クラス転移したひきこもり、僕だけシステムがゲームと同じなんですが・・・ログアウトしたら地球に帰れるみたいです

こたろう文庫

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アリオス兵長

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僕は兵長に本当の事を話すことにする。

「この子が以前から足を失っていたとは知りませんでした。今回の事件で賊に切り落とされたと思って、切断した賊達もいないことだし、コソッと治せば誰も気づかないだろうと思い僕が治しました。どうやって治したかは秘密にさせてください」
回復魔法でと言うことは言わないことにしたが、僕が治したことは認めることにした。

「そうか……。複雑な心境だが、まずは礼を言わせてくれ。幼くして両足を失ってしまったご息女が不憫だった。勘違いをしていたのだとしても、治してくれてありがとう」

「ど、どういたしまして……」

「それで、君は何をしたかについては公にしてほしくないということだな?」

「はい、そうです」

「私としても協力をしてもらった立場なので、君が望むのであればここだけの話にしておきたい。しかし、少なくても領主様には話をしないといけない。この後、当然ご息女を領主様の所へと送り届ける予定だ。その時に何も言わずに引き渡すわけにはいかない。それはわかってほしい。もちろん領主様には、私の方から君達が大事にはしてほしくないということは伝えさせてもらうつもりではいる」

「その、領主様はどんな人なんでしょうか?」
兵長の言っていることはわかるが、領主の人柄によっては何をしてでもバラされるわけにはいかない。

「少なくても悪いお方ではない。君が欠損した足をも治せる事を知ったとしても、無理に囲い込んだりはしないだろう。しかし、領主様が周りに公言しなかったとしてもご息女が事故に遭われていることを知っている者はあまりにも多い。領主様も貴族である以上、位が上の方に圧を掛けられれば答えざるを得ないかもしれない」
兵長の話を聞いてわかった。
この街の領主がどうとか関係なく、バレるのはマズい。

「何か違う方法で治ったことには出来ませんか?せめて今回限りの出来事で、何度も出来ることではないということにしてもらえれば、そこまで厄介なことにはならないのではと思うんです。このままこの話が広まってしまった場合、僕の所に手足を無くした方達が押し寄せることになるのではないかと心配です」
それから異世界人の存在が広まってしまった時に、チートなスキルを持っているからあいつは異世界人だ!なんてことにならないか心配だ。

「私はそもそも君がどうやって治したのか教えてもらっていないのだが?こんな神の御業のような事を何度でも出来るのか?」

誤魔化そうとして口を滑らし、話さなくていいことまで話してしまったようだ。

「……僕のスキルで治していますので何回でも使えます。詳細はすみません。例えば、ダンジョンで手に入れた秘薬を使って治したことには出来ませんか?たまたま手に入れた物なので、治した当人も再度手に入れることは出来ないと。領主様が悪い人でないと言うことであれば、領主様には僕のスキルで治したと言う話をして頂いても構いません。ただ、そこから先には秘薬で治ったという話にしてもらいたいです」

「それだと、そんな貴重な秘薬をなんで使ったかって話にならないか?」

「ただのポーションだと思っていたから使ったってことではダメですか?衰弱していたからポーションを使ったら、何故か足が生えてきて驚いていると」

「……騒ぎにしない為にはそうするしかないか」

「いいんですか?」
言ってはみたけど、そうしてくれるとは思ってなかった。

「構わない。善意で協力してもらったのに、その結果君達に被害が被るというのは私の思う所ではない。ただ、さっきも言ったが領主様は貴族だ。国に忠誠を誓っているから、自分より上の者には嘘をつくことは出来ないだろう。だから領主様にも真実は隠すことにする。ご息女は君の持っていた秘薬で治った。たまたま秘薬だと気づいていなかったから君は貴重な秘薬を使った。これで話をする」

「それだと兵長が貴族を騙したことになりませんか?僕は助かりますけど……」

「私に喧嘩を売るものはこの国にはほとんどいないから大丈夫だ。余程の覚悟をしない限りな」

この人は何を言ってるんだ?

「言っていることがよく分からないんですけど、兵長は実は偉い人だったりするんですか?」

「偉くはないよ。何か権力があるとすれば、兵長という立場でしかない。出来る事と言えば、部下に指示をすることくらいだ。自慢するみたいで恥ずかしいのだけれど、私の事を少し話そうか」

「お願いします」

「まずは名乗っていなかったが、私はアリオスだ。聞いたことはないか?」

「いえ、ありません。僕はクオンです」
アリオスさんは有名な人なのだろうか?

「ヨツバです」「イロハです」

「私は以前まで王都で騎士をやっていた。第一騎士団の団長だ。知っているとは思うが、騎士団というのは所属ごとに役割が異なる。私がいた第一騎士団は戦闘のスペシャリストの集まりだ」

騎士のことは知らないけど、戦闘がメインの騎士団で団長をしていたと。
どのくらいかはわからないけど、アリオスさんがトップクラスに強いということはわかった。

「騎士というのは国を守る為の集団ではあるのだが、国に仕えている以上、貴族を優先的に守ることになってしまう。君は目の前に危険になるかも知れない貴族と今にも死にそうな平民の子供がいた場合、どちらを助ける?」

「その時になってみないとなんとも言えませんが、子供を助けたいです」

「私もそうだ。しかし、騎士という立場では死にそうな子供を無視してでも、貴族を優先して助けることになる。私にはそれが耐えられなかった。もちろん貴族を優先する理由もわかってはいる。貴族が亡くなればその影響は子供が亡くなるよりも圧倒的に大きいからな。だから騎士が悪いものだと思っているわけではない。私に合わなかったというだけだ」
アリオスさんの顔を見ればわかる。これは実際にあった事なのだろう。
アリオスさんは子供を見捨てたのだ。

「ここまで話せばわかると思うが、私は騎士団を辞めて衛兵になったんだ。衛兵も街を守るという意味では同じようなものだが、騎士のように堅苦しくはない。もちろん、領主様を介してお金は頂いているが、同じ状況であれば子供を助けても咎められることはない」

「アリオスさんを周りが敵に回したくない理由はわかりました」
貴族が権力を盾に、アリオスさんから無理矢理情報を聞きだした結果、アリオスさんが怒って国を出てしまいでもしたら、国として損害が大きすぎる。
だから、アリオスさんと敵対するかも知れないことをするには相当な覚悟が必要だということか。

「そういうことだから、後は任せてくれて構わない。領主様は君達にお礼をしたいと言うだろうから、後日領主様の住んでいる屋敷に招待されることになるだろう。悪いようにされることはないはずだから、それには応じてほしい」

「わかりました。ありがとうございます」

アリオスさんのおかげで、最悪の事態は免れたようだ。

「昼食の時に少し話たが、君には今回のご息女誘拐の件とは別に聞きたいことがあるんだ。後日、君の都合の空いている時で構わないから詰所まで来てほしい」

「わかりました。それでは急用が入らなければ3日後の昼くらいに伺います」
思い返してみると、確かにいくつか聞きたいことがあるって言ってたな。

「わかった。その時に今回協力してもらったお礼もするから、期待しておいてくれ」

「ありがとうございます。楽しみにしてます」
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