黒魔術と性奴隷と ~闇の治療魔術師奇譚~

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第3章 魔導要塞の攻防

第25話 迎撃開始

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 ずっと島の防衛策を腐心してきたリアムである。50人の聖騎士団の侵入を知ってもうろたえるということはなかった。ただ、いざ侵入者と戦うとなったとき、どのような方法を取るかについてはずっと悩んできた。

 まずもって攻撃をいつ仕掛けるか自体、悩みどころなのだ。リアムは、島中に配備した魔道具のセンサーによって侵入者がどこにいるか、リアルタイムで把握することができる。

 極端な戦術としては、敵の動きに応じて見つからない位置に移動し続け、相手が諦めるまで逃げ続けることも可能ではある。一番穏便な方法かもしれない。しかし、その方法だと、館は見つけられてしまうだろう。

 館や畑を荒らされるのは嫌だし、島に人が住んでいることを知られるのもできれば避けたい。アーネスト神父と3人の冒険者には自分がこの島にいることは知られているだろうが、それ以上はなるべくその事実を知られないようにしたい。そうなるとやはり敵がこちらの生活圏に足を踏み入れる前に、何かしらの方法で島の踏査を諦めさせなければならない。

 それは要するに攻撃して追い返すということになる。だが、自ら敵前に姿を現しこれをたたくという方法はできれば避けたい。相手は戦いのプロの騎士団であり、こちらは訓練したとはいえ、一介の治療魔術師に過ぎないのだ。魔術による遠距離攻撃で殲滅できれば良いが、間合いを詰められたら降参するしかない。

 などなど・・・考えた末リアムが出した結論は、敵がまだ沿岸部からろくに足を踏み入れないうちに、館から超遠距離攻撃を仕掛け、自らの姿を見せぬままに撃退するという戦術だ。距離がかなり離れているため、以前はそれは難しかったが、今なら島内の索敵がほぼ完ぺきになったので、不可能ではない。

 (ただな。それで撃退できても島内に何者かがいるということは相手に知られてしまうんだよな。)できれば、敵が島に人がいることを確認できないまま、探索を諦めてもらいたいのがリアムの理想なのだ。

「リリカ。」
「は、はい。」
「お前、最近雲を呼び寄せて雨を降らすことができるようになったよな。レインコールだ。」
「はい。畑の水やりにやりますね。魔力の消耗は大きめですけど、水瓶に水を溜めつつ畑にも水がやれて便利な水魔術です!」

「水の動きを操るのが随分うまくなってると思うが、空気の動きを操るのはできる?雨というか嵐を呼ぶような。」
「た・・・ぶんできるんじゃないかな・・、と思います。空気の方が体積が変わりやすいんでちょっと難しいんですけど、ヴェイパーディフュージョン(←粗相(潮吹き)の後始末)とレインコールで水を気化させたりその逆をやったり、しょっちゅうやっているので、水蒸気ならよく操ってるんですよね。」

「水蒸気ができれば、空気もそう難しくない技術だな。空気+水蒸気で強風を起こして大雨を降らすのをやってみてくれ。」
「は、畑が心配ですけども。」
「畑を狙うんじゃなくて、主に島の外周部だな。悪天候で侵入者を諦めさせるんだ。」

 レインコールは、技術的にはリアムも難なくできる魔術だが、彼は自分で使ったことがなかったので、最近よく使用しているリリカにやらせてみることにしたのだ。

「・・・島の周囲全体に水を集めるとなると相当な量になるから、海の水を蒸発させる感じで・・・、効果範囲がすごい広くなるから魔力が持つかなぁ・・、そうだ、魔石も使います。」
「リリカ、島の外周全体を覆うような「水」の塊を造ろうとするなよ。雨粒を降らせるレベルでいいんだからな!」
「あ、そうでした。思ったよりはちょっと楽ですね。よし、広範囲にヴェイパーディフュージョン!」

 リリカは、自分の前後左右に魔石を配置し、その込められた魔力を自身に集めつつ、自身も動員できる最大限の魔力を集中させて、アロン島周囲の海面を対象に水魔術を行使した。効果範囲が広大なため、消費魔力も莫大だ。

 しかし、魔術は見事に発動し、島の周囲から500メートル程度の海面の水が急激に蒸発し始めた。もちろん館から肉眼でそれを確認することはできないが、充満する強大な魔力を感じ、リアムはそのすごさを感じ取った。

 (うーん、どうも俺の目にはもう一人前というか大魔術師といっても遜色ない風格を感じるが。。いやしかし、そんなはずはないな。俺もリリカもしょせん潜りの三流魔術師に過ぎないに違いないからな。つまり俺の目にはすごく見えるとしても、これでもフォルセル王国の黒魔術師には足元にも及ばないはずだ。そうなると奴らはやっぱり本当に化け物だ(ガクブル)。)

 足元にも及ばないのは、むしろフォルセル王国の黒魔術師たちの方なのだが、リアムは、自分の妄想で構築された本場黒魔術師へのリスペクトというか畏敬の念を、引き続きこじらせている。

 フラッ────

 リリカがややよろめいた。魔石の補助を得つつも魔力の消耗が激しく、身体にやや変調が起きているようだ。

 (しっかりしなきゃ!ここからが本番。空気も巻き込むイメージで激しく、螺旋状に渦巻かせて水蒸気は水に変える!!)
「えい!サモンサイクロン!!」

 サモンサイクロンは、最近魔術のお勉強で、リアムと相談しながら考えた水と大気の複合魔術。レインコールが単に雨を降らせるのに対し、雨に加えて暴風を起こす魔術だ。本気で使用するのは今日が初めてである。

 突然館の窓ガラスがビリビリと音を立て始めた。先ほどまで快晴そのものだった空が、真っ黒な乱層雲に覆われている。小さな台風のような渦巻で、中心は雲のない「目」ができている。アロン島の本体がすっぽりと目に収まり、海岸線付近のみに猛烈な風雨が襲い掛かった。

 フラフラッ────

 またリリカがよろめいた。リアムもこのまま術を継続させるのは危険と悟り、声をかける。

「リリカ!魔力の消耗が激しすぎるようだ。こちらに来なさい。俺の魔力を与える。」
「あ、ありがとうございます。」

 術を維持しながら、よたよたと傍らに腰かけているリアムの方に向かったリリカは、「では失礼して。」といって、流れるような動作でリアムのズボンのベルトを外し、下着の中からいつも大事に使用している部分を引っ張り出し、口に含んだ。

「え?ええ!?・・・あぅ」

 あまりにもよどみのない動きで、全く想定していないことをされてリアムがうめいた。(すごい!ご主人様の魔力がどんどん、どんどんリリカに入ってきます!)粘膜は皮膚よりも魔力の転送効率が高いのは、以前経験している。リリカの動作には迷いも躊躇もなかった。

 リアムは、股間からとてつもない勢いで魔力が吸われているのを感じながら、(そ、そういう予定ではなかったんだが。今は緊急事態だから黙っとこう。)と判断し、大人しくリリカに任せた。粘膜を接触させるにしても口と口でよかったのではと思わなくはないが、猛然と絡みつくリリカの舌に(絡みつかせなくてもいいはずだが)不覚にも股間の膨張を抑えきれなかった。



 沿岸部の聖騎士団は突然の天変地異に面食らっていた。

「た、隊長!何が起きたのでしょうか。とんでもない大しけです。」
「か、身体が吹き飛ばされそうだ。」
「落ち着け!皆の衆。調査はまだ始まったばかりだぞ。天気が悪いから引き返したなどとあっては、王に顔向けできん。いいか、絶対にばらけるな。密集陣形を形成し、風の抵抗を最小限にするのだ。風にあおられて盾を吹き飛ばされないように気をつけろ!!」

 さすがは国軍きっての精鋭。急に襲い掛かった嵐に驚きながらも団子状に集まり、暴風雨に耐えながら少しずつ歩みを進め始めた。
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