短編物語パンドラ 【百合】

わまり

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みゆりこ 14

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私達の速度に合わせているようだ。
しかし、止まってもあっちは止まらない。
「りこ、わかる?」

「うん…変だよ」
走っても付いてくる。距離は10m程だろうか。止まると近付く。転びでもしたら一貫の終わりだ。
「全然撒けないし…」

何度も走り、曲がった。
マッチを置いてみるが、相手が通るとすぐに消えてしまい、一秒も差をつけられない

「もー、どうなってるのよ!」
温度しか分からない相手に言葉は通じないが、とにかく罵倒したくなる。

走っても変わらないので、今は早歩きになっている。焦っていた。

2時間は歩いただろうか、流石に足が疲れてくる。遅く歩いても大丈夫なのだが、焦りと心配で早歩きになり、更に疲れる。
「そろそろ無理…捕まっちゃう…」
りこが苦しそうにしている

「頑張って、がんばらないと…」
足の裏がとても痛い。
いつまでもこうしてはいられない
なにか考えないと…

いくら考えても考えても思い付かない。マッチもだめ、走ってもだめ。止まると近付いてきてしまう。
足音がするなら、足止めできるか?
例えば壁を…って、そんなものないか
室内に入っても、逃げ場を無くすだけだろうか。
どんな方向からも考えるが、疲れもあっていい案が思いつかない。だめだ…

「みーちゃん、みーちゃんっ!」
りこが私の肩を叩く。
りこの方を見ると、りこが恐怖に顔を歪めていた。

「どうしたの?」

「後ろ見て、あるいたまま…」
りこは泣きそうな声だった

後ろを向いて、目を見開く
近くなっている。確実にだ。
少しではない。私達との距離は3mくらいだ。私達は止まってない。止まれるはずもないのだし。どうなってる…?

このまま近付いてくるなら確実に追い付かれる。走っても、歩いても…

りこが叫んで走り出した
「りこ!だめっ!!」
そんな事したら…!
私の方に付いてくる可能性もあったが、相手がりこの方へ行く気がしていた。
案の定、足音は私の横を通り過ぎた。
「ゆき!まって…まってっ!!」

1人にしないで、独りになっちゃだめだ…

初めて相手をはっきり見た。
前は足跡だけだったが、今回は見える
黒い影が前後に揺れながらりこと同じ速さで動いている。そして震えていた。

りこが追い付かれる。
次は逃げられる筈がない。
りこは2度と生きて私の前に現れることはないかもしれない…。

でも私は逃げる事ができるかもしれない。
今相手はりこの方に向かっている。
それなら、少しでも生き延びる事ができるかもしれないし私はもしかしたら逃げる事も…

はーっ、と溜息をついた。
これは諦めの溜息ではない。変な想像を振り払う。
「何考えてるんだろ…」
りこがいない状態で生きてて何が楽しいのか。罪悪感を背負って生きていく事なんて私にはできないし、したくない。

少しでも助けられる可能性があるのなら、一緒に助かれるなら。
もう1度りこと安心して笑えるなら。

木に手を掛け、地面を踏みしめて駆け出す
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