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10.とりあえず逃げたい!
翌朝。
「悠希~、母さん仕事行くから後よろしくね~」
「ん~」
完全に覚醒していない俺に、母さんが廊下から声を掛けてきた。時計を見ると8時半を過ぎた所だった。
「ふぁ~。そろそろ起きるか~」
ベッドから降り、伸びをしてベランダのカーテンを開ける。今日も暑そうだ。
廊下に出ると、リビングから和希の声が聞こえる。こんな朝早くから誰か来ているのか、楽しそうな話声がした。
「和希~誰かき・・・」
扉を開けると、そこには千尋と和希がリビングで宿題をしていた。
「千尋さんの教え方解りやすいです!」
「和希君が飲み込み早いからだよ~。あ、悠希おはよう。お邪魔してるよ」
すごく自然に千尋は我が家にいた。
「千尋さんありがとうございました。これで彼女にも教えてあげれます!」
「どういたしまして」
「じゃ、今から一緒に図書館に行くのでこれで失礼します」
「いってらっしゃ~い」
千尋はニコニコと手を振り、和希も手を振りながら俺の横をすり抜けていく。
「あ、兄ちゃんおはよう。じゃ、行ってきま~す」
「あ、うん、行ってら・・・」
弟の変わり身の早さに俺は呆然とする。相変わらず外面良すぎだろ・・・。
「ハ・ル・君」
千尋はニコニコと笑顔で、ソファーの自分の横をポンポンと叩いている。
いや、自らそのポジションに飛び込む気は無い。冷蔵庫から炭酸水のペットボトルを取り、ダイニングの椅子に座った。
「そんなに照れなくても良いのに」
「照れてないし!それより、何で朝から千尋がうちにいるんだよ」
「ラジオ体操帰りの和希君とたまたま廊下で会ったら、宿題の話になって見てあげる約束したから」
「あ、そう・・・」
あいつ、俺には一度もそんな話持ち掛けてきたこと無いぞ?!分かってはいたが、弟に頼られていない事に落ち込んでいると、目の前に千尋が移動してきた。
「ねぇ、ハル君。俺、12年ぶりに帰ってきたから大分この辺りも変わってると思うんだけど、案内頼めない?」
「あ~、悪い。俺バイトあるんだよ。幼稚園一緒だった奴ならまだ何人かいてるから、頼んでやるよ」
「・・・ハル君じゃないならいいや。バイトって何時から?」
「え、あ、昼からだけど・・・」
心なしか、千尋の声が少し低くなったような気がした。
「そっか~。じゃあ、まだ時間あるよね?」
目の前で微笑む千尋の笑顔が、悪魔の微笑みに見えたのはきっと俺だけだろう。
今すぐここから逃げ出したい!!
「悠希~、母さん仕事行くから後よろしくね~」
「ん~」
完全に覚醒していない俺に、母さんが廊下から声を掛けてきた。時計を見ると8時半を過ぎた所だった。
「ふぁ~。そろそろ起きるか~」
ベッドから降り、伸びをしてベランダのカーテンを開ける。今日も暑そうだ。
廊下に出ると、リビングから和希の声が聞こえる。こんな朝早くから誰か来ているのか、楽しそうな話声がした。
「和希~誰かき・・・」
扉を開けると、そこには千尋と和希がリビングで宿題をしていた。
「千尋さんの教え方解りやすいです!」
「和希君が飲み込み早いからだよ~。あ、悠希おはよう。お邪魔してるよ」
すごく自然に千尋は我が家にいた。
「千尋さんありがとうございました。これで彼女にも教えてあげれます!」
「どういたしまして」
「じゃ、今から一緒に図書館に行くのでこれで失礼します」
「いってらっしゃ~い」
千尋はニコニコと手を振り、和希も手を振りながら俺の横をすり抜けていく。
「あ、兄ちゃんおはよう。じゃ、行ってきま~す」
「あ、うん、行ってら・・・」
弟の変わり身の早さに俺は呆然とする。相変わらず外面良すぎだろ・・・。
「ハ・ル・君」
千尋はニコニコと笑顔で、ソファーの自分の横をポンポンと叩いている。
いや、自らそのポジションに飛び込む気は無い。冷蔵庫から炭酸水のペットボトルを取り、ダイニングの椅子に座った。
「そんなに照れなくても良いのに」
「照れてないし!それより、何で朝から千尋がうちにいるんだよ」
「ラジオ体操帰りの和希君とたまたま廊下で会ったら、宿題の話になって見てあげる約束したから」
「あ、そう・・・」
あいつ、俺には一度もそんな話持ち掛けてきたこと無いぞ?!分かってはいたが、弟に頼られていない事に落ち込んでいると、目の前に千尋が移動してきた。
「ねぇ、ハル君。俺、12年ぶりに帰ってきたから大分この辺りも変わってると思うんだけど、案内頼めない?」
「あ~、悪い。俺バイトあるんだよ。幼稚園一緒だった奴ならまだ何人かいてるから、頼んでやるよ」
「・・・ハル君じゃないならいいや。バイトって何時から?」
「え、あ、昼からだけど・・・」
心なしか、千尋の声が少し低くなったような気がした。
「そっか~。じゃあ、まだ時間あるよね?」
目の前で微笑む千尋の笑顔が、悪魔の微笑みに見えたのはきっと俺だけだろう。
今すぐここから逃げ出したい!!
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