黒魔術と性奴隷と ~闇の治療魔術師奇譚~

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第3章 魔導要塞の攻防

第54話 哀しみにくれて(中編)

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あまりエロくないのにやたら長いです。すみません
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 リアムとリリカは、今まさにお互いの切羽詰まった欲望を満足させようというところだったが、島の各所に設置した魔道具が外敵の侵入を検知し、二人に信号を送った。

「むむ!リリカ、気をつけろ。久しぶりに侵入者が現れたみたいだ。(くそ!これからって時に)」
「は、はい。(もう!これからって時に)」


 一体何者が・・・。魔道具は防犯カメラのように映像を送るわけではないので、どのようないでたちの者が侵入したかまではわからない。だが、人数と戦闘能力、魔力の高さなどは把握できる。侵入者を検知した魔道具の情報を読み解くと、約20人ほどの集団で、その半分が高い魔力を持っていることが分かった。

 (この魔力の感じ。治療魔術師のものではない?)魔道具を通した間接的な感覚ではあるが、リアムはそのことに気付いた。治療魔術を使う修道士の魔力と違い、攻撃をするために研ぎ澄ませた魔力。攻撃的用途に魔術を使用する黒魔術師のものと考えて間違いない。(ということは・・・。なんてこった、フォルセル王国の純正の魔術師が乗り込んできたのか。)リアムの顔色が変わった。

 当たり前だ。リアムは常日頃からフォルセル王国の魔術師の力を恐れているのだ。自国バルティス王国の騎士団になら負ける気はしない。だが、魔術師は別だ。自分がいくら研鑽を積もうがしょせんは我流、秩序だった研究機関、教育機関を備えたフォルセル王国の王立魔導研究所の技術には絶対にかなう要素がない、彼はそう思っている。

 ひたすらに魔導書を読み漁ったり、リリカとともに魔術の戦闘演習に明け暮れたり、これらの努力は本場フォルセル王国の魔術師がもしもこの島に来た時に何とか対処できるようにという一心だった。だが、どんなに訓練を積もうが、我流の自分が純正に叶うとは思えず、自身の実力が上がったと思う時には、同時に(本場の魔術師にはこの程度では、到底力及ばないはずだ。)と思い、その結果、(俺、結構強くなったと思うけど、これよりはるかに強いなんて、奴らなんて化け物なんだ。もっと修練しないと不安で眠れん。)という気持ちになることの繰り返しだった。

 だが一方でフォルセル王国がアロン島をどうにかしようなどという状況は、それこそ本格的な軍事衝突が起き、バルティス王国本土のすぐ近くに補給の拠点を築くなど、まさに真剣勝負の戦争でも起こらなければ、ありえないとも考えていた。しかし今起きている事態は、そのまさかよりも最悪の事態だ。フォルセル王国の魔術師が、バルティス王国の騎士団とともに軍団をなしてこの島に来ているのだ。

「そんなことがあり得るのか?い、一体島の外では何が起きているというんだ。」

 状況の深刻さから、リアムは冷や汗を額に浮かべた。手を結ぶはずのない両国が力を合わせてこの島に軍団を差し向けるなど・・・。まるで俺が人類を敵に回したかのような展開ではないか。さすがに心当たりがないぞ。そりゃ、政争に巻き込まれそうになって逃亡したり、幼い少女を性奴隷にして無人島に連れ込んだり、とかを考えれば、追われる理由とか相応の報いを受けても仕方ない悪事とかあるかもしれないが、人類を敵に回すほど悪いことをしたとは思ってない。

(どうしてこうなった?)

 何度も自問するが、答えは出ようもない。だが、今はともかくここを守り切らなければならない。そう、自身だけでなく、隣にいるリリカを絶対に守らなければ!一方のリリカは、リアムのように世間のことを知らないので、そこまでの分析はできない。敵の数が多くて今回の方が前よりピンチだな、くらいにしか認識できていない。

 まずは様子見だ。実は、リリカの農魔術で魔法陣に魔法陣の制御をさせる技術体系を逆に学んだあと(まさか自分がリリカから魔術を教わることになるとは!)、リアムはその技術をサンドゴーレムの制御に応用し、アロン島全体を舞台にした空前の大規模防衛システムを構築していた。

 かつてリアムは島全体を対象とした防御魔術を展開しようとして断念したことがある。その時は大規模な結界魔術の展開を考えたのだが、常時術を維持するには消費魔力が大きすぎて全く現実的でなかったのだ。だが、結界魔術は確かに術としては高度かもしれないが、術の制御という点では、ただひたすらに単一の防御魔術を継続するだけなので、ごく単純なものだった。緻密な制御技術をくみ上げれば、魔力消費を抑えながら高度な防御態勢を築けるはず。リアムはそう思った。

 そして、リリカの魔術制御法をマスターしたリアムは、数段階に防御レベルを分けた魔術システムを作った。まずは、魔力で作った仮想生命体の「虫」を島全体に飛ばす。これらの虫たちは小さく、戦闘力もないので、常時維持していても消費魔力は小さい。虫たちは常に島の外周を巡回し、島外から何かが入ってくると襲い掛かり、血液を吸い取る。吸い取った血液からは侵入者の生物種の情報を読み取る。血が人間のものであれば、防衛システムを自動で発動するのだ。

 海浜地帯には魔道具化した魔石が仕掛けてあり、警戒時には水分を含んだ砂を手に変形させ(マッドハンドを生成させ)、侵入者の行動を妨害する。侵入者が内陸に入ってきたら、既に千体以上増員したサンドゴーレムが次々に行動を開始し、侵入者に襲いかかる。それでもダメなら、その時はいよいよ自らの魔術で戦わなければならないが、その過程で侵入者の手の内や実力のほどはかなりリアムの側に入る。サンドゴーレムに気を取られている間に奇襲をかけることもでき、戦いは優位に進められるだろう。

 虫による吸血で侵入者を把握するまでは、マッドハンドやサンドゴーレムは巡回警備などの活動する必要はない。この仕組みによって、平時の魔力消費を抑えつつ、強力な防御を実現できる構成となった。しかし、このシステムには一つ問題点があった。

 虫もゴーレムたちも「人間」を対象に攻撃を加える形にしたので、もう一工夫仕掛けを作らないと同じく人間であるリアムやリリカも攻撃の対象になってしまうのだ。館の住人である二人は必ず対象から外れてもらわなければ困る。
リアムはこれを認証システムのような仕組みでクリアすることを考えたのだが、この時の方法は実は少しまずかった。

 リアムは「館周りの最終防衛の結界よりも内側に入った人間」のデータを結界から抽出し、これを用いて「該当する人間は攻撃対象にしない」というルールにしてしまったのだ。館周りには小規模な結界を常に張っており、ここには出入りした人間のデータが蓄積されていた。それって自分とリリカしかいないから、これをそのまま防衛システムの迎撃対象から外すようにルール付けすればいい、とリアムは考えたのだったが・・・。

 厳密には、ドルゴス、フィリップ、セラフィーナも結界を破って内部に入ったことがある人間であるため、彼らも攻撃対象から外れてしまう仕組みになってしまったのだ。リアムは新たに自分とリリカの生体データを作ってシステムに入れるのが大変だと思ってこの方法にしたのだが、不注意というよりほかはない。おかげでマッドハンドもゴーレムも従軍したセラフィーナに対しては全く攻撃をしなかったのだ。

 それでもリアムとリリカがずっと警戒を怠らなければ、セラフィーナとて館に侵入などできなかっただろう。


だが────



「・・・何か侵入者の奴ら、サンドゴーレム相手にすごい苦戦してるな。」

 島の各所から送られてくる信号をキャッチ、解析しながらリアムがつぶやいた。

「でも、3体くらい核を破壊されてしまいましたよ?」

 リリカも今はこの信号を把握できるようになっており、侵入者の動向を手に取るように把握している。

「30~40分もかけて3体しか倒せてないんだぜ?こちらにはまだ余裕で千体は予備軍がいる。とてもスタミナが持つとは思えないな。」
「確かにそうですよね。何でこんなに手こずってるんでしょうか。サンドゴーレムは胸部をファイアーボールで撃ち抜いて核を砕いてしまえば、1秒で倒せるのに。」

 リリカの認識は、魔術師の常識とはかなりかけ離れている。普通ファイアーボール程度では、ゴーレムの表面を少し焦がす程度で全くダメージを与えることはできない。まして、核ごと撃ち抜いて1秒で倒すことなど(普通は)できようはずはない。

「そうなんだよ。核のありかが分かっちゃえば、数秒で倒されるだろうからって思って、俺も千体からの大軍を用意したわけだからな。・・・つまり、奴らあまり強くないんじゃなかろうか?」
「フォルセル王国の魔術師なんですよね?ご主人様が強い強いって恐れてる。」
「ああ、だが実際あんなに手こずってるわけだからな。多分だが、向うも様子見ってことで、入門者クラスの拙い魔術師を差し向けたってことなんだろう。」


 そんなことはない。フォルセル王国の中でも稀代の天才と言われたジャンヌをはじめ、国の精鋭を集めた10人の魔術師集団を差し向けたのだが。しかし、誰も指摘するものがいないので、二人の勘違いは暴走を止めない。


「でも、そう考えたほうが納得がいくな。だって、こんな辺鄙な島に国外からわざわざ精鋭を差し向けるなんて、どう考えてもおかしいからな。多分、俺を目の敵にしてたアーネスト神父が、なりふり構わないでフォルセル王国の魔術師にまで手を回して助力を請うたんだろう。でも、向うも相手にしてられなくて、見習いを数名送ったってことじゃないかな。」
「ご主人様のお話しでたまに聞きますけど、その神父さん、神父さんなのにひどい方ですよね。」
「そうなんだよ、自分で努力しないくせに、頑張ってた俺ばかり目の敵にしてな。もし、黒魔術を禁術にしておきながら黒魔術師の力を借りたんだったら、なおさらひどい話だ。」

 勘違いを暴走させながら、リアムは憤っていた。すると突然、隣に座っていたリリカがにじり寄って身体を密着させてきた。

「あのね、ご主人様。」
「どうした?」
「リリカ、さっきのを途中でやめてからずっと我慢してるんですけど・・・。とっっっても交尾したくてうずうずしてるんです。」
「!!」

 驚いた顔をするリアムだが、実は彼の股間も大きくなったままだった。チートマカの精力が身体の隅々に行き渡り、まさに絶倫の状態になってしまっているのだ。二人の身体はさっきから「つまらないことしてないで、早く交尾を!」としきりに訴えていた。リリカがポンっと、リアムの股間に手を置いた。

「ひぉっ!」
「ご主人様もほら、大きくなってます。」
「リ、リリカ。今は緊急事態だよ。」
「でも、・・・緊急事態終わるまでずっと我慢するんですか?もう相当待ちましたけど、まだまだかかりそうじゃないですか!それよりまずは一発素早く済ませて、落ち着いた状態で様子を伺った方が、しっかり守りもできるんじゃないかって、リリカ思います!!」

 「まずは一発素早く済ませて」とか、とても女の子の発言とは思えないが、それだけリリカは切羽詰まってるようだ。それはリアムも同じで、(確かにすっきりしてからの方が冷静になれるし、すっきりする時間くらいは充分にありそうだ。)と、思ってしまった。

 それじゃあ、ということになり、いそいそと二人して服を脱ぎ、キッチンから移動することなく、もつれ合っていた矢先に────


ガチャ


とドアが開いてしまったのだ。油断というほかない。警戒していれば、セラフィーナの侵入に気付くこともできただろうに。


 そんな経緯を、後悔の念に駆られながら、リアムは思い起こした。あの時もっと気を付けていれば、と悔やまれてならない。だけど、だけどあの時は正直ヤりたくて仕方がなく、冷静に判断できなかった。(なんであそこまでヤりたかったんだろう?もしかしてリリカの奴、こっそりマカを入れてたのでは!?)そんな疑惑に思い至り、リアムはリリカを見るが、今のリリカはすすり泣くセラフィーナを心配そうに見つめているのだった。
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