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11.湊という男②
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湊は、いじめにあっていたのだ。
学年の違う俺は、湊がそんな目に合ってるとは知らなかった。ただ、見かけるといつもどこか怪我をしていた。
「こけちゃって」
「つまづいて」
会うたびに語られる言い訳。流石の俺もおかしいと思った。
そして俺は、目撃した。
「おまえ本当は、女なんだろ!」
「ち、ちが…」
「しょうこ見せてみろよ!」
「ズボン脱げよ!」
「やっ…!」
数人の男の子が湊を囲んでいた。中にはおそらく俺よりも年上がいた。そんな奴らが、あろうことか湊のズボンを脱がそうとしていたのだ。
「お前等!湊になにやってんだ?!」
体が勝手に動き、そいつらに向かって怒鳴っていた。
「寄ってたかって一人をいじめて楽しいか?」
「何だお前?」
「うるさい!湊から離れろ!」
「邪魔すんな!こいつからやっちまえ!」
そいつらは、俺めがけて殴りかかってきた。俺はテレビのヒーローのようにカッコよく…なんて事は出来ず殴られ蹴られ髪を引っ張らと散々な目に合ったが、俺だってやり返してやった。殴り、蹴り、噛みつき…。まぁ、後は男の急所を少々…。
三人は半泣きの顔で急いで俺から逃げて行った。そして、そこにはズボンを半分脱がされた湊が残された。
「…立てるか湊?」
コクリと頷いた湊は、俯いたままゆっくりと立ち上がった。俺は、立ちあがった湊のズボンを直しギュっと湊を抱きしめた。
「…ひろ兄…」
「気付いてやれなくてごめんな。明日から一緒に学校行こうな」
「…うん…うん…ひろ兄…ひろ…に……うわ~ん!!」
泣くのを我慢していたのか、湊が激しく泣きだし俺の事をギュっと掴んで泣き止むまで離すことはなかった。
泣き疲れた湊はそのまま眠ってしまい、俺は何とかおんぶをして湊を自宅まで届けた。おばさんに訳を話したら、何となく気付いてはいたが、湊が頑なに話してくれなかったと少し涙ぐんでいた。後の事は任せてと言っていたので、俺は登校を一緒にすることを約束して湊の家を後にした。
次の日、家を出るとすでに湊が待っていた。
「ひろ兄おはよう」
「おはよう湊」
昨日の事には触れずにいたが、湊がおずおずと俺の手を握ってきた。やっぱりどこか怖いのだろうと思い、その日は手を繋いで登校した。教室まで送っていくと、昨日の奴らが湊の顔を見るなり走ってどこかに行ってしまった。…昨日何かあったんだなとは思ったが、取り合えず大丈夫だろうと思って湊を教室に入るのを見届けて、俺も自分の教室に向かった。
この日を境に、湊は昔より俺にべったりとなった。
朝はもちろんの事、帰りも俺を待つようになった。俺の方が確実に遅いのに、湊は無料の学童で待っていた。
流石に中学になれば離れるだろうと思っていたのだが、全くそんな気配は無かった。それよりも、成長した湊はすっかり美少年に育ち、性格も大分明るくなった。4歳も年下なのに、湊を見ると女子たちが「紹介して!」とうるさかった。
ここからが、俺の不幸の始まりだ…。
学年の違う俺は、湊がそんな目に合ってるとは知らなかった。ただ、見かけるといつもどこか怪我をしていた。
「こけちゃって」
「つまづいて」
会うたびに語られる言い訳。流石の俺もおかしいと思った。
そして俺は、目撃した。
「おまえ本当は、女なんだろ!」
「ち、ちが…」
「しょうこ見せてみろよ!」
「ズボン脱げよ!」
「やっ…!」
数人の男の子が湊を囲んでいた。中にはおそらく俺よりも年上がいた。そんな奴らが、あろうことか湊のズボンを脱がそうとしていたのだ。
「お前等!湊になにやってんだ?!」
体が勝手に動き、そいつらに向かって怒鳴っていた。
「寄ってたかって一人をいじめて楽しいか?」
「何だお前?」
「うるさい!湊から離れろ!」
「邪魔すんな!こいつからやっちまえ!」
そいつらは、俺めがけて殴りかかってきた。俺はテレビのヒーローのようにカッコよく…なんて事は出来ず殴られ蹴られ髪を引っ張らと散々な目に合ったが、俺だってやり返してやった。殴り、蹴り、噛みつき…。まぁ、後は男の急所を少々…。
三人は半泣きの顔で急いで俺から逃げて行った。そして、そこにはズボンを半分脱がされた湊が残された。
「…立てるか湊?」
コクリと頷いた湊は、俯いたままゆっくりと立ち上がった。俺は、立ちあがった湊のズボンを直しギュっと湊を抱きしめた。
「…ひろ兄…」
「気付いてやれなくてごめんな。明日から一緒に学校行こうな」
「…うん…うん…ひろ兄…ひろ…に……うわ~ん!!」
泣くのを我慢していたのか、湊が激しく泣きだし俺の事をギュっと掴んで泣き止むまで離すことはなかった。
泣き疲れた湊はそのまま眠ってしまい、俺は何とかおんぶをして湊を自宅まで届けた。おばさんに訳を話したら、何となく気付いてはいたが、湊が頑なに話してくれなかったと少し涙ぐんでいた。後の事は任せてと言っていたので、俺は登校を一緒にすることを約束して湊の家を後にした。
次の日、家を出るとすでに湊が待っていた。
「ひろ兄おはよう」
「おはよう湊」
昨日の事には触れずにいたが、湊がおずおずと俺の手を握ってきた。やっぱりどこか怖いのだろうと思い、その日は手を繋いで登校した。教室まで送っていくと、昨日の奴らが湊の顔を見るなり走ってどこかに行ってしまった。…昨日何かあったんだなとは思ったが、取り合えず大丈夫だろうと思って湊を教室に入るのを見届けて、俺も自分の教室に向かった。
この日を境に、湊は昔より俺にべったりとなった。
朝はもちろんの事、帰りも俺を待つようになった。俺の方が確実に遅いのに、湊は無料の学童で待っていた。
流石に中学になれば離れるだろうと思っていたのだが、全くそんな気配は無かった。それよりも、成長した湊はすっかり美少年に育ち、性格も大分明るくなった。4歳も年下なのに、湊を見ると女子たちが「紹介して!」とうるさかった。
ここからが、俺の不幸の始まりだ…。
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