黒魔術と性奴隷と ~闇の治療魔術師奇譚~

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第5章 結界と侵入者

第54話 潜伏

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 別荘は、地図通りの場所にあった。冒険者の3人は、茂みに身を潜め、様子を伺う。ゆっくりと茂みの中を移動し、遠巻きに建物を一周し、地形を把握した。

 建物に荒れた様子はなく、それどころか畑やニワトリ小屋まである。

ドルゴス:「住んでるな。なるほど、神父の情報通りだ。まだ面を拝めねぇが、恐らくやしきの主は、神父のいう例のヒーラーで間違いないだろう。」

フィリップ:「ホシはちょっと前まで絶大な人気があったリアム神父だろ?なんだってこんなところに移り住んだかね。」

セラフィーナ:「女関係のだらしない男だったっていう話だよ。修道院の中でも相当揉めて、失脚寸前、逃げるように姿を消したって聞いたことがある。」

ドルゴス:「なるほどな。それでアーネスト神父が、追う側ってわけだ。カリスマヒーラーもこうなっちまうと形無しだな。俺ぁ、ああいうスカした優男が大嫌いでぇっきれぇなんだ。丁度いい、俺が引導を渡してやる。」

フィリップ:「奴が戦う手段を持っている可能性は?」

ドルゴス:「あるわけねぇだろ?アーネストも、平民を引きずり出すようなもんだと、言っていたじゃねぇか。」

フィリップ:「真に受けるな。ありゃ憎さ百倍で、敵を過小評価するタイプの男だ。話では、黒魔術の魔導書を買いあさっていたと聞いてるが。セラフィーナ、奴が魔法を使う可能性は?」

 セラフィーナは、魔術師ではないが、多少の魔法剣を使いこなす。それが女でありながら、冒険者ギルドの主力であり続ける所以だ。

セラフィーナ:「・・・微妙だね。魔導書を買いあさったって言っても、巷で手に入る魔導書ってのは、でたらめなものばかりで使い物にならないよ。

テクストと呼ばれる高価な魔導書なら可能性があるが、黒魔術を知らないものが、いきなり読んでも魔術の習得は不可能と言われている。」

ドルゴス:「ふーん。じゃ、そういうおめぇは、どうやって魔法剣を覚えたんだよ?」
セラフィーナ:「あたしゃ、師匠から口伝で学んだからね。魔導書なんか読んだこともない。そもそも黒魔術の魔導書は、禁制だから、持てないしな。」

フィリップ:「それが真実ならば、奴は治療は行えても、戦いは市民と大差がないことになる。ドルゴスの言うように楽勝だろうな。」

ドルゴス:「だから言ってるだろが、楽勝だって。俺はリアムの野郎なんか、なんとも思ってねぇんだ。それより、奴隷娘を早く拝みてぇな。」

フィリップ:「ドルゴス、お前その無鉄砲は勘弁してくれ。気の緩みが、戦場じゃ命取りなのは常識だろうが。」

ドルゴス:「はっ、こんなもの戦場にも値しねぇじゃねぇか?」

 はやる単細胞のドルゴスを慎重派の二人が抑え、彼らは屋敷近くの茂みで夜になるのを待った。

 その間、屋敷を出入りするものはなかった。

 屋敷の中で、リアムとリリカは静かにしていた。島に入った侵入者が、すぐそばまで来ていることは、発信機によって、二人は把握していた。

 屋敷の周囲には魔石を配置し、マジックシールドを展開している。これで彼らが屋敷の中に入ることはないだろう。

 二人はリアムの寝室に身を寄せていた。リリカは怯えていた。(悪い人達が、ご主人様を捕まえて処刑しに来たんだ。)小刻みに震え、リアムの服をギュッと掴んで離さない。

「リリカ、あまり固くなるな。魔術は精神力の結晶だからな。浮き足立つと本来の力を発揮できなくなるぞ。」
「わわわ、分かってます。リリカは、れ冷静ですよ!」

 だめだ、全く冷静さを欠いている。かくいうリアムもあまり余裕のある状態とは言えない。リアムはかつて、治療魔術師として、バルティス王国の国境線に従軍したことはある。だが、彼は治療魔術師として従軍したので、部隊の後方で負傷兵の治療に専念するのみだった。戦場の駆け引きは全くの素人だ。

 実際、島に設置した侵入者情報発信の魔道具は、敵に先んじて索敵し、先制攻撃をしようという狙いを持っていた。だが、やはり広い範囲の、そして複数の発信機から、正確に信号を読み取り、位置を割り出すのは簡単ではなかった。まして、外は平地ではなく、起伏に富み、草木が生い茂り、身を隠すところがたくさんある。

 それでも侵入者たちが、島の捜索を行い、各所をうろうろしていれば、その間にリアムの方も、発信機の信号をうまく取り扱い、有効に先制攻撃の算段を立てることができたかもしれない。しかし彼らは、上陸するとまっすぐに屋敷を目指してきたのだ。彼らは地図を持っており、まず屋敷の状況把握をすることを最優先にした。そして、図らずもそれは、正解の選択肢だったのだ。

 結局リアムは、屋敷周りまで彼らに侵入を許してしまった。情報を握っていながら、充分に活かすことができなかったのは、リアムの失敗である。

 (さて、どうするか・・・。マジックシールドを張っていれば、攻撃を受けることはないだろう。この状態で、正確に当たる攻撃を仕掛けられるなら、こちらが勝つだろうが、やつら茂みに潜んで、気配を消していてうまく狙えそうにない。)

 それでもファイアーボールによる絨毯爆撃じゅうたんばくげきを徹底すれば、どこに潜んでいようが駆逐はできるかもしれない。だが、彼らは身一つを守れば済むが、こちらはここで生活をしている。畑もあれば鶏小屋もある。周囲の森も木の実をとったり、薬草を摘んだりできる。無差別攻撃は、ここでの生活を放棄するに等しいと言えた。命をとられるよりはマシという考えもあるが、リアムはそこまで割り切ることはできなかった。

 ギュっ

「ほぅっ(´▽`) 」
「『ほぅっ(´▽`*)』じゃない、リリカ。こら、緊急事態に何をしているんだ。」
「ご主人様のここ、つかんだら、リリカ落ち着きました。」

 不安と恐怖に駆られたリリカは、一番好きな人の一番好きな部分に触れることで、ようやく多少なりとも精神を落ち着かせたようだった。

「ちょっと、ほんとにやめなさい。今、深刻な事態なんだから。」
「まじめです!リリカ、今藁をもすがる思いで心を落ち着かせてます。」

 それは藁ではなく、ご主人様の大事な幹だ。しかし、先ほどから止まらなかったリリカの震えはおさまってきた。

「くっ、あ、あまり強くしないで、あと、玉は・・・、玉を握るのはダメだから。」
「大丈夫。リリカは大丈夫です。」

 リリカは今、一生懸命心を落ち着けようとしている。

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パワーバランスが難しいです。二人のファイアーボールは強いんですが、それで無双すると話が全然面白くなりそうにない・・・。二人が戦いの素人であること、冒険者たちが魔物相手の歴戦の猛者であることを考慮して、うまくバトルメイクができればと考えてます。・・・がんばれるかな。
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