クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫

文字の大きさ
103 / 147
国盗り編

逃亡者、説得する

しおりを挟む
僕達はフィルの部屋に戻ってきた。

「クルトには悪い事をしたけど、クルトの本音が聞けてよかったね」

「クルトさんの気持ちが知れたのは良かったですけど……すごい罪悪感があります」
フィルは複雑そうな顔をしている。クルトを騙して申し訳ないって気持ちと、クルトが言ったことへの嬉しさが絡まり合っているのだろう。

「あれは僕がやった事だから、フィルは気にしなくて良いよ。後でクルトにはちゃんと説明して謝っておくから」

「うん…」

「話が逸れてたけど、そう言う事だから、僕はフィルに獣人代表として会議に参加して欲しいんだよ。参加するメンバーの大体は僕の知ってる人だし、堅苦しいものじゃなくて、種族間の交流の場くらいに考えて欲しいんだけど……ダメかな?もちろんフィル1人で行かせたりはしないよ。確認してにはなるけど、クルトにサポートをお願いするつもりだし、もちろん僕も会議には参加するよ」

「ハイトさんは私に参加して欲しいってことですよね?私だと力不足じゃないですか?」

「力不足なんてことはないよ。フィルが1番適任だと僕は思ってるよ。それに獣人の知り合いからも今の獣人の代表はハイトミアのリーダーだって聞いてるから自信をもって参加して欲しいな。でも無理強いするつもりはないから、嫌ならそう言って欲しい。残念だけど、他の人に頼むから」

「……ちなみに私が断ったら誰にお願いするんですか?」

「ファルナ様だよ」

「えっ、あのファルナ様ですか?」
フィルはファルナ様の事を知っているようだ

「ファルナ様のこと知ってるんだね」

「もちろんです。会ったことはありませんけど、名前くらいは獣人ならみんな知ってます。行方がわからないって聞いてますけど、ハイトさんはどこにいるのか知ってるんですか?」

「知ってるよ。本人が行方を隠してるみたいだから、勝手に教えるわけにはいかないけどね」

「そうですか。それなら私よりファルナ様に代表になってもらった方がいいと思います」

「フィルが嫌ならそうするけど、僕はフィルに獣人代表として参加して欲しいんだよ。僕はファルナ様に頼むことが出来るけど、フィルに頼んでいるんだよ。だから断るにしても、ファルナ様の方が適任だからなんて理由はやめてほしいな。どうしてもっていうなら、ファルナ様にも獣人側で参加してもらうけど、クルト同様、フィルのサポート役として頼みたいな」
聞かれたから答えたけど、フィルの気持ちを聞く前にファルナ様の名前を出したのは失敗だったかもしれない。

僕が思っているよりもファルナ様は獣人にとって大きな存在のようだ。

「ハイトさんがそこまで言ってくれるなら、私がんばります!ファルナ様についてはハイトさんにお任せします。私はクルトさんが付いてきてくれれば大丈夫です。安心して話をすることが出来ます」
フィルとクルトはお互いに信頼出来てるようだね。

「よかったよ、ありがとう。それじゃあフィルにはクルトと一緒に参加してもらうね。クルトの説得は任せといてね。多分説得しなくても良い返事をくれると思うけど。また正確な日程とかが決まったら教えるからよろしくね」
いい決断をしてくれてよかった。
嫌々というわけでもなさそうだし、これなら大丈夫そうだ。

「わかりました」

「それじゃあ、僕はクルトに話をしてくるよ」
僕はフィルの部屋を出て、クルトの部屋に向かおうとする

「待ってください。クルトさんには私から頼みます。さっきの事もちゃんと謝りたいです」

「フィルから説明するのは構わないよ。でもさっきも言ったけど、フィルは何も悪いことはしてないからね。僕が説明もせずに連れていっただけだから」

「そうかもしれませんけど、ハイトさんにやらせてしまったのは私ですので……」

「まあ、フィルが謝りたいなら謝ればいいよ。その話とは別にクルトには用があるから、話が終わったら教えてね」
クルトもその辺りは予想がついているだろうし、フィルに怒ることはないだろう。フィルにはね……。

「わかりました」
フィルはクルトの部屋に向かい、僕は自分の部屋へと戻る。

しばらくしてフィルが訪ねてきた。クルトとの話が終わったようだ。

「お待たせしました。クルトさんは一緒に来てくれるそうです」

「うん、よかったよ。やっぱりクルトは了承してくれたね」

「はい。ハイトさん、今日はありがとうございました。おやすみなさい」
フィルはそれだけ言って戻っていった。
やり方はよくなかったかもしれないけど、フィルがさらに一歩前に進めたようでよかった。

さて、僕はクルトに怒られに行こうかな

僕はクルトの部屋に行く

「クルト、さっきはごめんね。フィルの為とはいえやり過ぎたよ」

「はぁ、もういいよ。それで他に話があるんでしょ?」
あれ?怒ってない?

「怒ってないの?色々と言われる覚悟はしてきたよ?」

「フィルちゃんから経緯は聞いたからね。あのやり方はないと思うけど、怒る気は失せたよ」
クルトはやれやれといったご様子だ。

「僕も怒られたいわけではないから、それならそれで助かるけど、もう一度ちゃんと謝らせてね。もう少しやり方は考えるべきだったよ。ごめんなさい」

「もういいよ。それで話って?」

「ああ、うん。さっきフィルがダンジョンに行くのを禁止したんだよ」

「よくわからないんだけど、今度は本当の話かな?本当なんだとしたら、なんでそんなことするの?」
仕方ないけど、疑われている

「今度は本当だよ。フィルが働きすぎてると思うんだけど、どうなってるの?」

「フィルちゃんは3日働いたら1日くらいのペースで休んでるよ。そこまで働きすぎてるかな?」

「休みの日でも働いてるよね?屋敷にいる時は書斎か応接室にいるって言ってたよ」

「そうだね」
クルトは何言ってるの?って感じでこっちを見る

「え、休んでないよね?」

「ダンジョンには行ってないし、休んでるでしょ?」

「書斎でやってる書類関係も、応接室でやってる来客の対応も仕事だよね?」

「仕事ではあるけど、休みの合間にやってることでしょ?ハイトは何をそんなに気にしてるの?」

「クルトは休みの日は何してるの?」

「ダンジョンで使うものの買い出しだったり、ギルドに行って情報を集めたりかな」
これはダメだ。クルトも休んでない。だから気づかないのか。
そもそもそれがこの世界の常識なのかな?

「それは休んでるの?」

「休みだよ。休みの日に準備しておかないと、ダンジョンに潜る時に困るでしょ?」

「それって他の冒険者も同じことしてるの?」

「してないのは新人くらいじゃないかな。その結果ダンジョンで困るのも勉強だよ」

「仕事の事を忘れるような休みはないの?」

「怪我した時とかはそうなるね」

これは本格的にテコ入れが必要なようだ。

僕はクルトに休みとは何かを説明した。そして……

「お金のことは気にせずに僕のお金を使っていいから、人を増やすなりしてみんなの仕事量を減らすように。そして休みの日は仕事をすることを禁止します。どうしても仕事をしないといけないなら、元々仕事だった日に休むように。これは決定だからね。この事はクルトを責任者にするから、ちゃんとみんなに説明して、クルト自身が見本になるように休む事。わかった?」

「いや、急にそんなこと言われてもね。ハイトには働き過ぎているように見えるかもしれないけど、これが普通なんだよ」
わかってもらえなかった。なのでさらにこんこんと休みとは何か、なんで休まないといけないのか言い聞かせることにした。

「わかった?」

「ああ、もうわかったよ。試しにだからね。試しにやってみて、それでまわらなくなったらやめるからね」
クルトはわかったというより、僕の圧に負けたようだ。
でも試しにでも定期的に休むようになれば、休みの大切さがわかるだろう。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

クラスまるごと異世界転移

八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。 ソレは突然訪れた。 『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』 そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。 …そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。 どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。 …大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても… そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

処理中です...