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第5章 結界と侵入者
第56話 ★決着
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元々気の進まないクエストだった。修道士長を務めるアーネスト神父は、今回のクエスト契約の打合せ時に、天才的治療魔術師であったリアムを憎々しくこき下ろしていた。
あの男が修道院の風紀を乱し、社会的信用を貶めたと。しかし、セラフィーナ自身は、むしろ感情的にまくし立てるアーネスト神父に生理的な嫌悪感を覚えていた。
だが、金になる。秘密保持と言う条件がつくことによって、報酬が倍化されていた。歴戦の猛者と言えど、冒険者ギルドの戦士たちは、物語の世界で語られるようなロマンあふれる職業ではない。常に命の危険にさらされ、それでも生活の糧を得るため、仕事のえり好みなど、してはいられない。
しかし結果は、やはり甘くはなかった。ヒーラーが何故このような超人的な黒魔術を・・・、疑問は解けず、後悔は募るが、それを考えたとて、結果は覆らない。
彼女の戦意は、すでにほとんど失せていたが、仲間の救命と、ここにいる敵の正体(人間ではないかもしれないと疑っている)は、せめて明かさなければ・・・。そしてもしかしたら、そんな化け物のような男に苛まれ続ける性奴隷の少女が、今もいるのかもしれない。気にかかった。
そんな思いが、明かりのない暗闇の屋内へ一歩一歩、彼女を歩ませるのだった。
侵入者の一人は、ガーゴイルの一撃を受け、灼熱の地獄に飲み込まれて死んだ。一人は屋敷の外で瀕死の状態で倒れている。
そしてもう一人は、今この屋敷に入り、こちらに向かっている。”発信機”を通して、身じろぎもしないまま、リアムはそれらを察知していた。傍らのリリカも同じく読み取っている。
(シリアスな雰囲気をぶち壊すので書くのを控えるが、前話からリリカは、心を落ち着かせるために、リアムの股間を握り締めている。←書いてんじゃん)
ガチャリ──
とうとうセラフィーナは、リアムの部屋に到着した。リアムはすぐさま炎の魔術で蝋燭を灯す。
リアム:「何者だ。」
セラフィーナ:「・・・冒険者ギルドの戦士だ。お前は・・・、治療魔術師のリアム・アシュリーか?」
リアム:「そうだ。」
セラフィーナ:「お前を捕獲する任務でここまできた。」
リアム:「お前達は、招かれざる客どもだ。相応のもてなしをしたが、謝罪する気はないぞ。まだやると言うのなら命の保障はない。」
セラフィーナ:「いや、私たちの負けだ。私は、助命を請いにここまで来た。仲間が一人、あなたの魔術によって瀕死だ。私たちは負けを認める。だから、命だけは助けてくれまいか。
あつかましい願いは承知のうえで・・・、ヒーラーのあなたの力にすがりたい。瀕死の仲間も救いたい。」
セラフィーナは戦意のないことを示すため、剣を鞘に納め、床に置いた。
リアム:「不充分だ。籠手、鎧もはずせ。」
彼女は従った。リアムは紐を用意するとリリカを使って、セラフィーナの両腕を後ろ手に縛らせた。
リアム:「良かろう、望みを聞いてやる。歩いて案内しろ。だが、少しでもおかしな真似をしたら、即座に命を奪う。」
セラフィーナ:「で、では。」
リアム:「さっさと行け。急を要する状態のはずだ。」
セラフィーナ:「・・・かたじけない。」
セラフィーナは立ち上がり、来た道を引き返す。彼女が部屋を出たところでリリカが口を開いた。
「ご主人様。助けるんですか?」
「皆殺しにして欲しかったか?」
「いえ・・・。リリカ、攻撃魔術を放つご主人様がちょっと、怖かったんですけど、安心しました。」
「・・・」
「いつもの、優しいご主人様だったって。」
「・・・俺はバルティス王国のカリスマヒーラーだった男だぜ?何人の命を救ってきたと思ってる。そんな人間が今更、命を取る側になんてなれるかよ。」
リリカがリアムの腕にしがみついた。二の腕に頬を押し付ける。
「リリカ、ご主人様を好きになって良かった・・・。」
「///・・・ば、バカなこと言ってねぇで行くぞ。時間がない。」
「はい!」
勝手口を出ると両足が焼けただれ、地に倒れ臥す痩せた男がいた。そのもう少し離れた所には、砕けた石像の下敷きになった男の一部が見える。
痩せた男、フィリップは、息も絶え絶えになっている。もう一人の方は既に事切れており、静かだ。
セラフィーナ:「生きてるかい?フィリップ!」
フィリップ:「・・・(ほ、ほんとうに連れて来やがった。)」
リアム:「リリカ、装備品を外して捨てるぞ。」
リリカ:「は、はい。」
焼けただれた身体を目の当たりにし、めまいを覚えながらリリカは必死にリアムを手伝った。リアムは、慣れているようで全く意に介さず、テキパキと作業する。
リアム:「さぁ、治療を始めようか。」
久しぶりにリアムが、カリスマとまで呼ばれた治療魔術の腕を振るう時が来たのだった。
--------------
セラフィーナの装備を外して縛るシーンとか、多分格好のエロネタだとは思うんですが、それをやるといろいろと台無しになると思ったのでやめました。
ブ、ブーイングとかやめてくださいね。
あの男が修道院の風紀を乱し、社会的信用を貶めたと。しかし、セラフィーナ自身は、むしろ感情的にまくし立てるアーネスト神父に生理的な嫌悪感を覚えていた。
だが、金になる。秘密保持と言う条件がつくことによって、報酬が倍化されていた。歴戦の猛者と言えど、冒険者ギルドの戦士たちは、物語の世界で語られるようなロマンあふれる職業ではない。常に命の危険にさらされ、それでも生活の糧を得るため、仕事のえり好みなど、してはいられない。
しかし結果は、やはり甘くはなかった。ヒーラーが何故このような超人的な黒魔術を・・・、疑問は解けず、後悔は募るが、それを考えたとて、結果は覆らない。
彼女の戦意は、すでにほとんど失せていたが、仲間の救命と、ここにいる敵の正体(人間ではないかもしれないと疑っている)は、せめて明かさなければ・・・。そしてもしかしたら、そんな化け物のような男に苛まれ続ける性奴隷の少女が、今もいるのかもしれない。気にかかった。
そんな思いが、明かりのない暗闇の屋内へ一歩一歩、彼女を歩ませるのだった。
侵入者の一人は、ガーゴイルの一撃を受け、灼熱の地獄に飲み込まれて死んだ。一人は屋敷の外で瀕死の状態で倒れている。
そしてもう一人は、今この屋敷に入り、こちらに向かっている。”発信機”を通して、身じろぎもしないまま、リアムはそれらを察知していた。傍らのリリカも同じく読み取っている。
(シリアスな雰囲気をぶち壊すので書くのを控えるが、前話からリリカは、心を落ち着かせるために、リアムの股間を握り締めている。←書いてんじゃん)
ガチャリ──
とうとうセラフィーナは、リアムの部屋に到着した。リアムはすぐさま炎の魔術で蝋燭を灯す。
リアム:「何者だ。」
セラフィーナ:「・・・冒険者ギルドの戦士だ。お前は・・・、治療魔術師のリアム・アシュリーか?」
リアム:「そうだ。」
セラフィーナ:「お前を捕獲する任務でここまできた。」
リアム:「お前達は、招かれざる客どもだ。相応のもてなしをしたが、謝罪する気はないぞ。まだやると言うのなら命の保障はない。」
セラフィーナ:「いや、私たちの負けだ。私は、助命を請いにここまで来た。仲間が一人、あなたの魔術によって瀕死だ。私たちは負けを認める。だから、命だけは助けてくれまいか。
あつかましい願いは承知のうえで・・・、ヒーラーのあなたの力にすがりたい。瀕死の仲間も救いたい。」
セラフィーナは戦意のないことを示すため、剣を鞘に納め、床に置いた。
リアム:「不充分だ。籠手、鎧もはずせ。」
彼女は従った。リアムは紐を用意するとリリカを使って、セラフィーナの両腕を後ろ手に縛らせた。
リアム:「良かろう、望みを聞いてやる。歩いて案内しろ。だが、少しでもおかしな真似をしたら、即座に命を奪う。」
セラフィーナ:「で、では。」
リアム:「さっさと行け。急を要する状態のはずだ。」
セラフィーナ:「・・・かたじけない。」
セラフィーナは立ち上がり、来た道を引き返す。彼女が部屋を出たところでリリカが口を開いた。
「ご主人様。助けるんですか?」
「皆殺しにして欲しかったか?」
「いえ・・・。リリカ、攻撃魔術を放つご主人様がちょっと、怖かったんですけど、安心しました。」
「・・・」
「いつもの、優しいご主人様だったって。」
「・・・俺はバルティス王国のカリスマヒーラーだった男だぜ?何人の命を救ってきたと思ってる。そんな人間が今更、命を取る側になんてなれるかよ。」
リリカがリアムの腕にしがみついた。二の腕に頬を押し付ける。
「リリカ、ご主人様を好きになって良かった・・・。」
「///・・・ば、バカなこと言ってねぇで行くぞ。時間がない。」
「はい!」
勝手口を出ると両足が焼けただれ、地に倒れ臥す痩せた男がいた。そのもう少し離れた所には、砕けた石像の下敷きになった男の一部が見える。
痩せた男、フィリップは、息も絶え絶えになっている。もう一人の方は既に事切れており、静かだ。
セラフィーナ:「生きてるかい?フィリップ!」
フィリップ:「・・・(ほ、ほんとうに連れて来やがった。)」
リアム:「リリカ、装備品を外して捨てるぞ。」
リリカ:「は、はい。」
焼けただれた身体を目の当たりにし、めまいを覚えながらリリカは必死にリアムを手伝った。リアムは、慣れているようで全く意に介さず、テキパキと作業する。
リアム:「さぁ、治療を始めようか。」
久しぶりにリアムが、カリスマとまで呼ばれた治療魔術の腕を振るう時が来たのだった。
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セラフィーナの装備を外して縛るシーンとか、多分格好のエロネタだとは思うんですが、それをやるといろいろと台無しになると思ったのでやめました。
ブ、ブーイングとかやめてくださいね。
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