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蓋のない骨壷 3
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小川刑事は現場を見た瞬間、
脳裏に妻の顔が過ぎった。妻の時と全く同じ死に方。犯人は同じだろう。
捜査に進展はなく、ただ他殺だということは明らかである。
のけぞって倒れたような状態で目を見開き、足からは骨がなくなり肉と皮だけだ。
なんとしても犯人を見つけ出したい。
それは刑事としての思い出もあるが、妻を殺した犯人を何より憎んでいる。
私は犯人を殺すつもりでいる。
本部からは自由な捜査を許可された。
あの家に住んでいたのは和樹朋子と和樹勇太、和樹朋子は殺害され、和樹勇太はいない。昨日までは確かにいたと隣人が証言している、そして異臭がしたとも。
遺体と一緒に暮らしていたわけだ。
「動機が無いな」
「そうですね、仲が良かったらしいですし、相当な理由じゃないと殺害なんてしませんよ」
首を傾げながら太田言う
「相続人は誰だ?」
「えーと、和樹朋子の息子、和樹秀徳ですね、しかし和樹秀徳は二年前に他界、それから相続人は和樹秀徳の妻、和樹佳代になっています。しかし彼女は丁度三十日前、変死しています。その場合の相続人はその孫となります」
「じゃあ相続人は丁度和樹勇太か…」
「遺産目当てが動機の可能性があるな」
「しかし、それなら何故いないんだ?やっぱり和樹勇太が殺したからか?」
「まあ和樹勇太が犯人なのは間違え無いでしょうね」
「和樹勇太が犯人かはまだ確定できんが、死体を放置していたのは確かだ。」
和樹勇太が犯人だとすると、連続殺人犯となる。全国に捜査網が敷かれた。
駅での防犯カメラから和樹勇太らしき人物を発見した。大きな荷物を抱え、白いシャツに黒のジーパン、ラフな格好だ。
その電車は終点まで行き、そこで和樹勇太が降りていた。
そしてその券売機からは青森への切符が購入されていた。直ちに捜査員を青森に向かわせ、終点の土地にも配備された。
青森の近隣の住民が大きな荷物を持った男を見たと証言しており、その後駅の防犯カメラからは和樹勇太の姿は見えなかった為、青森に居ることはほぼ確定である、全ての駅には捜査員が派遣され、四六時中和樹勇太が現れるのを待った。
逃げ場はないと誰もが思っていた。
しかし操作開始から三十日、未だに進展は無く、いくら聞いても和樹勇太らしき人物はいなかった。追い詰めたはずだが、全く進展がないのは不自然である。
そして遂に事件が起こった
港近くに住んでいる70代の男性が、手首の骨が無い状態で発見された。
血は飛び散っていなく、手際よく骨が取り出された事がうかがえる。
しかし手に付いた血痕に1部不自然な所が。これは和樹勇太が腕を抑えた時に血が勇太の手に付着した為だろう。しかし指紋は無く、手袋をはめたのだ。
「遂にやりやがりましたね…」
現場に残された足跡を見ながら太田が言う。しかしその足跡の靴は庭に捨てられていた。
「ああ、このままでは被害者が増えるだけかもしれん。早急に逮捕しなくてはな」
未だに凶器も分かっていない。刃渡りからメスで骨を取られたのは確実なのだが。和樹勇太は医学校を卒業している。
しかしメスで殺害されていない。皆ショック死しているのだ。相当な痛みを与えるなどしなくてはショック死はしないはずなのだが…一体何をした?
和樹勇太はただの狂人か、それとも何か目的があるのか…
「早く見つかってくれよ…」
空を仰ぎながら呟く。
「小川さん、殺害された男性は漁師でした」「そしてこれが重要、男性の船が港から消えました」
「ならば和樹勇太は男性を殺害した上で船を奪い、逃走したと」
「はい…まずいですね、遠くに行かれる可能性があります、推定して8時間前にはもう船は出発したとなります。」
「昼になると漁師はほぼ居ませんから、海を見てる人も限られます。それに、ここは漁師が少ない」
「男性の船が発進する所を近隣の住民が目撃したそうだ。いつも男性は5時~10時まで漁をし帰ってくるそうだから珍しく思ったとか」
「方向はわからんが和樹は船にいる、海上は確認されているか?」
「はい、今ヘリコプターが離陸したそうです」
日本海から遠くへ向かうのなら、必ず海の上に今はいるはずだ。操作開始から50日、早くも逮捕となるかもしれん。
脳裏に妻の顔が過ぎった。妻の時と全く同じ死に方。犯人は同じだろう。
捜査に進展はなく、ただ他殺だということは明らかである。
のけぞって倒れたような状態で目を見開き、足からは骨がなくなり肉と皮だけだ。
なんとしても犯人を見つけ出したい。
それは刑事としての思い出もあるが、妻を殺した犯人を何より憎んでいる。
私は犯人を殺すつもりでいる。
本部からは自由な捜査を許可された。
あの家に住んでいたのは和樹朋子と和樹勇太、和樹朋子は殺害され、和樹勇太はいない。昨日までは確かにいたと隣人が証言している、そして異臭がしたとも。
遺体と一緒に暮らしていたわけだ。
「動機が無いな」
「そうですね、仲が良かったらしいですし、相当な理由じゃないと殺害なんてしませんよ」
首を傾げながら太田言う
「相続人は誰だ?」
「えーと、和樹朋子の息子、和樹秀徳ですね、しかし和樹秀徳は二年前に他界、それから相続人は和樹秀徳の妻、和樹佳代になっています。しかし彼女は丁度三十日前、変死しています。その場合の相続人はその孫となります」
「じゃあ相続人は丁度和樹勇太か…」
「遺産目当てが動機の可能性があるな」
「しかし、それなら何故いないんだ?やっぱり和樹勇太が殺したからか?」
「まあ和樹勇太が犯人なのは間違え無いでしょうね」
「和樹勇太が犯人かはまだ確定できんが、死体を放置していたのは確かだ。」
和樹勇太が犯人だとすると、連続殺人犯となる。全国に捜査網が敷かれた。
駅での防犯カメラから和樹勇太らしき人物を発見した。大きな荷物を抱え、白いシャツに黒のジーパン、ラフな格好だ。
その電車は終点まで行き、そこで和樹勇太が降りていた。
そしてその券売機からは青森への切符が購入されていた。直ちに捜査員を青森に向かわせ、終点の土地にも配備された。
青森の近隣の住民が大きな荷物を持った男を見たと証言しており、その後駅の防犯カメラからは和樹勇太の姿は見えなかった為、青森に居ることはほぼ確定である、全ての駅には捜査員が派遣され、四六時中和樹勇太が現れるのを待った。
逃げ場はないと誰もが思っていた。
しかし操作開始から三十日、未だに進展は無く、いくら聞いても和樹勇太らしき人物はいなかった。追い詰めたはずだが、全く進展がないのは不自然である。
そして遂に事件が起こった
港近くに住んでいる70代の男性が、手首の骨が無い状態で発見された。
血は飛び散っていなく、手際よく骨が取り出された事がうかがえる。
しかし手に付いた血痕に1部不自然な所が。これは和樹勇太が腕を抑えた時に血が勇太の手に付着した為だろう。しかし指紋は無く、手袋をはめたのだ。
「遂にやりやがりましたね…」
現場に残された足跡を見ながら太田が言う。しかしその足跡の靴は庭に捨てられていた。
「ああ、このままでは被害者が増えるだけかもしれん。早急に逮捕しなくてはな」
未だに凶器も分かっていない。刃渡りからメスで骨を取られたのは確実なのだが。和樹勇太は医学校を卒業している。
しかしメスで殺害されていない。皆ショック死しているのだ。相当な痛みを与えるなどしなくてはショック死はしないはずなのだが…一体何をした?
和樹勇太はただの狂人か、それとも何か目的があるのか…
「早く見つかってくれよ…」
空を仰ぎながら呟く。
「小川さん、殺害された男性は漁師でした」「そしてこれが重要、男性の船が港から消えました」
「ならば和樹勇太は男性を殺害した上で船を奪い、逃走したと」
「はい…まずいですね、遠くに行かれる可能性があります、推定して8時間前にはもう船は出発したとなります。」
「昼になると漁師はほぼ居ませんから、海を見てる人も限られます。それに、ここは漁師が少ない」
「男性の船が発進する所を近隣の住民が目撃したそうだ。いつも男性は5時~10時まで漁をし帰ってくるそうだから珍しく思ったとか」
「方向はわからんが和樹は船にいる、海上は確認されているか?」
「はい、今ヘリコプターが離陸したそうです」
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