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45 2人のスポーツ少女
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小さい頃から外を走り回って遊び、小学校ではいつも足が速いと言われ、中学校で陸上部に加えて駅伝部で更に実力を磨いた。
高校でも練習は欠かさなかった。
走る事が好きか、と言われても好きとは言わないが、走っていて楽しいかと聞かれたら楽しいと答える。
佐川美里は何もかもに面倒臭がり屋だが、運動が得意だから面倒臭くてもやっている。
「…勝てるわけない」
そう呟いた。
ストレッチを軽く行い、ラインにつく。
今まで一言も泉桃子は喋っていない。
息を整えながらじっとウチを見ている。
「それでは、on your marks…」
先生が横に立つ。トラック一周分で競うので、最初から最後まで全力で行けるだろう。
「じゃないや、位置について…」
すっと息を吸った。
久しぶりの感覚、一ヶ月走っていなかったが、劣ってはいないはず。
「用意」
こんな奴に負けるはずはない。
でも、ウチは手を抜かない。
「ドン!」
先生が言うと同時に地面を蹴った。いい出だしだ。急に風の音が耳に入ってくる。
前へ進む身体に身を任せる。
いい出だしだったのは泉桃子も同じだった。背筋を伸ばし、ポニーテールを揺らしながらウチの少し後ろを走る。
全力なのに付いてきてる事に驚いた。
ここまで速いとは。
一ヶ月ぶりだからか、身体が重力の方向へ沈む感覚がやってきた。
こうなると足の反応が鈍くなってしまうので、つま先で地面を蹴る。
少しだが確実に距離を開け、ゴールへ向かう。他の生徒達はウチらを見ていたり、まだ走っている子もいる。
息を大きく吸い、吐き出しながら全力を出し切ってゴールする。なかなからいい感じだった。
「ふー、終わった」
「お疲れ様」
図書委員長がタオルを渡してきた。
礼を言って受け取る。
「桃子ちゃんもゴールしてる」
驚いて見ると、泉桃子もゴールしていて、水筒を飲んでいた。
つまり、私の後、20秒以内にはもうゴールしてたのか。
「やっぱ速いな…」
泉桃子は水筒を飲むと、ウチを見て笑った。そして先生と生徒の元へかけて行く。
汗で張り付いた体操服を仰ぎながら、ポニーテールが揺れていた。
高校でも練習は欠かさなかった。
走る事が好きか、と言われても好きとは言わないが、走っていて楽しいかと聞かれたら楽しいと答える。
佐川美里は何もかもに面倒臭がり屋だが、運動が得意だから面倒臭くてもやっている。
「…勝てるわけない」
そう呟いた。
ストレッチを軽く行い、ラインにつく。
今まで一言も泉桃子は喋っていない。
息を整えながらじっとウチを見ている。
「それでは、on your marks…」
先生が横に立つ。トラック一周分で競うので、最初から最後まで全力で行けるだろう。
「じゃないや、位置について…」
すっと息を吸った。
久しぶりの感覚、一ヶ月走っていなかったが、劣ってはいないはず。
「用意」
こんな奴に負けるはずはない。
でも、ウチは手を抜かない。
「ドン!」
先生が言うと同時に地面を蹴った。いい出だしだ。急に風の音が耳に入ってくる。
前へ進む身体に身を任せる。
いい出だしだったのは泉桃子も同じだった。背筋を伸ばし、ポニーテールを揺らしながらウチの少し後ろを走る。
全力なのに付いてきてる事に驚いた。
ここまで速いとは。
一ヶ月ぶりだからか、身体が重力の方向へ沈む感覚がやってきた。
こうなると足の反応が鈍くなってしまうので、つま先で地面を蹴る。
少しだが確実に距離を開け、ゴールへ向かう。他の生徒達はウチらを見ていたり、まだ走っている子もいる。
息を大きく吸い、吐き出しながら全力を出し切ってゴールする。なかなからいい感じだった。
「ふー、終わった」
「お疲れ様」
図書委員長がタオルを渡してきた。
礼を言って受け取る。
「桃子ちゃんもゴールしてる」
驚いて見ると、泉桃子もゴールしていて、水筒を飲んでいた。
つまり、私の後、20秒以内にはもうゴールしてたのか。
「やっぱ速いな…」
泉桃子は水筒を飲むと、ウチを見て笑った。そして先生と生徒の元へかけて行く。
汗で張り付いた体操服を仰ぎながら、ポニーテールが揺れていた。
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