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第3章 魔導要塞の攻防
第50話 ★海浜の戦闘
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ストーリーの展開上、エロシーンが少ない近頃ですが、もう少し御辛抱のほどを。。
────────
2、30分は経っただろうか。カーネル達の一団はアロン島に上陸し、いざ進軍というところで突如沸き起こった泥手(マッドハンド)の集団の襲撃を受け、戦闘を続けていた。
騎士たちが剣や斧槍で、攻撃を加えるとマッドハンドは容易に崩れ去る。しかし、それが徒労であることを思い知らせるように新たなマッドハンドが現れる。それは異様な増殖力で、全力で破壊をしなければ砂浜がマッドハンドで覆いつくされかねない勢いだ。
「ファイアーボール!」
こぶし大の火の玉がマッドハンドにぶつかるとその部分の水分が失われ、形を維持できなくなるようだ。火属性の魔術はなかなか効果的に見えた。10人の魔術師の中で火属性を使えるのは二人。その他の属性では火属性ほどではないが、風属性の魔術が同様に水分を奪うという点で一定の効果があるようだ。しかしそれ以外の属性はあまり効果的とは言えない。
「アルビナ!術はできるだけファイアーボールに留めて。マナの温存を意識しなさい。」
「わ、分かりました。」
火術使いはジャンヌとアルビナという魔術師が使用する。多数の敵を前にアルビナが範囲攻撃の魔術「ヒートウェーブ」を2発ほど使ったところで、ジャンヌが注意をした。まだ、出発地点をろくに移動していないというのに、かなりの魔術を使わされてしまっている。コンディションはまだまだ余裕がある。しかし、長期的な戦局を見通してジャンヌは危機感を感じていた。
(くっ、単一の魔物で多量に押されると戦力に遊びができてしまいますわね。)
総じて魔術師たちは実戦に疎い。ジャンヌも能力は王国随一と言われているが、人外を相手にするような実戦はこれが初めてだった。あらゆる局面に対応できるようにと考え、各属性の魔術師を均等に組み入れた部隊編成としたが、マッドハンドの大軍勢を前にした今の現状では、水と闇の魔術師達にはほとんど役目がない。
地属性の術師もダイヤモンドウェポンという硬化の魔術によって、騎士たちの攻撃力増加のエンハンスをかけ、多少の役割を果たしたものの、付与魔術を一巡させて以降はやはりほとんど役目がない。
逆に火と風は一進一退の膠着状態の中、攻撃魔術を多用して魔力の消耗が続いており、このまま状況が打開できなければ魔力枯渇に追い込まれることになる。見た目はよく戦っているような状況だがジリ貧である。
「カーネル将軍。このままではスタミナ切れに追い込まれます。」
「私もそれを考えていた。皆の者!攻防を続けつつ、少しずつ内陸に移動するぞ。陣形は────」
砂浜を抜ければマッドハンドが発生できなくなることも考えられる。まずは浜から出ること、それが一番有効と思われた。
砂浜から茂みに移動する目標を得たことで、ジャンヌが大型魔術の詠唱を始めた。
「受けよ、邪悪の魔手ども。ファイアーエクスプロージョン!」
宝石をちりばめた杖をかざすとその前方に直径1メートルはある巨大な火の玉が発生し、渦を巻きながら地面に激突した。爆発の衝撃と熱による水分の蒸発で、周辺のマッドハンドが粉みじんとなる。
「今です!」
「今だ、茂みに向かって走れ!」
ジャンヌとカーネルの号令に反応し、ファイアーエクスプロージョンによって開いた茂みへ道を全員が走る。
「はぁはぁ・・・」
「ぜ、全員無事か?」
砂浜が終わり、植物が生え始める草原地帯に何とか全員が到達することができた。しんがりを務めたセラフィーナは手持ちの短弓で数回矢を放ち、追いすがろうとするマッドハンドを破壊して振り切った。
カーネルのとっさの判断は正しく、マッドハンドが移動できる範囲は砂浜に限られていたようだ。草原地帯に入ってから、マッドハンドの襲撃はなくなった。
「やれやれ・・・。この島で一体何が起きているというのだ。」
「以前はあのような魔物は?」
「いなかった。上陸と同時に嵐と病魔に見舞われ、ここまでもたどり着くことはできなかった。」
前に来た時にはこのような魔物などいなかったのに。先日ジャンヌが躊躇しながらも話した仮説が、説得力を帯びてくる。
────神話の時代の魔王の再来?
(まさか・・・。)現実として受け入れるには話が大きすぎて実感がわかない。だが、このまま手をこまねいているわけにはいかない。真実はこの歩みの先にあるのだ。そう心の整理を付け、一同が行軍を始めようとした矢先、自身のような地響きが鳴り始めた。
ズシン────ズシン────
「ぬ?あ、あれは?」
目の前に現れたのは、体長2メートルはある砂利と土の塊だった。だが、手と足のようなものが生えている。まるで人のような恰好をしている。
「なんてことだ。ゴ、・・・ゴーレムか。」
青ざめた表情で、ジャンヌがつぶやいた。
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2、30分は経っただろうか。カーネル達の一団はアロン島に上陸し、いざ進軍というところで突如沸き起こった泥手(マッドハンド)の集団の襲撃を受け、戦闘を続けていた。
騎士たちが剣や斧槍で、攻撃を加えるとマッドハンドは容易に崩れ去る。しかし、それが徒労であることを思い知らせるように新たなマッドハンドが現れる。それは異様な増殖力で、全力で破壊をしなければ砂浜がマッドハンドで覆いつくされかねない勢いだ。
「ファイアーボール!」
こぶし大の火の玉がマッドハンドにぶつかるとその部分の水分が失われ、形を維持できなくなるようだ。火属性の魔術はなかなか効果的に見えた。10人の魔術師の中で火属性を使えるのは二人。その他の属性では火属性ほどではないが、風属性の魔術が同様に水分を奪うという点で一定の効果があるようだ。しかしそれ以外の属性はあまり効果的とは言えない。
「アルビナ!術はできるだけファイアーボールに留めて。マナの温存を意識しなさい。」
「わ、分かりました。」
火術使いはジャンヌとアルビナという魔術師が使用する。多数の敵を前にアルビナが範囲攻撃の魔術「ヒートウェーブ」を2発ほど使ったところで、ジャンヌが注意をした。まだ、出発地点をろくに移動していないというのに、かなりの魔術を使わされてしまっている。コンディションはまだまだ余裕がある。しかし、長期的な戦局を見通してジャンヌは危機感を感じていた。
(くっ、単一の魔物で多量に押されると戦力に遊びができてしまいますわね。)
総じて魔術師たちは実戦に疎い。ジャンヌも能力は王国随一と言われているが、人外を相手にするような実戦はこれが初めてだった。あらゆる局面に対応できるようにと考え、各属性の魔術師を均等に組み入れた部隊編成としたが、マッドハンドの大軍勢を前にした今の現状では、水と闇の魔術師達にはほとんど役目がない。
地属性の術師もダイヤモンドウェポンという硬化の魔術によって、騎士たちの攻撃力増加のエンハンスをかけ、多少の役割を果たしたものの、付与魔術を一巡させて以降はやはりほとんど役目がない。
逆に火と風は一進一退の膠着状態の中、攻撃魔術を多用して魔力の消耗が続いており、このまま状況が打開できなければ魔力枯渇に追い込まれることになる。見た目はよく戦っているような状況だがジリ貧である。
「カーネル将軍。このままではスタミナ切れに追い込まれます。」
「私もそれを考えていた。皆の者!攻防を続けつつ、少しずつ内陸に移動するぞ。陣形は────」
砂浜を抜ければマッドハンドが発生できなくなることも考えられる。まずは浜から出ること、それが一番有効と思われた。
砂浜から茂みに移動する目標を得たことで、ジャンヌが大型魔術の詠唱を始めた。
「受けよ、邪悪の魔手ども。ファイアーエクスプロージョン!」
宝石をちりばめた杖をかざすとその前方に直径1メートルはある巨大な火の玉が発生し、渦を巻きながら地面に激突した。爆発の衝撃と熱による水分の蒸発で、周辺のマッドハンドが粉みじんとなる。
「今です!」
「今だ、茂みに向かって走れ!」
ジャンヌとカーネルの号令に反応し、ファイアーエクスプロージョンによって開いた茂みへ道を全員が走る。
「はぁはぁ・・・」
「ぜ、全員無事か?」
砂浜が終わり、植物が生え始める草原地帯に何とか全員が到達することができた。しんがりを務めたセラフィーナは手持ちの短弓で数回矢を放ち、追いすがろうとするマッドハンドを破壊して振り切った。
カーネルのとっさの判断は正しく、マッドハンドが移動できる範囲は砂浜に限られていたようだ。草原地帯に入ってから、マッドハンドの襲撃はなくなった。
「やれやれ・・・。この島で一体何が起きているというのだ。」
「以前はあのような魔物は?」
「いなかった。上陸と同時に嵐と病魔に見舞われ、ここまでもたどり着くことはできなかった。」
前に来た時にはこのような魔物などいなかったのに。先日ジャンヌが躊躇しながらも話した仮説が、説得力を帯びてくる。
────神話の時代の魔王の再来?
(まさか・・・。)現実として受け入れるには話が大きすぎて実感がわかない。だが、このまま手をこまねいているわけにはいかない。真実はこの歩みの先にあるのだ。そう心の整理を付け、一同が行軍を始めようとした矢先、自身のような地響きが鳴り始めた。
ズシン────ズシン────
「ぬ?あ、あれは?」
目の前に現れたのは、体長2メートルはある砂利と土の塊だった。だが、手と足のようなものが生えている。まるで人のような恰好をしている。
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