クラス転移したひきこもり、僕だけシステムがゲームと同じなんですが・・・ログアウトしたら地球に帰れるみたいです

こたろう文庫

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勘違い

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地下室のことは見なかったことにして、領主の娘探しを再開する。

衛兵の人達は地下室へと駆り出されたようで、さっきまで屋敷内に散らばっていた衛兵は見当たらない。

領主の娘よりも大事なことなのか?と思いながらも、内容を知らないのでなんとも言えない。

僕はマップを見ながら、人が隠れられそうな場所を探す。

そして、屋敷の2階にある部屋と部屋の間に、少し幅が広い空間があるのを見つけた。

他の部屋と部屋との間にも耐熱か防音の為かは知らないけど空間はある。
でもそこの空間は他の所に比べて妙に広く感じた。

僕達は2階へと上がり、部屋の壁を触る。
「この壁の向こうが気になる空間なんだけど……」
特におかしな感じはしないし、どうやって入るんだろう?

僕が何か仕掛けが無いか調べていると、ヨツバに「壁を壊したら?」と言われた。

「いいのかな?」

「さっき躊躇なく床を壊してたでしょ?床に比べたら壁を壊すくらい問題ないと思うけど……。それに女の子の命が掛かっているんだから迷ったらダメだと思うよ」

「わかった。でも流石に勝手に壊すのはマズいと思うから、許可だけもらってくる」
僕は地下室の階段の前まで行き、兵長に確認をする。

「2階の壁を確認の為に壊したいんですけどいいですか?」
入るなと言われているので、1階から大声を出す。

「構わない。すまないが私はこちらで手一杯だ。人手が必要なら他の者を向かわせるが、必要か?」
兵長の声だけが返ってきた。

「とりあえずは大丈夫です。壊せなかったらまた来ます。ハンマー借りますね」
僕は返事をして、ハンマーを手に2階へと戻る。

「兵長は地下室の方で手一杯で来られないみたいだけど、壁は壊していいって。ハンマー借りてきた」

僕はハンマーで壁を叩く。
もしかしたら、近くに領主の娘がいるかもしれないのでゆっくりと壁を壊していく。

少しして、壁に小さい穴が空いた。

「やっぱり、人が通れそうなくらいの空間があるね」
中を覗くと、マップで確認した目算通り隣の部屋の壁との間に人1人分くらいの幅の空間があった。

中は暗くてよく見えないけど、ここにいる可能性はありそうだ。

壁の穴を叩いて広げて、部屋の光が入って中が見えるようになる。

「見つけたよ」
奥の方に横たわる小さな人影が見えた。

叩いている所のそばにいないのが確認出来たので、僕は勢いよく壁を壊して中に入る。

「ヒドい……」
ヨツバが女の子の状態を見て声を洩らす。

声を出せないように口には布が2重に巻かれており、手は後ろで縛られていた。
そして、逃げられないようにする為か両足は無く、包帯が巻かれていた。

もっと大きい子を想像していたけど、3・4歳くらいの小さな女の子だった。

「なんとか生きてはいるよ」
僕は口に巻かれた布を取って、息をしているのを確認する。

「どうにか出来ない?」
ヨツバの視線の先は無くなった足を向いている。

「大丈夫、任せて。賊も討伐されていて、今はここに僕達しかいないから、治しても騒ぎにはならないはずだよ」
僕の回復魔法はチート過ぎて知られたく無いけど、今なら使っても誰も見てないし、そもそも賊が討伐されてもういないので、この子の足が切られていることを知っているのも僕達だけだ。

この子が覚えているかも知れないけど、それは仕方ないし、子供の言うことなので怖い思いをしたせいで勘違いしているとでも周りは思ってくれると信じることにする。

流石にこんな小さい子がこれから足を無くして生きていくのは辛いだろう。

「ヒール!」
僕は回復魔法を掛ける。
ステータスが上がったからか、それともこの子がまだ子供だからか1発でキレイな足が生えてきた。
包帯をブチブチっと引きちぎりながら生えてきたので、先に包帯を外しておけばよかったと後悔するけど、もう遅い。

念の為にリキャストタイムが切れてからもう一度ヒールを掛けておいた。

その後、ヨツバが女の子の体を揺すって起こし、少しずつ水を飲ませる。
そして、しばらく様子を伺った後、ヨツバが女の子を抱えて1階へと降りる。
ヨツバは子供の扱いが慣れている気がする。

僕は嫌いというわけではないが、何を考えているのかわからないので、少し苦手である。

「兵長を呼んでくるよ。手一杯だと言っても、女の子が見つかったのだから、流石にこっちを優先するはずだし……」
優先するよね?

「女の子を見つけました。生きてます!」

僕は地下室へと声を出す。

兵長がバタバタと勢いよく階段を登ってきた。

「本当か!ありがとう、よくやってくれた。ご息女はどこに?」

「今はあそこでヨツバが抱えてます」
僕はヨツバの方を指差す

「……は?―――誰も上がってくるな!これは命令だ!」
兵長がヨツバの方を見て気の抜けたような声を出した後、他の衛兵に地下室から出ないように強い口調で命令を出した。

え、何が起きたの?

「ここだと話し声が聞こえるかも知れない。上に行くぞ」
僕達は険しい顔をした兵長に連れられて、壁を壊した2階の部屋へとやってきた。

「……えっと、どうしたんですか?」
僕は意を決して兵長に聞く

「どうしたはこちらのセリフなんだが……説明してもらえるのか?」
何かマズいことでもしたのだろうか?

「あ、はい。見ての通りですけど、あの壁の向こうに隠し部屋のような空間を発見したので、壁を壊してみたところ、この子を見つけました。多分領主の娘だと思います。縛られていて、口も布で塞がれていました。息をしていたので、揺すって起こした後に水を飲ませました。何かまずかったですか?」
回復魔法を掛けたこと以外は全て話した。

「それで全部か?」
明らかに何かを疑っている様子だ。

「何か気になることでもありますか?」
嘘をつくのはマズいと思ったので、何を気にしているのか聞くことにする。

「なんでご息女の足があるんだ?何をした?」
え?なんで足のことがバレてるんだ?
もしかして、僕達に言わなかっただけで誘拐した時に既に足を切り落としていた?
それか……考えたくは無いけど兵長は賊の仲間だったのか?

「なんで足が無いと思ってるんですか?」
最後の足掻きとして、聞いてみる

「もしかして君たちはこの街に来たのは最近か?」
それがどうかしたのだろうか?

「はい、そうです」

「その子は2年前に事故で足を失っている。これは、この街に住んでいる者のほとんどが知っていることだ。それが何で生えているんだと私は聞いているんだが、心当たりはないか?」

やらかしていたのが確定してしまった。
完全に今回の誘拐事件で両足を失ったと思っていた。

僕はどうするか迷う。
多分ヨツバとイロハは僕の言ったことに合わせてくれると思うので、僕がどうするかだ。

取れる選択肢はすぐに浮かんだ所で3つだ。
①本当の事を話す。
②僕達が見つけた時には足は生えていたと嘘をつく。
③僕達が治したけど、アイテムとかの効果にして回復魔法のことは隠す。

この兵長は昨日の事も考えると悪い人では無いと思う。
他の衛兵にこのことがバレないようにしてくれていることを考えると、穏便に済ませようとしてくれているように感じる。
明らかに異常なスキルは知られたくない。でも、スキルの異常性がバレるだけで、僕達が異世界人だとバレるわけではない。

僕は迷った結果、兵長に本当の事を話すことにした。
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