異世界で【無職】に転生した俺はニートな人生を謳歌する。

55）強くてNewゲーム

              ──「さぁ　決めて欲しい。」

何の前触れもなく突然の帰省を促す俺の言葉に”渡り人”たちは皆動揺していた。

ジューク　「今の僕たちが消えて、生まれ変わるんですよね？」

セイヤ　「それって死んで転生って事じゃん。」

リク　「え、　死ぬの？」

レン　「胎内に魂を送るんだからそういう事でしょ。」

「そうだよ、記憶は受け継がれると女神様が約束してくれた。今の俺の状態だ。俺はこの世界に転生して今も前世を引きずって生きている。いっそ記憶なんか無い方が良かったかもしれない。」

ミナト　「記憶が残った状態でまた自分に生まれ変わるのね。」

「生まれてすぐに記憶は無いよ。時が来れば思い出すと言っていた。」

サラ　「今すぐなの？　師匠にお別れをしたいのに。」

レイコ　「少し時間を延ばしてもらえないの？」

「今すぐ決めて欲しい。女神様が待ってるんだ。」
俺だって時間が欲しいと思った。
しかし去り際に『すぐに終わらせてね。』と言ったのだ。

テオ　「すまない、こんなに急に決まるとは思わなかった。」

「女神様がせっかちでね。すぐに決めろって言うんだ。」

リオン　「ならば、残りたい者は　私についてくるである！」

これで皆は決断を余儀なくされた。リオンはスタスタとこの場を離れていく。


「私は残るよ。戻っても毒親が待ってるし。トモはどうする？」

「ユカが残るなら、残るよ。私も家族いないし。」

イブキ　「ユカ　トモ・・」

「イブキは家族がいるから戻りなよ。パラレルワールド？　そこにも、私たちがいるんじゃないの？　また仲良くしてやってよ。」ユカはそう言ってイブキを抱きしめた。



「ここに残った人は日本に戻すよ。さあ、決めて。」

テオ、ユカ、トモ　ユウマ4人がリオンの元に歩き出す。

ジューク　「ユウマ！」

セイヤ　「マジか！待てよユウマ一緒に帰ろうぜ！」

ユウマ　「俺はこの世界が向いている。元の世界は退屈だ。」

トモ　「みんな、元気でね！」

意外だった、全員が帰省を選ぶと思っていたのに。

「待って！　本当にいいのか？　チャンスは１回だぞ？」
俺は3人に後悔しないか何度も尋ねた、しかし手を振ってリオンと共に去っていった。

残った者達が呆然として、消えた3人の幻影を見つめていた。
俺は目を瞑り女神さまに祈った。


「どうか　願いを叶えてください。」


「シェル君！　・・あ・・・


最後にイブキの声が耳に残った。

別れの言葉は交わしたくなかった。


シェルが消えた喪失感を胸に感じ、強く彼の幸せを祈った。

日本にイブキ達を戻してあげることが出来た。嬉しくて、淋しくて・・

目を開くと俺とクロだけがそこにいて──






ピコーン！　『ステータスに変化があります。確認して下さい！』


──感傷に浸る間もなかった・・・



「そういえば俺は【聖人】になったんだっけ。＜コピー＞」

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カズヤ　＜無職＞　男
職業レベル１
属性　ニート
特性スキル　なし
シークレットスキル＜レア＞
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（はいぃぃ？　無職ニートのまんまじゃん！てか、なんでレベル１なんだよ！）

サムネも100まで枠が増えて、空き枠が50もあった。

「まだ職業50個も探せだとぉ？　ふざけんな！」

「＜判明＞」カズヤ（HP3560　MP5490）

「やった！ーーーー強くてNewゲームだ！ーーーー」


「で、なんでカズヤなんだ？　クロ、俺はシェルだよな？」
コクコクとクロが頷いたので、姿はシェルのままだ。

「ああ、勘違い女神がやらかしたんだな。シェル、日本で頑張れよ。」

「神木の精霊たち祝福をありがとう。若木はいつかここに戻してやるからな。」
応えるように神木は輝いている。

「帰ろうぜ相棒。」忘れ物はない。
俺はテオ達が待つダンジョンへとログインした。