。人員を集めている間も屋敷から目を離してはいないから、ご息女は屋敷にいるはずなんだ」
確かに屋敷の中にいる可能性は高そうだ。

「わかりました。昨日、兵長には助けていただいていますので、今回は協力させて下さい。ヨツバとイロハもいいよね?」

「もちろんだよ」
周囲には領主の娘が誘拐されて行方知れずになっていることを隠しているのだろうけど、こんな状況でも昨日助けてもらっているのだから、協力出来ることであれば手を貸すべきだと思った。

「助かる。恩に着る」

「ただ、僕のスキルの詳細についてはやはり教えることは出来ませんので、それはすみません」

「ご息女が無事に見つかれば、方法は気にしない」

「わかりました。では好きにやらせてもらいますね。この話意外にも聞きたいことがあるんですよね?」

「ああ、それは戻ってからにしよう。さっきまでは打つ手がなく困っていたのだが、君が手伝ってくれるのであれば、一刻も早く探したい。今からでも大丈夫か?」

「大丈夫です。案内して下さい。ヨツバとイロハはどうする?」

「心配だから付いていっていいかな?」
2人で少し相談した後、行くことにしたようだ。

僕とヨツバとイロハ、それから兵長の4人で件の屋敷へと向かう。
屋敷の中には衛兵が沢山いて、領主の娘を必死に探している。

「兵長!その方達は?」

「協力者だ。冒険者ではあるが、私が個人的に協力を申し出ている。皆はそのまま捜索を続けよ」

「はっ!」
兵長の様子がさっきまでと大違いだ。

「とりあえず、屋敷の中を一周させて下さい」
僕は屋敷の部屋を一通り見て回る。

僕は椅子を借りて座り、マップを出して隠し部屋がないかを調べる。

この屋敷には地下室があるのか。まだ行ってなかったな。

「地下室に行くのを忘れてたので、ちょっと行ってきます」

「地下室があるのか?」
兵長に地下室に行くと言ったら、兵長は地下室があることを把握していなかった。
あれ、これ地下室に閉じ込められてるんじゃ……。
思ったより早く見つかりそうだ。

「あるみたいです。階段があるので、入り口はこっちですね」
僕は階段がある部屋へと向かう。

「この下に地下への階段があるみたいなんですけど……」
何かで階段が隠されているだけだと思っていたけど、そこには何もなかった。床があるだけ。
しかも何かの仕掛けで開くような感じではない。

何かのスキルが使われたのかも知れないけど、階段を使って簡単に地下へと行き来が出来るとは思えない。

「おい!ここの床を壊せ」
兵長が近くにいた衛兵に指示を出す。

ガンっ!ガンっ!

数人の衛兵が大きなハンマーで床を壊そうとするけど、床の下には分厚そうな鉄板が敷かれていた。
うーん、やっぱり3日前にこの階段が使われたようには思えない。
他にも出入り口があるのかも知れないけど、領主の娘が地下にいる可能性がかなり減ってしまった。

「兵長!すみません。私達の力ではどうにもなりそうにありません」
衛兵の方達の力では鉄板に穴を空けることが出来なかった。傷が付いているだけだ。

「私がやる。皆、下がれ!」
衛兵達が慌てて兵長から距離を取る。

兵長が剣を抜く。
ハンマーであれだけ叩いてもびくともしてない鉄板を斬るつもりなのか?

兵長が剣を振り下ろす瞬間、剣が赤く燃え上がった。
そして、兵長が剣を振るった後、ゴドン!という大きな音が響き、ホコリが舞った。

「危ないから、温度が下がるのを待つとしようか」
兵長は軽い口調で言うが、この人ヤバい。

5cmくらいありそうな鉄板を本当に斬った。
いや、焼き切ったと言った方が正しいかも知れない。
切り口がオレンジ色に輝いて、少しドロッとしている。

やっぱり、酒場で感じたことは間違いじゃなかった。

少ししてから水を掛けて冷やし、地下室へと入っていく。
水を掛けた瞬間にジュワーっと一気に水が水蒸気へと変わって目の前が真っ白になったけど、一体何℃くらいあったのだろうか?

地下室はホコリまみれで、最近誰かが出入りした形跡はなかった。
領主の娘もいない。

「これは……」
兵長が机の上に置かれていた紙を見て、険しい顔になった。

「すまないが、君達はここから出てもらえるだろうか。ここにある情報は見せられるものではない」
僕達3人は、兵長に地下室から追い出された。

兵長のあの表情から察するに、相当ヤバいことが書かれていたと思われる。

「クオンくんが見つけたのに、追い出すなんてひどいね」
イロハが少し不満気に愚痴をこぼす。

「違うよ、兵長は僕達を助けてくれたんだ。僕達がヤバい何かに巻き込まれないように地下室から出るように言ったんだよ。あのまま地下室にいて、知ったらマズい情報を見てしまっていたら、これから普通に生活することが出来なくなっていたかもしれない」

「そんなにヤバいの?」

「わからない。でも兵長の表情を見る限りだと、相当に厄介なことなんだと思うよ。これは知らない方が良さそうだし、僕達は当初の目的通り領主の娘を探そうか」

「そうだね」
気にはなるけど、知ったら最後、後戻りが出来なくなりそうなので、見なかったことにするのが1番だ。
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