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第5章 結界と侵入者
第40話 ★対立
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今日のリリカは上機嫌だ。リアムから見ても、いつも以上に彼女の気持ちが上がってるのがよく分かる。昨日の出来事がリリカにとってよほどいい事だったのだろう。脳内にお花畑が広がっているというおももちだ。
「一度寝たからって恋人づらするな。」というフレーズは、ドロドロ系の恋愛ドラマなんかではしばしば聞くセリフだが、リリカはそんなのは知らないので、屈託無くフワッフワの恋人気分に浸っている。
一方リアムは、修道士時代にそのドロドロ系の恋愛ドラマを自ら歩んだ口だ。心の予防線を一切張らずに有頂天のリリカの有様は、リアムにはむしろ新鮮だった。
そんなに全身全霊でのめり込んだら、振られた時にしばらく立ち直れないだろうに、と思ったが、そうなるかどうかは自分次第だ。
そう思うとずっと大事にしたい、という気持ちが込み上げる。一方で、今まで自分が常に心に予防線を張って生きてきたという事に気付かされる。いや、大人の世界では普通のことだ、とも思う。それでもリリカの満面の笑み、漂う幸福オーラがちょっと羨ましかった。
今日は朝食を終えてから、二人で庭先に出てある作業をしている。かねてより準備したレンガにモルタルを塗って積み上げる。リアムは焼き物を焼くための新しい窯を作り始めたのだ。目的はイグニスヒールで焼成して作る魔石だ。
すでに何個も作ってきたが、よりたくさん作るには、台所の貧弱な釜では役不足になってきた。元々煮炊きするためのもので、鍋を入れるための大穴が天井に空いているし、熱効率はすこぶる悪い。島の結界を築くには、まだたくさんの魔石が必要になる。そろそろ本格的に焼き物のための窯が必要になってきた。
実はリリカもその後、毎日魔術の実習もこなし、一人でイグニスヒールをほぼ使えるようになってきた。魔力も魔力強化トレーニングで、リアムの半分ほどの水準に伸びた後、さらに自主トレを重ねてめきめき実力を伸ばし、今はリアムの魔力の8割くらいの力にまでなっている。
その成長ぶりは驚異的なことだった。リアムの魔力は、少年時から突然変異的に高く、当時の修道士長が、思わず呼び止めるほどだった。その後もリアムは修行を重ね、他の追随を許さない圧倒的な魔力を得るにいたったのだ。黒魔法の技術はさておき、魔力の量にかけては、リアムはフォルセル王国の魔導士教授陣をも圧倒する自信がある。そのリアムに対しての8割の実力である。しかもリリカは1●才。
今にしてリアムは、彼女を奴隷商から買ったときのことを思い出す。全く興味を持つ気のなかった子供奴隷の部屋。ただ帰るために通過するだけのはずだったのに、あの時汚いなりの彼女に目が行き、理由は分からないが直感めいた「これだ」と言う思いで彼女を買ったのだった。あの時は自覚していなかったが、彼女の魔力のポテンシャルに自分の直感が反応したのだろうと、リアムは考える。
ぺたぺた塗ってレンガを積む作業を繰り返す。リリカも傍らで同じ作業をしている。距離が近い。密着が好きなリリカは、作業の時も足とか腰とかをピトッとよくリアムに密着させるのだ。
「リリカさん、もう少し離れて作業をしないか?」
「え?でもリリカは今ここのレンガを積んでいるので。」
「じゃ、俺は反対側の壁の方を積んでいくか。」
「えー、こっちから順番にしましょうよ。」
駄々をこねるリリカに、軽くキスをしてやる。
「作業もちゃんと効率的にしないとだよ。普段からあまりくっついてると仕事にならないだろ?」
「はーい。。」
それでもチューをしてもらえたからか、リリカは素直に従った。(めんどくさ)これからいちいちこんなやり取りをしないといけないのか。と思うリアムであったが。(あれ?めんどくさい感情ってもっと嫌な気分するもんじゃなかったっけ?)
「これから、どんどん魔石を作るからな。リリカにも魔術で手伝ってもらうぞ。」
「どうしたらいいですか?」
「お前もイグニスヒールを使えるようになったわけだから、一緒にやって火力をアップさせるんだ。」
「・・・。」
「?どうした。」
「ご主人様、リリカ、それ反対です。」
意外にもリリカが、リアムの要求に抗った。まさかの意見の対立。
「なんでだ?」
「リリカのイグニスヒールは、まだ下手なんでご主人様と一緒にやっても無駄が多いと思いますよ。」
「そんなこと言ってたら、いつまでもうまくならないぞ。」
「それは大丈夫です。リリカは自主トレをするので。」
「いや、実際に焼く時もやればいいじゃないか。」
「リリカは、もっといい方法を知ってます。」
「?」
「リリカの魔力をご主人様に渡して、魔術のうまいご主人様がより強力な火力で焼いたほうが効果的です!」
「魔力を渡すってお前、それをするには。」
「実はご主人様、私いますごく大きいトレンチコートを作ってるんです。」
「いや、魔力を渡すには、肌を合わせて密着しないといけないんだが、まさか。」
「えへへ、二人で一緒に着れるの作ってるんですよ。あとでお見せしますね!」
(こいつの頭は、最近エッチなことばかりか!)と、心の中で叫ぶリアムだったが、冷静に考えると、確かに魔力効率はリリカ案の方が高そうだった。(くそ、侮れんなリリカ。)意外とちゃんと計算しているリリカに感心しつつも、トレンチコートの中は裸、しかも二人まとめて、という変態発想を無自覚にするリリカの暴走にも若干脅威を感じるのであった。
-------------------
全然対立してませんね。リリカがエッチな方向にもっていきたいだけのお話でした。
「一度寝たからって恋人づらするな。」というフレーズは、ドロドロ系の恋愛ドラマなんかではしばしば聞くセリフだが、リリカはそんなのは知らないので、屈託無くフワッフワの恋人気分に浸っている。
一方リアムは、修道士時代にそのドロドロ系の恋愛ドラマを自ら歩んだ口だ。心の予防線を一切張らずに有頂天のリリカの有様は、リアムにはむしろ新鮮だった。
そんなに全身全霊でのめり込んだら、振られた時にしばらく立ち直れないだろうに、と思ったが、そうなるかどうかは自分次第だ。
そう思うとずっと大事にしたい、という気持ちが込み上げる。一方で、今まで自分が常に心に予防線を張って生きてきたという事に気付かされる。いや、大人の世界では普通のことだ、とも思う。それでもリリカの満面の笑み、漂う幸福オーラがちょっと羨ましかった。
今日は朝食を終えてから、二人で庭先に出てある作業をしている。かねてより準備したレンガにモルタルを塗って積み上げる。リアムは焼き物を焼くための新しい窯を作り始めたのだ。目的はイグニスヒールで焼成して作る魔石だ。
すでに何個も作ってきたが、よりたくさん作るには、台所の貧弱な釜では役不足になってきた。元々煮炊きするためのもので、鍋を入れるための大穴が天井に空いているし、熱効率はすこぶる悪い。島の結界を築くには、まだたくさんの魔石が必要になる。そろそろ本格的に焼き物のための窯が必要になってきた。
実はリリカもその後、毎日魔術の実習もこなし、一人でイグニスヒールをほぼ使えるようになってきた。魔力も魔力強化トレーニングで、リアムの半分ほどの水準に伸びた後、さらに自主トレを重ねてめきめき実力を伸ばし、今はリアムの魔力の8割くらいの力にまでなっている。
その成長ぶりは驚異的なことだった。リアムの魔力は、少年時から突然変異的に高く、当時の修道士長が、思わず呼び止めるほどだった。その後もリアムは修行を重ね、他の追随を許さない圧倒的な魔力を得るにいたったのだ。黒魔法の技術はさておき、魔力の量にかけては、リアムはフォルセル王国の魔導士教授陣をも圧倒する自信がある。そのリアムに対しての8割の実力である。しかもリリカは1●才。
今にしてリアムは、彼女を奴隷商から買ったときのことを思い出す。全く興味を持つ気のなかった子供奴隷の部屋。ただ帰るために通過するだけのはずだったのに、あの時汚いなりの彼女に目が行き、理由は分からないが直感めいた「これだ」と言う思いで彼女を買ったのだった。あの時は自覚していなかったが、彼女の魔力のポテンシャルに自分の直感が反応したのだろうと、リアムは考える。
ぺたぺた塗ってレンガを積む作業を繰り返す。リリカも傍らで同じ作業をしている。距離が近い。密着が好きなリリカは、作業の時も足とか腰とかをピトッとよくリアムに密着させるのだ。
「リリカさん、もう少し離れて作業をしないか?」
「え?でもリリカは今ここのレンガを積んでいるので。」
「じゃ、俺は反対側の壁の方を積んでいくか。」
「えー、こっちから順番にしましょうよ。」
駄々をこねるリリカに、軽くキスをしてやる。
「作業もちゃんと効率的にしないとだよ。普段からあまりくっついてると仕事にならないだろ?」
「はーい。。」
それでもチューをしてもらえたからか、リリカは素直に従った。(めんどくさ)これからいちいちこんなやり取りをしないといけないのか。と思うリアムであったが。(あれ?めんどくさい感情ってもっと嫌な気分するもんじゃなかったっけ?)
「これから、どんどん魔石を作るからな。リリカにも魔術で手伝ってもらうぞ。」
「どうしたらいいですか?」
「お前もイグニスヒールを使えるようになったわけだから、一緒にやって火力をアップさせるんだ。」
「・・・。」
「?どうした。」
「ご主人様、リリカ、それ反対です。」
意外にもリリカが、リアムの要求に抗った。まさかの意見の対立。
「なんでだ?」
「リリカのイグニスヒールは、まだ下手なんでご主人様と一緒にやっても無駄が多いと思いますよ。」
「そんなこと言ってたら、いつまでもうまくならないぞ。」
「それは大丈夫です。リリカは自主トレをするので。」
「いや、実際に焼く時もやればいいじゃないか。」
「リリカは、もっといい方法を知ってます。」
「?」
「リリカの魔力をご主人様に渡して、魔術のうまいご主人様がより強力な火力で焼いたほうが効果的です!」
「魔力を渡すってお前、それをするには。」
「実はご主人様、私いますごく大きいトレンチコートを作ってるんです。」
「いや、魔力を渡すには、肌を合わせて密着しないといけないんだが、まさか。」
「えへへ、二人で一緒に着れるの作ってるんですよ。あとでお見せしますね!」
(こいつの頭は、最近エッチなことばかりか!)と、心の中で叫ぶリアムだったが、冷静に考えると、確かに魔力効率はリリカ案の方が高そうだった。(くそ、侮れんなリリカ。)意外とちゃんと計算しているリリカに感心しつつも、トレンチコートの中は裸、しかも二人まとめて、という変態発想を無自覚にするリリカの暴走にも若干脅威を感じるのであった。
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全然対立してませんね。リリカがエッチな方向にもっていきたいだけのお話でした。
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