能力者は現在に

わまり

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蓋のない骨壷 2

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足下に転がる遺体からは腐敗臭が漂う
3日目、昨夜も隣人が異臭がすると苦情を言いに来た。
そんなに漏れてるのかと思い、ブルーシートを被せた。
ニュースからは最近の連続殺人の話が流れていて新聞にもでかでかと見出しに書いてある。

1週間前から大量の変死者が出た。皆健康、問題ない人ばかりだったので事件性ありだと考える人はいるが、その証拠も何も無いため、変死として扱われた。


きっと明日明後日にでも警察が僕を訪ねてくるだろう、警察は優秀だ。数々の事件の前、僕が現場近くにいた事を防犯カメラ等から突き止めるはずだ。
とぼければ証拠もないので逃れられる

しかし今はだめだ。祖母の遺体が転がっている状況、殺したと思われなくとも、放置していた時点で罪は免れられない。
骨もまだ取り出していなく、中途半端な状況である。
骨壷を持って逃げる、それしかないかもしれない。直ぐに指名手配になるだろう、指紋は拭いたが、もしかしたら残っているかもしれない。

大きなリュックに必要最低限の物と骨壷を入れる。大量の骨を入れた骨壷は初めの頃と比べ、倍の重さになっていた。
骨壷には鉛の蓋を被せる。数日経てば溶けてしまうだろうが、ないよりはマシだ。

彼に連絡を入れる
「智樹か、そろそろ出る。数時間後に付くはずだ」
捕まるのは時間の問題だろうか
それまでにどれだけ骨が埋まるか

その時、インターホンが鳴った



直人と航は目の前の光景に愕然としていた。異臭が漂う部屋の中には黒く変色した血液が大量に床と壁に飛び散っている。

和樹の家の前に来た2人は、まず異臭に気が付く。インターホンを鳴らすが、反応はなく、不吉な予感がした
玄関のドアに鍵はかかっていなく、こっそり開くとさらに強い臭いに吐き気を催した。
そして家の中へ足を踏み入れるとそこにはぐにゃりと曲がった遺体があった。

和樹ではない。この人は老けていて、女性だ。ならば和樹はどこへ。
警察の取り調べでは勿論怪しまれたが、直ぐに解放された。
小川と名乗る刑事は変死事件と関係あり、と話していた。どうやらこのような状態での発見は他にも例があるらしく、その死体はどれか1本骨がないのだとか。

「和樹はいない、これ以上首を突っ込むのも何だしどうしようか」

「警察の調査を待つしかないな、別に俺達が見つけなくてはならない、って事は無いだろ」

「でも能力は…」

「もし和樹が殺したとしたら、俺達も危ないかもしれない」
「身を危険に晒す必要はない。次の場所へ行こう」

「…そうだな」
警察署を出て駅へ向かう
電車の中には、大きな荷物を持った男性と自分達しかいなかった。

翌日のニュースでは、和樹勇太が指名手配されたとあった。
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