ロリストーカー 【百合】

わまり

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13 ゆきとキー子

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なにこの女子力…
ミスもなくテキパキと野菜を切り、炒める
負けてる…私こんなちっちゃな子に…

「ほらキー子さん、手が止まってる。一つ遅れると全体の時間もその分遅れるんだから」
こっちを見ずにいう

「すごいね…ゆきは…」
手際の良さに感心する

「別に、いつもパパとママが遅いから作ってるだけだし…」
照れるゆき、しかし手は止まらない
「でもやっぱり1人でやるより2人がいいや」そう言いこっちを見る

「そう?足でまといに思える…」

出来たビーフシチューは女の子が作ったとは思えない出来で、更に皿がお高そうな…
「…どう?」
ゆきが聞いてくる

「美味しいよ、料理上手いね」
サラダにパンも食卓に並べられた
まけてるなぁ…
それで、食べたら帰っていいのかな…
「ねえ、私はいつまで居ればいい?」

「明日」
手を止め、ボソッと言う
「大丈夫でしょ、今日金曜日」
そう言い私を見た

「やっぱりか…」
ほんとに泊まるんだ…

「だめなら…帰っても…いいよ」
スプーンを置きまた肩を震わせる

どれだけ寂しい思いしてるの、この子
「大丈夫、帰らないよ」
「食べないの?」

そう言うとゆきはスプーンを取り、また食べ始めた


「ねえ、いつも1人でいるの?」
食べながら尋ねる

「…うん。月水金は次の日まで帰らないの。火、木も帰るのは9時くらい」

「ほとんどいないじゃない、寂しいわよそりゃ…」

「でもパパは会社の社長で頑張ってるし、ママもその会社で頑張ってる」
「ワガママなんて言えないよ」
寂しそうにそう言う

この歳でそんな事考えて、自分の気持ち抑えてるんだ。思ってるよりずっと大人じゃないか、この子

「みかもみかの家族がいるし、夜は来れない。だから1人でいるの」

なんで自分の気持ち言わないかなー、そう思い部屋の隅にある人形を見る。寂しく無いようにと親が買ったのだろう。
「ゆきは迷惑かけたくないの?お母さんとお父さんに」

「そうだよ、私が迷惑かけちゃいけない」
きっぱりと言う

「そんな歳で難しい事考えちゃって…」
「少しくらいワガママ言ってもいいんだよ、小さな自分の娘のワガママを無視なんてしないって」

「でも…」

「一回でいいから寂しいって言ってみなよ、私が口挟む権利ないけど」
そう言い微笑んだ
「私だったらいつでも来れるから」

「…うん、そうする」
ゆきも笑った


「ねえ、キー子さんは」
片付けが終わり、テーブルで休んでいるとゆきが話しかけてきた
「あのお姉ちゃんの事好きなの?」

唐突に何を言い出すのこの子…
「え、えと…それは」
つい顔が赤くなる

「ううん、分かってるよ、見てたんだもん。」

わかってるじゃない…
「そうだよ、好きな人」

「でもお姉ちゃんはみかのものなの、取っちゃダメだよ」

「まあ、そもそも委員長は私に冷たいし、無理だよ」
取れるのなら取るって…

「冷たいのは信頼の証だと思う」
ゆきが言う

「?」
それは考えた事無かった。

「でも、取っちゃだめ」
「もし取るっていうなら」
「私が邪魔する」

「別に取らないよ…。邪魔って…何するの?」
呆れながら答える

「それは…」
ゆきは顔を赤くした
「わ、私を…」

なにを言おうとしてるんだろ
沈黙が続き、やっとゆきが決心したように口を開く

「好きになってもらうから…」
ゆきが俯いた

カッと顔が熱くなった。
どういう思考なんだこの子…っ
「な、なっ…!」
普通そこは嘘の情報流すとかするんじゃないの?

「そしたらゆきもあのお姉ちゃんも傷付かない、私は卑怯な事して邪魔したりしないからっ…」
更に顔が赤くなっている

私も顔が熱くなってきた
「や、やれるもんならやってみなよ…」
そう言い、顔を背けた。
心臓がドクドクと跳ねている。
なんでこんな子に…
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