クラス転移したひきこもり、僕だけシステムがゲームと同じなんですが・・・ログアウトしたら地球に帰れるみたいです

こたろう文庫

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答え

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委員長と話をした翌日、桜井君には隠れて僕が委員長に会いに行ったことを話し、委員長はやはり僕に会わないようにしていただけだったので、桜井君が委員長の所に行けば会うことは可能だと伝える。

詳細は省いたけど、僕自身も委員長と話し合った結果、今後は隠れて騎士達の中に侵入しなくても会うことは可能になったとも話してある。

元々桜井君に付いてきた結果この街に戻ってきただけなので、特に予定のない僕は数日散歩しつつ時間を潰した後、街を出る前にアリオスさんのところへと顔を出す。

「そろそろこの街を離れようと思いますので、約束通り前回の模擬戦の答えを聞きにきました」

「もう離れるのか」

「ハルト君の恩人がハロルドさんだった時点でこの街に滞在する理由はなくなりましたからね。ハルト君が僕と行動を共にするのか考えている所なので、考える時間を与えるために数日滞在していただけです」

「仕方ないな。前回断られたが、衛兵になりたくなったらいつでも来てくれ。歓迎する」

「ありがとうございます。気が変わりましたらお願いします」

「それで、模擬戦の答えだったな。何が起きたのかは理解しているが、どうやったのかはさっぱりわからないな」

「聞いてもいいですか?」

「ああ、君は実在する魔法に幻を混ぜて放ってきていた。幻には魔力がこもっていない。だから集中することで幻かどうかの判断がつく。魔力がこもっているのは本物で、目に見えるだけのものは幻だ。そう思っていたが、魔力のこもっていない土魔法は幻ではなく本物だった。ここまでは合っているだろうか」

「惜しいですね。意味合いは合ってますが一部違います」
土魔法ではない。ただの石だ。

「…………ああ、そうか。そんなことが可能なのかは一旦置いておいて、あれは魔法ではないのか。私は石を投げられたわけだ。投げるモーションをしていなかったから投げたとは違うのだろうが、そういうことだろう。魔力を隠蔽していたのだと思っていたが、そもそも魔法じゃなかったんだね?」
アリオスさんは深く考えた後、正解を導き出した。

「正解です。アリオスさんが何を基準にどれが虚像なのかを判断しているのかはわかりませんでしたが、魔力を感知して判断しているなら、騙されるのではと思いました。他の方法で判別していたら全く意味のないことをしていましたけどね」

「なんとか正解出来たが、そうなると君の攻撃は全て避けるか斬るかしたほうが良さそうだね」

「そもそも実戦であれば、初めから避けますよね?」

「もちろんそうするが、背後に守るべき者がいる場合など、避けることの出来ない場合もある。全てを斬ることの出来ない量を撃ち込まれれば、対処しきれなくなるかもしれないな」

「確かにアリオスさんを相手にするにはその方法が1番効果が高そうですね。ただ、そういったゲスいやり方を僕は好みませんので、やり方を選べるならその方法は選びませんけどね」

「そうだろうな。だから衛兵に勧誘したからね」

「それじゃあ正解したアリオスさんに別の方法で一撃入れたい所ですけど、正直方法を思いつきません」

「それは残念だ」

「なので、他にアリオスさんが面白いと思うようなことをやっておきますので、暇つぶしに考えてみてください」

「期待して見させてもらおう」

「あまり期待しすぎないで下さい。まずはこれです。触ったらダメですよ」
僕は石を3つアリオスさんの前に置く。
ただの石と幻影の石を被せた石と幻影のみの全てが虚像の石だ。

「……なるほどな。真似は出来ないが、面白いことを考える。こうなっていたんだな」
アリオスさんはカラクリに気づいたようだ。

「やっぱり騙せるのは初見だけですね。窓を開けますね」
僕は魔力操作のみで窓を開ける。

「……魔力は感じたが、何をした?」

「今のが2つ目です。風魔法ではありませんよ」
窓の近くで圧縮した魔力を解放させて、衝撃で窓を開けただけだ。
この世界の人は自分の体からしか魔法を発動出来ないけど、僕にはその制限はない。
自身の魔力を使っているのに、自分の体から離れたところに発動するという、この世界の人からしたら謎現象を起こすことが可能だ。

「それは分かっている」

「とりあえず謎を与えることが出来てよかったです。次にアリオスさんに会う口実が出来ました」

「何も用がなくても来てくれて構わない。君は刺激になる」

「最後にとっておきをお見せします。前にアリオスさんに石を当てたのに無傷でしたよね?」

「自慢ではないが、君に石を当てられても怪我はしないな」

「避けないでくださいね」
僕はアリオスさんに前回同様に石を射出する。

「……はは。やはり君は面白いな。傷を負ったのはいつぶりだろうか」
石はアリオスさんの手に食い込んでおり、そこから血が垂れている。
今回は石に貫通属性を付与した。
防御力を無視してダメージを与えることの出来る付与魔法だ。
アリオスさんには力量差があり過ぎるせいでダメージを与えられないだけで、攻撃を無効化されているわけではない。
硬い守りも無視してしまえば傷を負わせることも可能だ。

「ヒール」
僕はアリオスさんの怪我を治す。

「すごいな。一瞬で傷が塞がった。だが私に見せてよかったのか?領主様の娘の足を生やしたのも同じことをしたのだろう?普通の治癒魔法ではこうはならない。前は隠そうとしていたはずだったが?」

「アリオスさんには異世界人だということも話しましたし、他言するような方ではないのがわかったので構いませんよ」

「そうか。嬉しいことを言ってくれる。……聞きたいのだが、さっきの攻撃は物に対しても有効か?」

「……出来ると思いますけど、なんでですか?そういった推測もアリオスさんには面白いのかなと思ってやってみせたわけですけど……」
こういったのは考えるのが楽しいのに……。

「私としても考えもせずに答えを聞きたくはないのだが、現在困っていることがあるんだ。本来であれば巻き込みたくはないのだが、手詰まりな状況なので手を借りたい」

「出来ることなら構いませんよ」

「出発を遅らせることは可能だろうか?」

「急いで出る必要はないので問題ないですよ」

「では、明日の朝にまた来てもらえるか?準備をしておく」

「わかりました」
何の?とは思ったけど、何か壊して欲しい物でもあって、それの準備だろう。

「そういえばアリオスさんに聞きたいことがあったんですけど、団長の試験って本当に誰も手加減したアリオスさんに一撃を入れられなかったんですか?先日騎士団の訓練を見てましたけど、そこまでだとは思えませんでしたよ……」

「……これは他言無用で頼む。レイハルト……と言っても君にはわからないか。第1騎士団の副団長に私が団を抜けるという話をした時に、手合わせして欲しいと頼まれたんだ。団長の座を継ぐ前に自分の成長を見てほしいという話だ。当初は最後に稽古をつけてやるだけのつもりだったのだが、話をしているうちにレイハルトが、私に一撃を当てるくらいでないと私の後を継げないと言い出した。それが試験の発端だ。私としてはある程度手加減をして、レイハルトの成長を見届けて団を離れるつもりだったのだが、それを彼は拒んだ。仕方なく私はレイハルトの攻撃を本気で躱し続けた。結果としてレイハルトは私に一撃を入れられなかったんだ。レイハルトが基準となっているから、手加減をするといっても、レイハルトよりも遅い攻撃に当たってやるわけにはいかない。そうなると君みたいに絡め手で攻撃を当てるしかないわけだが……騎士という性質上なのか、試験ということを気にしているのか知らないが、皆真正面から掛かってくる。ある程度の創意工夫はあっても、騙し討ちをメインとしたような戦略はやらないんだ。そうなると結果はわかるよね?」
裏話が聞けてしまった。
アリオスさんはレイハルトという人に団長になってほしいってことだよね。

「……そうだったんですね。知らない方がよかったような裏話を聞いてしまったんですけど、それならなんで僕が団長になれるような推薦状を書いたんですか?僕は試験のことを知らなかったんですから書く必要はありませんでしたよね?先日の約束の件もそうです」

「君は騎士にはならない。私と同じだ。規律に縛られたところでは生きていけない。団長になったとしても、別の目的を達成するためだろう。だからそのまま団長の椅子に座り続けはしない。それなら何も問題はない。レイハルトの刺激になると思っただけだ。あいつは真面目過ぎる。一度君のような特殊な人間の下に就くのもいい経験になるだろうと画策していただけだ」
間違ってはない気がするけど、真正面から特殊だと言われると肯定したくないな。

「そんな思惑があったんですね。それなら、あまり遠慮せずに団長の椅子に座っても良さそうですね」
自分の目的の為だけに騎士団に入るのはどうかと思っていたけど、今の話を聞く限りだとそこまで気にしなくてもいいな。

「大きな声では言えないことだから自重はしてもらいたい」

「それはもちろんです。いい話が聞けました。では明日の朝にまた来ます」
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