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秘密篇
・・・
しおりを挟む昼からカノンどのの薬草室を見せてもらう約束をして、私は用意された自室に戻った。
もう少し彼女を感じていたかったが、メイドを驚かせてしまったので仕方ない。
あのワゴンをひっくり返したメイド……リリアと言ったか、彼女が現れなければ、テラスで事に及んでいたかもしれない。
危ない危ない。
カノンどののあの自覚のない可愛らしさはどうにかならないものか。
いつもケンカ売ってきてムカつくガキなんですよ! と息巻いて従弟に対する文句を言っていた唇を塞いだのは、嫉妬から。
彼女を想う気持ちが上手く現せていない彼には悪いけれど、どんな感情でも他の男に向けられたくない――と思ってしまうほど、溺れている。
まだ一週間。
……もう一週間。
ただ想っているだけで良いと考えていた自分が信じられない。
そばにいればいるほど欲しくなって―――……
彼女を利用している自分が嫌になる。
ズキリと痛む胸を見た。
シャツを開くと、心臓の上に浮き出た紋様が目に入る。
先ほど、生まれ出でた時に与えられた自らの名を口にしてしまったせいか、彼女の名に守られてより薄くなっていたはずのそれが少しだけ濃さを増した気がする。
いつまで持つか。
偽りの婚姻が、本物にならなければその時は。
……願わくば、真実が知られる前に、彼女の心が私に与えられますように―――………
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