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25話 誘ってから
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布施さんが帰っていくのをロビーまで見送り、そして部屋へ戻る。
「明後日お泊まりって予定も入れといたし、準備できたわよ」
「にしても姫、よく誘えましたね」
顎に手を当てて助手がこちらを眺める。
「まあ、私くらいになると初対面でもすぐ誘えるのよ……多分」
この家が高級だからってのもあるだろうけど。
翌日から、少しずつだが話すことが出来た。元は憑いてるものを除く目的だったが、ついでに友人関係も出来てほっとした姫だった。
「今日の事だけど、いつ家に来る?」
夜寝てもらうだけで結構だから、基本何時でもいい。
「あ、ちょっとやる事あるから6時くらいでもいい…?」
手を合わせて言う。
「わかった、6時ね」
それから帰って家に着く。
「サビエル、今日よ」
助手は準備をしていた。と言っても取り除く準備ではなく、料理や布団、掃除などだ。
「ねえ、そこまでする必要ある?」
窓を拭いている助手に言う。
「日本ではおもてなし、と言います」
雑巾を洗いながら助手が話す。
「親しい中にも礼儀あり、とは違いますが…、人を招くならそれなりの準備をしておかなくては」
「そういうものなのね…?」
よく分からない。姫は鞄を机に投げ、上着と下着、スカートを脱いだ。
「姫、人が来るのですから」
こちらを見た助手が言う。
「そうだった、寝る時もこれ付けなきゃいけないのよね…」
人差し指と親指で下半身に履いていた下着をつまみ、また履く。
やっぱ慣れない…前履いて寝たとき心地の悪さに眠れなかったのよね。
暫くして、携帯にメールが来た。
「下にいるよ、迎えに来て!」との内容で、私はロビーへ向かう。
学校と雰囲気の違う、私服の布施さんがいた。首にマフラーを巻き、寒そうにしている。背中にはリュックサックを背負っていた。
「じゃあ行こっか」
「うん」
そう言って中へ入り、エレベーターを待つ。
「本当に…邪魔じゃないよね?」
心配そうに布施さんがそう言う。
「何言ってるの、私が誘ったんだから」
そう言って微笑むと、布施さんも微笑んだ。
「お邪魔します…うわ、いい匂い」
部屋に入ると、まず布施さんはそう言った。奥で助手が料理をしているからだ。
「もう少ししたら夕食にしましょ、それまで景色でも…望遠鏡あるわよ」
窓の隅に置かれた筒を指さす。
外の景色はキラキラしているので、ここに越してきたばかりの頃は姫も食い入るように眺めていた。
「ホントだ…!ありがと」
荷物を置いて望遠鏡へ駆け寄っていく。
ここでいつもおさげにしていた髪が三つ編みにされ、後ろで結ばれているのに気が付いた。
じゃあ私はさっさと風呂入ろっかな。
「布施さん、お風呂は夕食前か夕食後、どちらにする?」
上着を脱ぎながら後ろで望遠鏡を覗いている布施さんに言う。
「えっと、前にしようかな」
布施さんは望遠鏡から目を離し、こちらを向いた。
「そう、じゃあお先にどうぞ」
上着を着てソファに正座する。
「…入らないの?」
布施さんは立ったままもじもじしている。トイレ?
「先に入ろうとしてたんだよね、ごめん」
そう言って布施さんは床に座った。
「いいよ、先に入って」
そんな事気を遣わなくても…
「いやいいよ?あなたが先で」
「でも…」
少し俯いた。
すっごい気を遣ってくるなぁ…。
「…うん、じゃあ一緒でいいかな」
このままじゃこの子入らないだろうし。
「準備できたら入って来てね、風呂場の位置分かる?」
「い、一緒?それは…その」
「女の子同士だよ…?」
恥ずかしそうに俯く。
「女の子同士だから大丈夫なんじゃ」
「それとも嫌だった?」
「ううん、そうじゃないよ」
「入るから…どうぞ、先に」
そう言って背を向け、リュックサックの中を探り始めた。
「ええ、じゃあ」
そういえば誤解、解いたっけ?
「明後日お泊まりって予定も入れといたし、準備できたわよ」
「にしても姫、よく誘えましたね」
顎に手を当てて助手がこちらを眺める。
「まあ、私くらいになると初対面でもすぐ誘えるのよ……多分」
この家が高級だからってのもあるだろうけど。
翌日から、少しずつだが話すことが出来た。元は憑いてるものを除く目的だったが、ついでに友人関係も出来てほっとした姫だった。
「今日の事だけど、いつ家に来る?」
夜寝てもらうだけで結構だから、基本何時でもいい。
「あ、ちょっとやる事あるから6時くらいでもいい…?」
手を合わせて言う。
「わかった、6時ね」
それから帰って家に着く。
「サビエル、今日よ」
助手は準備をしていた。と言っても取り除く準備ではなく、料理や布団、掃除などだ。
「ねえ、そこまでする必要ある?」
窓を拭いている助手に言う。
「日本ではおもてなし、と言います」
雑巾を洗いながら助手が話す。
「親しい中にも礼儀あり、とは違いますが…、人を招くならそれなりの準備をしておかなくては」
「そういうものなのね…?」
よく分からない。姫は鞄を机に投げ、上着と下着、スカートを脱いだ。
「姫、人が来るのですから」
こちらを見た助手が言う。
「そうだった、寝る時もこれ付けなきゃいけないのよね…」
人差し指と親指で下半身に履いていた下着をつまみ、また履く。
やっぱ慣れない…前履いて寝たとき心地の悪さに眠れなかったのよね。
暫くして、携帯にメールが来た。
「下にいるよ、迎えに来て!」との内容で、私はロビーへ向かう。
学校と雰囲気の違う、私服の布施さんがいた。首にマフラーを巻き、寒そうにしている。背中にはリュックサックを背負っていた。
「じゃあ行こっか」
「うん」
そう言って中へ入り、エレベーターを待つ。
「本当に…邪魔じゃないよね?」
心配そうに布施さんがそう言う。
「何言ってるの、私が誘ったんだから」
そう言って微笑むと、布施さんも微笑んだ。
「お邪魔します…うわ、いい匂い」
部屋に入ると、まず布施さんはそう言った。奥で助手が料理をしているからだ。
「もう少ししたら夕食にしましょ、それまで景色でも…望遠鏡あるわよ」
窓の隅に置かれた筒を指さす。
外の景色はキラキラしているので、ここに越してきたばかりの頃は姫も食い入るように眺めていた。
「ホントだ…!ありがと」
荷物を置いて望遠鏡へ駆け寄っていく。
ここでいつもおさげにしていた髪が三つ編みにされ、後ろで結ばれているのに気が付いた。
じゃあ私はさっさと風呂入ろっかな。
「布施さん、お風呂は夕食前か夕食後、どちらにする?」
上着を脱ぎながら後ろで望遠鏡を覗いている布施さんに言う。
「えっと、前にしようかな」
布施さんは望遠鏡から目を離し、こちらを向いた。
「そう、じゃあお先にどうぞ」
上着を着てソファに正座する。
「…入らないの?」
布施さんは立ったままもじもじしている。トイレ?
「先に入ろうとしてたんだよね、ごめん」
そう言って布施さんは床に座った。
「いいよ、先に入って」
そんな事気を遣わなくても…
「いやいいよ?あなたが先で」
「でも…」
少し俯いた。
すっごい気を遣ってくるなぁ…。
「…うん、じゃあ一緒でいいかな」
このままじゃこの子入らないだろうし。
「準備できたら入って来てね、風呂場の位置分かる?」
「い、一緒?それは…その」
「女の子同士だよ…?」
恥ずかしそうに俯く。
「女の子同士だから大丈夫なんじゃ」
「それとも嫌だった?」
「ううん、そうじゃないよ」
「入るから…どうぞ、先に」
そう言って背を向け、リュックサックの中を探り始めた。
「ええ、じゃあ」
そういえば誤解、解いたっけ?
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