╣淫・呪・秘・転╠亡国の暗黒魔法師編

流転小石

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第8章 魔王国編

第206話 ノタルム国

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謎のダークエルフであるアルコンは500年前にディランと王座を争って戦ったが敗れたのち、自らの一族と共に旅に出てノタルム国、別名魔族の国で暮らして居た。
元はディランの親友だった男だ。
戦う前の約束で勝者が国を継ぎ、敗者は新たな国を作る旅に出る事で合意していた。
本来ダークエルフ族は人口も少ないので子孫を増やす可能性を求めて、新天地を目指したのだった。

国王魔王の依頼で世界の情報を集めていた際に、近くに寄ったついでに訪れた故郷の有り様を見て驚愕した。
街も城も破壊されて誰も居ない廃墟と変わっていた想い出の故郷。
込み上げる感情と憎悪は敵対者に対しての復讐だった。
だが、一族を遠いノタルム国に残し数人での諜報だったので断腸の思いで立ち去るが、故郷から遠くなるにつれ後ろ髪を引かれる思いだった。
(必ず敵を突き止めてやるぞ、ディラン)

ノタルム国に戻ってからは、国王に報告し助言を賜る。
小国と言えども圧倒的な魔素量を誇るダークエルフを殲滅した敵を探し出すのだ。
勿論対立候補の国はある。
それらの国に間諜を放ち情報収集する事から始めた。
当然だが一番疑わしいのはエルフ国メディテッラネウスだ。

次に聖魔法王国アルモニアだ。
昔から獣王国バリエンテは交流が余り無いが間諜は送ってあった。
実際あの地域では、その二ヶ国しか該当は無かった。
どちらかが、もしかすると両国が手を組んだ可能性も有る。
同族達はそうだと言い切っているが感情的になっている為だ。

仮に二ヶ国が協力したとしても、その理由と、現在の状況を知る必要が有るからだ。
国王魔王から裏を取るように指示を出され、多数の間諜に綿密に事態の収集を行なわせ、報告をしたが更なる情報収集に当たれと言われいきどおりを感じていたアルコン。

(仕方が無いか。もしもノタルム国が動くとなると大きな戦いになるからな) 
国王としての責任は重く、簡単に戦争を起こす事は出来ないし、ましてや他族ダークエルフの為に、そこまでする必要が無い事もアルコンは理解している。
(やはり鍵を握るのは”あの男”か)


※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez


一族の転居も済んで、アロンソが初めて学校へ行く日になった。
この日まで多少の揉め事があったが、ようやく入学の日を迎える。
とは言っても編入だが・・・
数日前。
「ところでアロちゃんは何歳なの?」
親戚のおばちゃんアンドレアに聞かれて本当の年齢を話す。
「俺は今年で28だけど」
「「「えっ?」」」
周りに居た獣人達も驚いたようだ。
どう見ても幼い少年が大人だと言う。
しかし、肝心な事を忘れていたのだ。
アロンソがダークエルフだと言う事。
普段は黒龍王と同じ人族に変化しているから獣人達も人族の感覚で見ていた。

「俺達を人族と勘違いしているぞ、アロンソ」
「そうみたいだね、父さん」
真顔で真剣な表情で見ている獣人達。
「本当に28?」
「うん」
「本当に本当?」
「うん」
しつこいビエルナスだ。

「俺達長命種は年を取るのが遅いのさ」
「・・・」
「エルフもそうだろ?」
「黒龍王・・・何とかして」
「こればかりは、どうにも出来ないよ」
アンドレアがダダをこねるが何とか逃げ切る。
(何とかしてどうしたいと言うのだか)

「では、何歳と偽って行かせるの?」
問題はソコだった。
見た目は10歳以下のアロンソを何歳として学校へ通わせるのか。
実際の教材を借りて見せたのだが、計算と行儀作法は既に上の学校以上だ。
獣人達の言語や歴史は知らなくて当然だが職種は興味が有る感じだ。

「ビエルナスが今の知識で学校へ行こうとすればどうだ?」
「・・・特に学ぶ事は無いですね」
「では、どうする? アロンソも獣人の知識は無いが魔導の知識はかなり持っているぞ」
「「「おおおっ」」」
「俺は8歳くらいで良いから学校に行くよ」
クラベルに居た数少ない友達が8歳の子供だったからだ。

本人の希望により、自称8歳となって学校に向う事になる。
所が別の問題提議が起きた。
「学校までどうやって行かせるつもりなの?」
「えっ? 歩いてだろ?」
「イケマセン」
義母から駄目だしをもらいました。
「専用のブロエ・マルシベーゴォで送り迎えをしましょう」
「ちょっと待ってください」
リーゼロッテから横やりが入った。
どちらも過保護だがアンドレアの場合は娘の前例が有るので超過保護なのだが、そこは女同士で話し合ってもらおう。

アロンソと一緒にセサルとアナをあやしながらパウリナと話をしていた。
「アロちゃんはどうしたいの?」
「俺は1人で歩いて行くさ」
(ウム、良く言った)
「でも、私の事件が有ったから皆心配なのよねぇ」
「じゃ警護を付ければ?」
「あっそれ良いかもよ」
父と義母パウリナが納得しているが当事者は否定的だ。
「やだよ、そんなの」
「ふ~む、じゃ離れて場所から警護だと分からなくすれは?」
「・・・だったら良いかも」
「良し、パウリナ。2人に説明して来て」
「ウン」

向こうでは祖母たちが誘拐に関して激論していたので本人の希望で有れば納得してくれると思ったのだ。
もはや王族を誘拐しようなどと考える者は居ないだろうと考えていたエルヴィーノだったが、後に”自分がそのような目に合う”とは夢にも思っていませんでした。

カスティリオ・エスピナの住居にある転移部屋からペンタガラマのとある部屋へ転移したら待っているのは数人の獣人達だ。
彼らは隠密護衛で対象者の周りを警護する者達だ。
アロンソが転移する時間は決まっている。
その前に部屋を出て建物の周りを監視し、アロンソに同調して歩く。

後からも護衛が追いかけて来るのだが、本人の希望で近くには寄らず離れての護衛だ。
護衛は学校に到着しても行なわれる。
建物の四方から対象者の保護と敵対者の監視だ。
基本的にはアロンソの存在を知る者はおらず、敵対者など居ないが将来セサルとアナの為に護衛者も実施練習が必要だとの意見で現在に至る。

因みにこの事はアロンソには教えていない。
理由は嫌がるからだ。
通学に関しては護衛を伴うと話したが、本人から学校まで監視されていると気づく程度の監視で有れば程度が低いので中止すると監視員に説明した。
監視員は敵対者と対象者にも感づかれずに護衛する事が任務となる。

編入や転校などは人族がたまに居ると言う。
やはり教会関係者で、子供達も付いて来るからだが、教室の割合は人族が二割程度だった。
そんな教室に先生から普通に紹介される。
「ハイみなさん。今日から新しい友達を紹介しますよぉ」
廊下から入って来たのは黒髪の男の子だった。
「アロンソです。みんなさん宜しくお願いします」

笑顔で挨拶するとキャーキャー騒いでいるが(獣人って結構賑やかな連中だなぁ)と思っていたアロンソは騒いでするのが女子ばかりだとは気が付かなかった。

転校初日は普通に過ごし、特に問題も無く一日が終わった。
しかし、次の日異変があった。
朝の朝礼で先生から報告が有った。
「えー皆さん、昨日はアロンソ君が転校してきましたが、今日も転校してきた友達を紹介します」
廊下から入って来たのは、また黒髪の”男の子”だった。
「フィドキアだ。ヨロシク」

パチパチと少ない拍手が有ったがアロンソは歓迎していた。
それは初めて見る自分と同じではないが人族の黒髪黒目の男の子だったからだ。
因みに獣人達に受けが悪いのは、無愛想で生意気そうだからだ。

アロンソとフィドキアは”たまたま”席が隣どうしで初日は一緒に教材を使っていた。
そして、お昼時間。
全員が弁当を持参して食事を取る。
「あれ? フィドキアは弁当持って来てないの?」
「あぁ」
「ふぅん・・・じゃ俺の半分やるよ」
「良いか?」
「偶然だけど俺達似てるだろ? 髪の色だとか」
「うむ」
「一緒に学校に来てるんだからさ、友達として当然だよ」


友達として当然だよ・・・友達として当然だよ・・・友達として当然だよ・・・(フェードアウト)


その言葉がフィドキアの脳裏に木霊した。
「さぁ食べよう」
「では頂くとしよう」
ほんの一瞬の出来事が永遠の様な錯覚を起こしたフィドキアには忘れられない出来事だった。

そして数日過ぎて帰る頃には教室が大変な事になっていた。
アロンソ派の獣人女子とフィドキア派の一部の獣人男子だ。
教会関係の人族は遠巻きで静観している模様。
アロンソは計算や行儀作法は完璧と言えるほどで、当たり前だが獣人の種族語や文字は分からない。
しかし、笑顔で誰とでも接しているのが獣人女子に受けたのだろう。

一方のフィドキアは無愛想だ。
全ての問題に完璧に答えるが、無愛想で言葉数が少ないため誤解を生んでいる。
実際ガトー族やペロ族の男子にちょっかいを出されたが、コテンパンにやり返されて”フィドキアには逆らうな”と陰で言われている様だ。

「大体お前らアロンソに纏わりついてウゼェーんだよ」
「何よ、アンタ達こそ。フィドキア君の陰に隠れてアロンソ君に近づかないで頂戴ぃ!」
「何だとぉ」
「何よぉ」

獣人の男子女子が言い争いをしている。
アロンソとフィドキアが仲良しなので両派はたまに衝突するのだ。

「あいつらは仲良く話しているから我らは帰るか」
「そ、そうだね・・・」
あれがどうして”仲良く話している”のか理解出来ないが、最近は毎日途中まで一緒に下校する2人だ。
転移室のある秘密の部屋の少し前で別れを告げる。
「じゃまた明日、バイバイ!」
「あぁ」
そう言って別れるのだが今日は違った。
「なぁフィドキア」
「何だ」
「ちょっと寄り道しないか?」
「構わんが」
そう言って方向転換し、いつもと違う道を歩き出したので慌てだす隠密護衛だった。







子供のフィドキア?フィドキアが子供?
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