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終章 醒めない夢の中で
第59話 幻想楽園(前半)
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侵入者の事件が何とか落着した。その日は二人とも疲労困憊だった。戦いの結果は、リアムの圧勝ではあったが、正直彼は怖かった。リリカも終始震えが止まらなく、リアムの股間から手が離せなかった(錯乱)。
無理もない。いくら黒魔術の訓練をしていたとはいえ、彼らは戦場に立ったことなどない、非戦闘員だったのだから。島に自分たちに危害を加える者が入ってきて、すでに家のすぐ外にまで迫っている。その状況ははっきり言って恐怖以外の何物でもない。
だが結果として、リアムの黒魔術は、極めて強力であるということが確認できた。これまでリアムは、火の魔術の試し撃ちをして、この術は強そうだな、とかは思っていたが、常に(いや、戦場はそんなに甘いはずがない。強そうに見えるのは素人目だからだ。)と、井の中の蛙にならないよう、己を厳しく評価していた。
だが、この戦いで3人の冒険者は、指一本触れることもできずに白旗を振った。ようやくリアムは自身の魔術の強さの裏付けを得られたと感じた。
翌日、二人は庭の周りを歩き回り、崩れたガーゴイルの片づけや焼け焦げた木や草の掃除などをした。リアムのメテオストームの破壊力は絶大で、屋敷周りの地面はクレーターででこぼこになっていた。結界を張っていた屋敷と、畑・鶏小屋だけは無事だ。
「昨日のご主人様の魔術、本当にすごかったんですね。」
「こうして改めて見るとな。俺も本気で撃ったのは初めてなんで、自分でもびっくりだよ。」
今日のリアムは、かなり気怠そうにしている。無理もない。二日前の深夜に船が島に着けられ、人が上陸したのを察知したため、昨日は丸一日ずっと警戒態勢を敷いていたのだ。二人とも部屋から一歩も出ず、さすがにリリカは部屋にあるあり合わせでご飯を作ったりしたが、リアムの方は常に結界を張り、警戒態勢を続けていた。
屋敷のマジックシールド(結界)は、あらかじめ設置した魔石の魔力を動力源としていたので、リアムの魔力消費量はそこまでではなかったが、彼らが屋敷に肉迫してからは、他の術を連発したので、一気に大量の魔力を使う羽目になった。
鶏小屋と畑への結界は適切な魔石配置をしていなかったので、自前の魔力で展開した。加えてのガーゴイルの生成とメテオストームの発動を行ったので、瞬間的に4つの魔術を同時使用したのだ。
魔導士の常識的には、二つでも充分「マルチスペル」と呼ばれる奥義扱いの技術だ。4重の同時発動はもう全く常軌を逸した水準である。
ということは、黒魔術の専門家ではないリアムは知らないのだが、とにかく今、彼の身体は悲鳴を上げているのだ。
そこまで疲弊したのは、戦闘だけでなく、そのあとに一度は息を引き取ったドルゴスを蘇生させた事も大きな要因だ。これも大変な魔力の消費を伴った。
一般には、神の魔法という半ば伝説的な位置づけで、蘇生魔術の存在がまことしやかに語られている。(ドラ●エでいうザオ●クのような。)しかし、蘇生という極めて実現しがたい行為を、単独で実現できるような魔術など存在しない。
リアムが行った蘇生魔術は、何ステップにも及ぶ中間的な魔術の組み合わせによる。遺体洗浄に用いたハイドロデジェネラシーもその一つだ。
遺体からまだ生きている組織片を取り出し、臓器細胞に分化済みの細胞を、未分化の細胞に戻しながら培養するニュートラルヒールという特殊な回復魔術を使用し、iPS細胞を大量生成した。それを、ドルゴスの至る所で損傷した臓器に移植し、各臓器に適合した細胞分化を促す。
ニュートラルヒールは、時間当たりの魔力消費量が通常のヒールより高いだけでなく、その魔術によって欠損した臓器や皮膚を丸々作ろうというものなので、質も量も普通のけがの治療に使う魔力とは段違いだ。
通常、万能細胞から特定の臓器の細胞に分化するには、体内で「しかるべきホルモン」等が生成され、それに従って臓器が作られる。今回の場合、取り出した細胞組織を生理食塩水を入れたタライで培養しているので、「しかるべきホルモン」はない。
リアムは、これまで幾度か経験した戦場の兵士治療で、蘇生に近い重症治療を数えきれないほど手掛け、その経験の中で、各種ホルモンの作用に相当する電気信号やイオン濃度調整などを熟知している。
その環境設定でもって、疑似的に細胞が分化する条件を整え、目的の臓器を意のままに作るすべを知っている。この知識量が、他の修道士が全く足元にも及ばない、リアムをカリスマ足らしめている源泉の一つだ。
この臓器生成を行いながら、作業空間にはしっかりマジックシールドを併用し、無菌状態の環境を維持させていた。最後に万能細胞を用いて、人ひとり分に近い血液を作り出し、ドルゴスに送り込んでいる。この血液生成も量が多いため、魔力消費量は絶大だった。
戦闘から治療まで、白黒の両魔術を多種多様に、時には何重にも同時に駆使し、昨日の一大事を乗り切ったのだった。
はっきり言って、今日のリアムはやつれていた。庭の片づけをしている時もだるそうだったし、食事をしている時も肩肘をついた状態でごはんを食べていた。リリカがそんなことをしていたら行儀が悪いと、いつも注意するくらいなのに。
「今日は洗い物はリリカ一人でやりますから、ご主人様は少し休んでてください。」
「そう?じゃ、ちょっと休もうかな。今日は朝からクタクタだ。」
そういうとリアムはダイニングルームのソファーに深々と座り、もたれかかって目を閉じてた。(このままベッドで寝てしまおうかな。)などと思いつつも、立ち上がるのも億劫でそのままぐったりを続ける。ソファーが柔らかくて人を駄目にする感じに心地よい。
カチャカチャ──
「?」
気づくと、お腹あたりで何かがもぞもぞ動いている。目を開けると洗い物を終えたリリカが、寝ていたリアムのところに来て、ズボンのベルトを外しているところだった。
「何してるんだ?」
「ご主人様、身体を締めつけるものを緩めたほうが、疲れをとるのにいいかなと思って。」
「──そうか。」
ベルトが外れ、確かに楽になった。おお、余計深く眠りにつきそうだ。ふぅっと、徐々に意識が底に向けて沈み込むような感覚に包まれた時、股間の先端が柔らかくて暖かいものに包まれたことに気づいた。
「!?」
何事かともう一度目を開けて下を向くと、リリカがリアムのものを取り出して咥えていた。
「おま、今はご褒美の時間じゃないぞ?それに俺、朝の後は、シャワーも浴びてねぇから。」
「ご主人様の身体に汚いとこなんてありませんよ♪ それに、これはご褒美じゃなくて治療です!この前ご主人様言ってたじゃないですか?魔力の消耗による疲労は、食事と睡眠と交尾が大事だって。だから、ご主人様はミルクを出さないと。」
とんでも理屈を展開するリリカは、そのまま優しく幹を指で撫でながら口を上下させる。
「リリカ、それなら下のお口でミルクを飲んでもらわないと充分じゃないから、あんまり無理するな。」
「あ、大丈夫ですよご主人様。リリカは今、下のお口の方が食欲あります!」
そういうとリリカは、いそいそとスカートをたくし上げ、ショーツを脱ぎ始めた。ショーツの内側にリリカの身体と接続された液体の糸が伸びていくのが見えた。
(それは食欲じゃないだろ。)心の中で突っ込みを入れるリアムだった。
--------------------------
昨日はどうもすみませんでした。「終章」ということで、最終章のつもりです。もう少し頑張ります!
無理もない。いくら黒魔術の訓練をしていたとはいえ、彼らは戦場に立ったことなどない、非戦闘員だったのだから。島に自分たちに危害を加える者が入ってきて、すでに家のすぐ外にまで迫っている。その状況ははっきり言って恐怖以外の何物でもない。
だが結果として、リアムの黒魔術は、極めて強力であるということが確認できた。これまでリアムは、火の魔術の試し撃ちをして、この術は強そうだな、とかは思っていたが、常に(いや、戦場はそんなに甘いはずがない。強そうに見えるのは素人目だからだ。)と、井の中の蛙にならないよう、己を厳しく評価していた。
だが、この戦いで3人の冒険者は、指一本触れることもできずに白旗を振った。ようやくリアムは自身の魔術の強さの裏付けを得られたと感じた。
翌日、二人は庭の周りを歩き回り、崩れたガーゴイルの片づけや焼け焦げた木や草の掃除などをした。リアムのメテオストームの破壊力は絶大で、屋敷周りの地面はクレーターででこぼこになっていた。結界を張っていた屋敷と、畑・鶏小屋だけは無事だ。
「昨日のご主人様の魔術、本当にすごかったんですね。」
「こうして改めて見るとな。俺も本気で撃ったのは初めてなんで、自分でもびっくりだよ。」
今日のリアムは、かなり気怠そうにしている。無理もない。二日前の深夜に船が島に着けられ、人が上陸したのを察知したため、昨日は丸一日ずっと警戒態勢を敷いていたのだ。二人とも部屋から一歩も出ず、さすがにリリカは部屋にあるあり合わせでご飯を作ったりしたが、リアムの方は常に結界を張り、警戒態勢を続けていた。
屋敷のマジックシールド(結界)は、あらかじめ設置した魔石の魔力を動力源としていたので、リアムの魔力消費量はそこまでではなかったが、彼らが屋敷に肉迫してからは、他の術を連発したので、一気に大量の魔力を使う羽目になった。
鶏小屋と畑への結界は適切な魔石配置をしていなかったので、自前の魔力で展開した。加えてのガーゴイルの生成とメテオストームの発動を行ったので、瞬間的に4つの魔術を同時使用したのだ。
魔導士の常識的には、二つでも充分「マルチスペル」と呼ばれる奥義扱いの技術だ。4重の同時発動はもう全く常軌を逸した水準である。
ということは、黒魔術の専門家ではないリアムは知らないのだが、とにかく今、彼の身体は悲鳴を上げているのだ。
そこまで疲弊したのは、戦闘だけでなく、そのあとに一度は息を引き取ったドルゴスを蘇生させた事も大きな要因だ。これも大変な魔力の消費を伴った。
一般には、神の魔法という半ば伝説的な位置づけで、蘇生魔術の存在がまことしやかに語られている。(ドラ●エでいうザオ●クのような。)しかし、蘇生という極めて実現しがたい行為を、単独で実現できるような魔術など存在しない。
リアムが行った蘇生魔術は、何ステップにも及ぶ中間的な魔術の組み合わせによる。遺体洗浄に用いたハイドロデジェネラシーもその一つだ。
遺体からまだ生きている組織片を取り出し、臓器細胞に分化済みの細胞を、未分化の細胞に戻しながら培養するニュートラルヒールという特殊な回復魔術を使用し、iPS細胞を大量生成した。それを、ドルゴスの至る所で損傷した臓器に移植し、各臓器に適合した細胞分化を促す。
ニュートラルヒールは、時間当たりの魔力消費量が通常のヒールより高いだけでなく、その魔術によって欠損した臓器や皮膚を丸々作ろうというものなので、質も量も普通のけがの治療に使う魔力とは段違いだ。
通常、万能細胞から特定の臓器の細胞に分化するには、体内で「しかるべきホルモン」等が生成され、それに従って臓器が作られる。今回の場合、取り出した細胞組織を生理食塩水を入れたタライで培養しているので、「しかるべきホルモン」はない。
リアムは、これまで幾度か経験した戦場の兵士治療で、蘇生に近い重症治療を数えきれないほど手掛け、その経験の中で、各種ホルモンの作用に相当する電気信号やイオン濃度調整などを熟知している。
その環境設定でもって、疑似的に細胞が分化する条件を整え、目的の臓器を意のままに作るすべを知っている。この知識量が、他の修道士が全く足元にも及ばない、リアムをカリスマ足らしめている源泉の一つだ。
この臓器生成を行いながら、作業空間にはしっかりマジックシールドを併用し、無菌状態の環境を維持させていた。最後に万能細胞を用いて、人ひとり分に近い血液を作り出し、ドルゴスに送り込んでいる。この血液生成も量が多いため、魔力消費量は絶大だった。
戦闘から治療まで、白黒の両魔術を多種多様に、時には何重にも同時に駆使し、昨日の一大事を乗り切ったのだった。
はっきり言って、今日のリアムはやつれていた。庭の片づけをしている時もだるそうだったし、食事をしている時も肩肘をついた状態でごはんを食べていた。リリカがそんなことをしていたら行儀が悪いと、いつも注意するくらいなのに。
「今日は洗い物はリリカ一人でやりますから、ご主人様は少し休んでてください。」
「そう?じゃ、ちょっと休もうかな。今日は朝からクタクタだ。」
そういうとリアムはダイニングルームのソファーに深々と座り、もたれかかって目を閉じてた。(このままベッドで寝てしまおうかな。)などと思いつつも、立ち上がるのも億劫でそのままぐったりを続ける。ソファーが柔らかくて人を駄目にする感じに心地よい。
カチャカチャ──
「?」
気づくと、お腹あたりで何かがもぞもぞ動いている。目を開けると洗い物を終えたリリカが、寝ていたリアムのところに来て、ズボンのベルトを外しているところだった。
「何してるんだ?」
「ご主人様、身体を締めつけるものを緩めたほうが、疲れをとるのにいいかなと思って。」
「──そうか。」
ベルトが外れ、確かに楽になった。おお、余計深く眠りにつきそうだ。ふぅっと、徐々に意識が底に向けて沈み込むような感覚に包まれた時、股間の先端が柔らかくて暖かいものに包まれたことに気づいた。
「!?」
何事かともう一度目を開けて下を向くと、リリカがリアムのものを取り出して咥えていた。
「おま、今はご褒美の時間じゃないぞ?それに俺、朝の後は、シャワーも浴びてねぇから。」
「ご主人様の身体に汚いとこなんてありませんよ♪ それに、これはご褒美じゃなくて治療です!この前ご主人様言ってたじゃないですか?魔力の消耗による疲労は、食事と睡眠と交尾が大事だって。だから、ご主人様はミルクを出さないと。」
とんでも理屈を展開するリリカは、そのまま優しく幹を指で撫でながら口を上下させる。
「リリカ、それなら下のお口でミルクを飲んでもらわないと充分じゃないから、あんまり無理するな。」
「あ、大丈夫ですよご主人様。リリカは今、下のお口の方が食欲あります!」
そういうとリリカは、いそいそとスカートをたくし上げ、ショーツを脱ぎ始めた。ショーツの内側にリリカの身体と接続された液体の糸が伸びていくのが見えた。
(それは食欲じゃないだろ。)心の中で突っ込みを入れるリアムだった。
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昨日はどうもすみませんでした。「終章」ということで、最終章のつもりです。もう少し頑張ります!
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