クラス転移したひきこもり、僕だけシステムがゲームと同じなんですが・・・ログアウトしたら地球に帰れるみたいです

こたろう文庫

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芋蔓式

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クロウトの自尊心を大分傷つけることが出来たので、僕はそのまま訓練場を出て、離れたところから望遠のスキルも使い、様子をうかがう。

クロウトは周りの視線に耐えられずに訓練場から走り去り、教室ではなく寮に戻るので、距離を少し詰めつつ後を追いかける。

部屋から苛立った声がしばらく聞こえた後、怒りがまだ収まっていない様子のクロウトが出てきて、街の方に行く。

隠れて尾行すると、クロウトは一軒の古びた屋敷に入っていった。

「どうしようかな」
狙い通りなら、クロウトは鬱憤を晴らす為に人には見られたらマズいことを始めるはずだ。
孤児院に対して定期的にちょっかいを掛けているとすれば、あの屋敷の中に実際に孤児院に悪さをしている人物、またはグループがいると思われる。

ただ、さすがにずかずかと中に入っていったらバレるだろう。

中に入るのは一旦諦めて、屋敷の周りを大きくぐるっと周る。

「見える範囲には、見張りは2人か……。やっぱりバレるリスクを犯してまで突入するのはやめるべきだな」

中の様子を確認するのは諦めて、しばらく外で待っているとクロウトが出てきた。
時間が経ったからというのもあるだろうが、苛立ちは収まっているようにみえる。

クロウトは学院の方に歩いて行ったので放っておいて、屋敷の監視を続けていると、若い男と中年の男が屋敷から出てきたので、2人の後を追う。

2人は人気のない路地裏の方へと歩いていき、一軒の小さな家に中年の男だけが入る。
若い男は見張りなのか、中には入らずに外で待機している。

離れて窓から家の中を覗くが、誰かが中にいるようには見えない。
窓から見えない位置にいるだけかもしれないけど、地下室でもあるのかもしれないな。

またしばらく待っていると、中年の男が家から出てきて、屋敷の方に帰っていった。

「普通に考えるなら、あそこの家にいるのが賊で、さっきの屋敷にいる連中が客と賊の橋渡しをしているということかな。突入して壊滅させてもいいけど、相手の戦力がわからないのは危険か……」
どうするか迷った結果、少し待つことにする。
突入するにも、夜の方がやりやすいだろう。

ストレージに入れておいた弁当を食べながら待っていると、家から男が出てきた。

男の後を付いていくと、酒場に入っていった。

「グロッソだね。少し話をしようか」
鑑定でみた名前を言いながら、男の前の席に座る。

「誰だ、てめぇ」

「第1騎士団団長のクオンといいます。名前くらいは聞いたことないですか?簡単に言えば、あなたの敵です」

「クソっ!!」
グロッソは立ち上がり逃げようとする。

「ウォーターボール!」
酒場の出口に向かって走るグロッソの背中に、水球を10発打ち込んだところ、グロッソは吹き飛ばされ壁に激突した。

「うわぁぁ」「きゃー!」
いきなりの騒ぎに酒場にいた人が悲鳴を上げる。

「動かないように。僕は騎士です。この人を捕まえにきました。妙な動きをしたら、賊の仲間の可能性を考慮して連行します」
動いたら連行すると言われて、客達はビクビクしながらも静かになる。

「店主、この方はここの常連ですか?」
グロッソを拘束しながら、店主に問いかける。

「何度か来たことがあるかもしれないが、俺は覚えていない」
店主が答える。

「そうですか。あなたの足元を調べさせてもらっても構いませんか?地下室がありますよね?」
マップであそこに地下室の入り口があるのはわかっており、僕が騎士だと言った瞬間に見えないように入り口の上に移動したのを僕は見逃していない。

「ストーンバレット!」
僕はバッと振り向き、後ろにいた男に石弾を叩き込む。
アラームが鳴ったからだ。

「動かないように言ったはずだけど、聞こえてなかったのかな?お前ら全員こっちに来て手を床に付いて伏せろ。手が離れているのを見つけたら、こいつと同じ目に遭うと思え」
男を縛りながら再度忠告して、客を見える位置に移動させる。

「さて、そこをどいてもらえるかな?…………はい、時間切れ。ストーンバレット!」
店主が退こうないので、無理矢理どかして縛る。

「さて、何が出てくるかな」
僕は少しわくわくしながら、地下室があるはずの床を壊す。

「ひぃぃぃ!」
地下にはいくつも檻があり、そこには犬型の魔物と、子供が繋がれていた。
そして、高そうな服を着たおばさんがうずくまっている。

「違法売買か……。面白くもなにもないな。拘束するから。暴れるなら痛い目をみることになるよ」
痛ぶる趣味はないので、うずくまったまま抵抗しないおばさんをそのまま拘束する。

さて、後始末は衛兵隊に任せるか。僕が用があるのは1人だけだし。

「ファイアーボール!」
天に向かって火球を放ったことで天井が崩れる。

「助けてくれ!俺はただの客なんだ」

「ウォーターボール!」
立ち上がって叫ぶ男に水球を当てて拘束する。

「はい、ただの客ならどうにもしないから大人しくしているように」
これじゃあ、僕が悪者みたいだな。

誰も逃げないように気を付けつつ待っていると、騒ぎを聞きつけた衛兵がやって来る。

「ご苦労様です。先日はどうも。別件の任務の最中に違法売買をしている店を見つけました。あの通りです。言うことを聞かない人は拘束しましたが、他の人は酒場の客か違法な物を買いにきた人かわからないので、調べて適切な対応をお願いします」
後始末は衛兵の方に任せる。

「ご協力感謝致します。詳しく話を聞きたいので、騎士団長様も詰所に来ていただけますか?」

「もちろんです。それから、そこの男が元々追っていた相手です。詳しく聞き取りをしたいので、詰所の一部屋を貸してください」

「わかりました」
衛兵の方と酒場にいた人を連れて詰所に向かい、個室を借りてグロッソと話をする。

「さて、僕が聞きたいのは1つだけ。先程あなた達に仕事が入ったよね?話すのであれば、情報に値する分だけ罪が軽減されるように口添えしてあげよう。話さずにいてもどうせ尋問されて話した後は、無惨に死ぬだけだ。今話すなら痛い目に遭わずに、死なずに済むかもしれない。悪くない話だと思うけどどうだろうか?答えを聞くのは一度だけだから、よく考えて決めてね」

「……仲間は売らない」
グロッソか答える。

「そうか。賊だということは否定せずに、仲間がいると。話す気がなくても、それだけ聞ければ十分だ」

「話は終わったので、あの男は衛兵隊の方で通常通り取り調べをお願いします」
僕は部屋を出て、近くにいた衛兵に伝える。

「かしこまりました」

「兵長に会えますか?頼みたいことがあります」

「ご案内します」


「賊の拠点をあと2つ潰したいので、何人か衛兵の方を貸してもらえませんか?本来は衛兵の仕事とも言えるので、手を貸すのは僕の方かもしれませんが……」
兵長に後処理用の衛兵を貸してほしいと頼む。
まあ、貸してもらえなくても、騒ぎになれば結局来ることになる。

「わかりました。ただ、突入する前に情報を共有させてください。部下を危険な目にあわせたくない」

僕はネロ君のことは伏せた状態で、ロンデル子爵の息子のクロウトが賊と繋がりがあるという情報を入手したので、その調査をしていたことを説明する。
そして、クロウトの後をつけた結果、これから向かう2つの拠点と、先ほどの酒場にたどり着いたとも伝える。

「わかりました。くれぐれも安全を第一に、逃した賊が暴れて街の人に被害が出ないようにお願いします」

その後、衛兵隊の協力もあり、賊の拠点は壊滅した。
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