黒魔術と性奴隷と ~闇の治療魔術師奇譚~

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第5章 結界と侵入者

第57話 ★カリスマヒーラー・リアム

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──今回は、かなりのグロシーンがあります。苦手な方はご注意ください。一体誰得の文章なのか・・・


 いよいよ、リアムの治療が始まる。セラフィーナは、往年の彼の評判をよく覚えている。王宮で、戦場で、街で、彼の治療は、いつも神の奇跡と謳われ、貴族階級から庶民まで絶大な支持を得ていた。しかも、眩しいほどの端麗な容姿のせいで、多くの女性を虜にもした。

 一方で、当時セラフィーナは冷めた目で見ていた。人気があまりにも度を越していた。(眉唾物だ。)戦場で、人生の酸いも甘いも味わい尽くしてきた彼女には、その異常なまでの人気ぶりにかえって疑念を浮かべていた。

 (しかし、あの黒魔術の威力。恐らく、あいつの力ははったりなんかではない、本物だったのだ。一体どのような治療をするというのか・・・。)固唾をのんで見守る。

 リアムは、フィリップの装備品を外しながら、下半身の火傷の状態を見ていた。勝手口のある裏庭には、井戸がある。リアムは、傷口に目まいがしたリリカに無理をさせず、井戸水を汲ませた。リアムは光の魔術を用いてフラッシュのように焚きつけ、一瞬にして水の消毒を行うと、少量の食塩を無造作に放り込んだ。一見無造作に見えるが、実は正確に濃度0.9%の生理食塩水になるように計り取られていた。

 フィリップを抱き起し、焼け焦げた衣服を除去して桶に浸からせると、リリカに向かってとんでもないことを言った。

「リリカ、まだお前にヒールを教えていなかったな。」
「え?・・・はい、まだ教わってないですが。」
「今から俺が教えてやる。」
「え・・・!?い、今ですか?」

 リアムは、その問いには答えず、懐からナイフを取り出すと、自らの腕の皮膚をためらうことなく切った。

「あ、あぅ!」

 思わず、リリカは自分が傷つけられたような悲鳴を上げた。

リアム:「目を背けるな。この傷に触れ。今から俺がここにヒールをかける。今のお前ならそれで何をしているか充分わかるはずだ。」
セラフィーナ:「む、無茶だ。そんな簡単にヒールが使えるようになるわけがないだろ?そんなことをしている間に、フィリップのけがが。」
リアム:「黙ってろ。」

 リアムは、自らの腕にヒールをかける。傷口をリリカの両手が覆っている。リリカの手がリアムの血で濡れていくが、その内側の傷はたちどころに塞がっていった。

リアム:「どうだ、リリカ。身体で何となく理解出来たろう?」
セラフィーナ:「馬鹿な!そんなことで覚えられるなら誰だって、今日からヒーラーになれる。」
リアム:「黙ってろと言ったはずだ。」

 (・・・自分でも信じられないけど、なんかできそうです。。)リアムの魔力の使い方を肌で感じる事で、大体どういう事をして、回復魔術に発動させているか、リリカは把握できてしまったのだ。それは、日頃から肌を合わせての魔力のやり取りをして来た二人だからこそ、可能な芸当だった。

 リリカが魔力を集中させると、癒しの光がフィリップに降り注ぎ始める。

 (え?だってこの娘は、性奴隷だろう?何だってこんな桁外れの魔力を・・・)セラフィーナはただただ呆気にとられ、事の成り行きを見つめるしかなかった。

 ぎこちないものの、リリカが無事ヒールを使い始めるのを見届けると、リアムは庭にうずくまるガーゴイルの残骸の方へ歩き始めた。

セラフィーナ:「ちょっ、この子だけで大丈夫なのかい?」

 無理を承知で治療を頼んでいる手前、強くは出られないものの、セラフィーナはリアムの行動に困惑した。無理もない、瀕死の怪我を負った人間の治療を、今ヒールを覚えたばかりの少女に、任せようというのだから。カリスマとまで言われた男の治療術は、一体どんなものかと固唾をのんで待っていたのだが、それとは別な意味でリアムの行動は想像を絶していた。

セラフィーナ:「ま、待ってくれ。どうしてこんなやり方を。」
リアム:「仲間を助けてくれと言ったのはお前ではないか。その男の処置はそれで充分だ。多少の時間はかかるだろうが、あいつのヒールで充分治せる。俺の力が必要なのはこちらの方だろう?」

セラフィーナ:「・・・いや、だって・・・・・・、そいつはもう・・・(死んで)。」

 崩れ落ちたガーゴイルの残骸をリアムは念力で動かし、除去する。石の下からは、ドルゴスの無惨な亡骸があった。

 爪で胸をえぐられ、崩落した石像の破片で腕や足が潰れ、砕けた骨が臓器や筋肉を引き裂いていた。心臓はすでに止まり、体温は冷め始めている。

 (だが、死後硬直はまだ始まっていない。まだ、治療可能だ。)

 リリカは、すでに治療で手がふさがっている。清潔な水が多量に必要だが、リリカに汲ませる暇も時間もない。リアムは、台所にあるタライを念力で引き寄せ、先ほどの光術で殺菌し手元に引き寄せた。同時に井戸から水を、これも念力でもって引っ張り上げ、タライに流し込んだ。

 (まずは、細胞洗浄──)

 心肺が停止し、酸素の供給が止まると、身体の各部位の細胞は完全に生命活動を停止していないため老廃物が蓄積する。時間がたてばそれによって組織が変性を起こす。そこまで時間が経過してしまうと、姿は同じでも身体を構成している物質が変わってしまっているので、もう蘇生はできなくなる。今のドルゴスの状態は、普通の人であればとっくの昔に諦めているが、リアムはまだぎりぎり間に合うと判断した。

リアム:「ふぅぅぅ──っ」
セラフィーナ:(まさかゾンビを作るってんじゃないだろうね・・・)

 リアムの魔力が全身で励起され、タライの水に向けられた。

──水魔術 ハイドロデジェネラシー

 タライの水に何かをしたようだ。ここからの一部始終は、セラフィーナには驚愕の一言しかなかった。ヒールを使うリリカも身体の向きを変えて、術を使いながらリアムの様子を遠巻きに眺めているが、リリカも感想は同じだ。

 魔力を受けた水が妖しくざわつき始めた。すると水がタライの壁を伝い外にこぼれ始める。水の量が増えていないにもかかわらずタライからあふれ始めた。

セラフィーナ:「な、なにが起きているんだ。」
リアム:「超流動。これでこの男の身体に生じた死の瘴気を洗い流す。」

 ドルゴスの亡骸をマジックシールドで包み、タライの水を注ぎ込むと、水は細胞の隅々まで染みわたり、死体は風船のように膨らんだ。風船のようになった亡骸の中を、先ほどの水が何回転も循環し、老廃物を溶かしだしていく。リアムがマジックシールドを解いた。

ビチャビチャ──

 赤黒く染まった液体が地面に捨てられた。タライにはすでに新たな生理食塩水が作られている。リアムはドルゴスの亡骸から採取した体組織片をそこに落とし、これに特殊なヒールをかける。組織片の細胞分裂が促され、塊を形成していく。受精卵と同じ、臓器細胞に分化する以前の、いかなる臓器にもなりうる細胞群を作っているのだ。

  ・・・・・・・・・・

 2,3時間が経過しただろうか。ついにこと切れていたはずのドルゴスが目を覚ました。

 ほかの二人も、リリカも言葉もなかった。

 リアムは、タライに培養した万能細胞を用い、損傷した臓器を次々に再生させ、最後に血液を作って送り込み、心臓マッサージで、ドルゴスの生命活動を再び機能させたのだ。


 解放された3人は船に乗り、半ば放心状態でエルチェリータに向かった。そこまで誰も一言もしゃべらなかった。

「もう・・・、二度とここにはこねぇ。」

 船上で一言、ドルゴスがつぶやいた。

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・・・これはグロすぎて、読者が減るレベルかもしれないと思い、途中から若干はしょったのですが、ちょっと手遅れでした。リアムのヒーラーとしてのカリスマぶりを具体的に書こうとした結果がこれです。ご迷惑をおかけしました。もうこのあとグロシーンはありません。
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