能力者は現在に

わまり

文字の大きさ
40 / 56

傷つけないで 8

しおりを挟む
雪子はまた1人で公園にいた
そこへ歩み寄る
「あれ…お兄ちゃんにお姉ちゃんです?」

「そうだよ、また会ったね」
杏が話しかける
「雪子ちゃん、ちょっと遊ばない?」
「ほら、航も来て」

「うん!」
と、雪子は目を輝かせた

(やっぱり、寂しかったんだな)
「じゃあ何するんだ?」

「雪子ちゃんは何がしたい?」
杏はかがんで聞く

「うーんと、鬼ごっこかなー」
首をひねらせて言う
「うん!鬼ごっこがしたいです!」

「そっか、じゃあやろっか」
そして航に言う
「手加減しなさいよ?」

「分かってるって」
「雪子ちゃん、誰がおにになろっか」
航も話しかける

「私やってみたいです!」
雪子が手を挙げる

それから2人はかけていく
「いーち、にー……」
十秒数え、雪子が航に向かって駆け出す

航は逃げるが、わざと転び、タッチされる
そして全力で杏にタッチをする。
そして杏は雪子を追いかける…
雪子は笑顔だった。

「次は何したい?」
杏が雪子に言う

「もっとね、もっと沢山やりたいことあるんです!かくれんぼ、縄跳び、だるまさん……」
いくつも例を挙げる

「じゃあ、全部やろっか!」
そう言い、3人でヘトヘトになるまで遊んだ。
遊具にもたれかかり、休む
雪子は笑いながら、色々な事を話した

「もっと遊ぶか?」
航が雪子に言う

「うん!もっと、もっとです!」
笑顔で手を広げる。

すると、横から同年齢くらいの女の子2人がおそるおそる雪子へ近付いて行った。
そして
「わ、私達も入れて…!」
と、雪子に言った

雪子は戸惑い、杏と航を見た
航は
「いいよ、3人で遊びな」
杏も
「うん、いいよ」
と言った

そうすると雪子は2人に向かって
「うん!遊ぼ!」
と笑顔で言った
そして3人で遊び始めた


「良かったわね」
少し息を切らしながら言う

「そうだな…」
「それと、気付いたか?」
航が雪子を指さす

「何に?」

「俺と雪子、十分離れてる」
「なのに苦しくないぞ」

「ほんと!?解除されたのね!」
「ほんとに良かった…」
涙を浮かべて言う

「おいおい、なんでお前が泣くんだよ」
苦笑する
「良かったよ、解除の条件はなんだったんだろうな?」

「分かってるじゃない」
「彼女、幸せそうでしょ」
そう言い指さす方向には、笑っている雪子の顔があった。

「そっか…」
「さっさとシャワー浴びたいぜ、昨日はああして過ごして疲れが溜まってんだ」

「ゆっくり休みなさいよ」

「そうするつもりだよ」
背伸びし、振り返る
「そういえば、お前…やっぱり優しいな」
そう言い笑った

「なっ…!」
顔を赤くする

「この恩はいつか返すよ、何が欲しい」

「今はまだ決められない…」
「いつか、言うから覚えといてよ」
そう言い微笑む

「分かった、じゃあいつか、な」
2人は立ち上がる。

すると、雪子と2人が駆け寄ってきた
「お兄ちゃんにお姉ちゃん、ありがとう!」
「まるでパパとママみたいです!」
そう言い笑った。

「パパと…ママ!?私が!?」
更に顔を真っ赤にする

「ありがとな、これから仲良くしろよ?」
そう言い航は3人の頭を撫でた。
「じゃあな、またいつか遊ぼうぜ」

「うん!」
雪子は笑った



帰り道、杏は顔を赤くしていた
「なに赤くなってんだよ、ママ」
航はからかった

「う、ううっさいわね!」
「あんたと夫婦なんてごめんよ!」
更に顔を赤くする

「俺だってごめんだし!」
「まあ、少しはいいかなって思ったが」
ボソっとつぶやく
日はもう沈みかけていた。



航はベッドに横になり、考える
「にしても、俺が能力にかかったのはなんでだ?」そう言い、雪子に言った言葉を思い出す

            「お前友達いないのか?」

まさかこれで…?
難しい能力だなー、あの子

少しでも傷つけちゃいけない、んだな
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...