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第8章 魔王国編
第207話 寄り道
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「なぁフィドキア」
「何だ」
「ちょっと寄り道しないか?」
「構わんが」
そう言って2人は方向転換し、いつもと違う道を歩き出したので慌てだす隠密護衛だ。
(大変だ! 護衛対象が所定の順路から外れたぞ! 本部に知らせろ!)
それはもう大慌ての護衛達だ。
後から付けていた護衛は急に振り返り自分に向って来るのだから。
前方を警戒していた護衛は別の護衛から直ぐに連絡が有り後を追い掛けた。
全体の指揮をとる者は本部の指示を仰いでいる。
たまたま、城の護衛部隊室に居合わせたエルヴィーノは知っていた。
(おっどうした? さては、あそこに行く気か?)
数日前に親子で、とある木賃宿に行って食事をしたのだ。
街中を変化してアロンソと2人で気兼ね無く歩く事の喜び。
親子2人にとっては新鮮な経験だった。
それ以降、機会を合わせて出かける様にしている。
木賃宿で主人が作ってくれた”特製”の冷たい果物ジュースと肉を焼いたモノがとても美味しかったのだ。
決してゲレミオで出てくるような洗練された料理では無い。
ワイルドと言えば聞こえは良いが、違う言い方をすれば大雑把な男の手料理だ。
見た目よりも味と量と値段を重視した物だ。
「ねぇ父さん、凄く美味しかったね。またこの店来たいなぁ」
小さな店だが喧騒の中で子供の小さな声だったが、褒め言葉は聞き逃さない強面の主人が声をかけて来た。
「嬉しい事言ってくれるなぁ。いつでも来てくれ。オメェにはタダで奢ってやるからよ」
「やったぁ! じゃ友達も連れて来て良い?」
「勿論だ。何人でも構わんぞ」
「おい、大丈夫か?」
「子供の量だ。構わん。それにもしもの時はゲレミオに付けとく」
ヤレヤレだ。
どいつもこいつも甘やかして。
城からは大分離れている街外れの木賃宿だ。
アレグリアにも同じ宿が有り経営者は同じだ。
「ガルさん、友達連れて来たよ」
「おう、来たか。この前ので良いか?」
「ウン」
「ちょっと待ってな」
フィドキアと2人でカウンターに座り待っていると、スパイシーな肉料理と”特製”の冷たい果物ジュースが運ばれて来た。
「こ、これは!」
フィドキアの鼻腔を直撃したそのスパイシーな香りだが、ガルガンダ特製の香辛料を調合した物が使われていて甘く馨しい香りと焦げ目の香ばしさが幾重にも重なった香りの多重攻撃にフィドキアの思考は我を忘れてしまった。
「さぁ食べようフィドキア」
そう言って食べ始めたアロンソもこのピリッと香辛料の効いた料理が大好きなのだ。
無言で食べる2人だが、ふと隣を見ると何も無い皿が有った。
「早っ! もう食べたの?」
「うむ、とても旨かった」
「良かった」
微笑んで残りを食べているとジッとこちらを見る視線が気になって見ると、フィドキアが肉を凝視していた。
アロンソは内心、全部食べてしまったら夕食が食べられなくなって寄り道した事がバレる可能性を考えた。
「もうお腹一杯だから、食べる?」
「いいのか?」
皿ごと動かすと一瞬で無くなった。
「食べるの早すぎじゃないか?」
「大丈夫だ」
そして”特製”を頂く。
「っかぁーこの冷たさが溜まらないよなぁ」
「ふむ、熱い肉の後に冷たい飲み物か。悪く無い」
(変わった表現方法だなぁ)と思っていたアロンソ。
「ガルさん、ご馳走様!」
「おう残さず全部喰ったな」
「美味しかったよ。友達も美味しかったって」
「そうか。またいつでも来な」
「うん。じゃね」
店を出るとフィドキアが気を使ったようだ。
「支払は良いのか?」
「うん。あのガルさんが父さんの知り合いで奢ってくれるんだ」
「そうか。しかし、旨かったな」
「フィドキアも気に入ったの? じゃまた一緒に来よう」
「良いのか?」
「勿論さ、俺達友達だろ」
俺達友達だろぉ・・・友達だろぉ・・・友達だろぉ・・・
フィドキアの脳内は何度も同じ言葉が繰り返していた。
フィドキアと別れる時に告げられた。
「明日は我が家に寄って行け」
「えっ良いの?」
「ああ」
「じゃ楽しみにしてるよ」
そう言って別れて転移部屋に向った。
その間、間諜達は大忙しだった。
何しろ友達と思われる者と2人で歩くのだが、護衛対象者が先導しているのだ。
誘導されている訳でも無く、誘拐でも無さそうで、何処で曲がるか分からず目的地も定かでない。
全員が戦慄を覚え、嫌な汗が流れたと言う。
辿り着いた場所は第二城壁近くの木賃宿エスピナだった。
その報告を聞いて「やっぱりな」と言ってしまったからアンドレアとパウリナに理由を聞かれた。
勿論母娘はこの街でもガルガンダが趣味でやっている店を知っているが訪れた事は無い。
「そんな美味しい料理が作れるなんて聞いていません」
母娘で御立腹の様子。
「じゃ今度案内しますよ」
それはもう見事に笑顔になった母娘でした。
その結果、王族や聖戦士が訪れた事が噂になり知る人ぞ知る隠れた名店になって行くのだった。
そして翌日。
「我が家はこっちだ」
そう言ってフィドキアに案内されたのは、転移室のある建物の隣だった。
一階の裏側に扉が有り開けて入る。
すると、どう見ても違和感が有った。
「あれ? ここ一階だよね」
しかし、窓から見える景色は一階では無い。
「ここは四階だ」
「ええっ! どうなってるの?」
「お前の家と同じく転移したのだ」
「マジで!? もしかして知ってたの?」
問いかけに答えず果物を用意するフィドキア。
「まぁ座れ」
椅子に腰かけて果物を食べながらフィドキアが唐突に話し出す。
「我はお前が黒龍王の息子だと知っている」
そう言われて驚いたが、アロンソはフィドキアを初めて見た時から気になっていた事が有った。
「えっ何で知ってるの? それより俺も聞きたい事が有ったんだ」
「何だ。言ってみろ」
「フィドキアって黒髪黒目だよね。父さんを知ってるならもしかして・・・」
「ダークエルフでは無い」
「本当に?」
「ああ、本当だ」
サラッと出て来たダークエルフと言う単語と否定した答えに、ちょっとがっかりしたアロンソだがフィドキアが色んな事を知っていると認識した。
「それよりもこれから話す事はお前の父親にも秘密の事だ」
ドキドキしながら聞いているアロンソ。
「お前の父親と、我の父親はとても仲良しだ」
エルヴィーノとロサの事だ。
「お前が学校へ行くので、それならば我も行く事になった」
「へぇ、そうだったんだ」
「お前の事は以前から聞かされていたが初めて会った時は緊張したぞ」
「ええっ何でさ」
「お前は父親に良く似ているからな」
「父さんに会った事が有るの?」
「ああ。だが我が学校に来てお前と友達になったのは2人だけの秘密だぞ」
「どうして?」
ニヤリと笑うフィドキア答えた。
「いつか驚かせる為だ」
「ぷっ、良いよ。でも驚くかなぁ?」
「心配は要らん。必ず驚かせる。その時が楽しみだ」
楽しそうに微笑むフィドキアを見て(他にも楽しい事有ると思うけどなぁ。変なヤツ)と思っていたアロンソ。
「ところでフィドキアはここに1人で住んでるの?」
部屋に誰も居ないから聞いて見た。
「1人の時が多いだけだ。我は父親しか居ないし、たまにしか合わないからな」
「それって、俺と同じだ」
「ああ」
姿や境遇が同じなので更に親近感を強く持ったアロンソだった。
「フィドキアの父さんだけ? 他に親戚とか居ないの?」
「居るには居るが、余り人に会いたくないらしいからな」
ラソンの事だ。
「1人で寂しく無いの?」
「以前は多少感じた事も有ったが今は無いな。今はお前が居る」
真剣な眼差しでアロンソを見るフィドキアだ。
「そうだね。俺もやっと”何でも話せる友達”が出来た気がするよ」
笑顔で返すアロンソだ。
「お前は我の事を友達と呼ぶのであれば、我は友の証しとしてこれをやろう」
そう言って手渡したのは金色の腕輪だった。
「いいよ、こんな高そうなの。貰ったら悪いし」
「言っただろう友としての証しだ」
「こんな目立つ腕輪してると誰かに何か聞かれるし、ガバガバだぜ」
アロンソの腕はまだ細く腕輪がブカブカだった。
「では、こうしよう」
腕輪を二の腕に押し上げて、赤い布で覆うように巻き付けられた。
「あっ、これだったら良いかも!」
そしてフィドキアも同じ様に赤い布を腕に巻き付けてあげた。
「アハッ御揃いだな!」
「この腕輪には様々な効果が有るが今は1つだけだ。後はお前が成人してから使える様になるだろう」
子供に龍の召喚は危険だ。
「それで何が出来るの?」
問いかけたがフィドキアは黙ったままアロンソの顔を見ていた。
すると
(・・ンソ。・ロンソ)
???
何か空耳が聞こえたような気がした。
(アロンソ、聞こえるかアロンソ!)
「えっ、声が聞こえた!」
(そうだ、聞こえているかアロンソ)
「ああ、聞こえるよフィドキア!」
(これは念話だ)
「念話!?」
(誰にも聞かれず我らだけが話す事が出来る)
「本当に?」
(そうだ。お前もやってみろ)
「ウン」
(心を静めて話したい者を思い浮かべるのだが、今は我を見て心で話しかけて見ろ)
(・・・・、フィ・・・、フィド・・、フィドキア、聞こえてるかフィドキア)
(初めてにしては上手だな。流石だ)
珍しく褒めるフィドキア。
(凄い、コレ。間諜とか意味無いね)
(そう言うな。これは特別な腕輪だからだ。一応注意する事を教えよう)
幾つかの注意事項を聞いて、特にしてはいけない事は父親に念話しない事だった。
「なんで?」
「我らは子供同士の付き合いだ。そこに相手の親が入ると面倒だろ」
「そうだね」
「それに我らの情報がお互いの親に筒抜けになると面白く無いだろぉ」
アロンソはニカッと笑い納得した。
「解かったよ。この赤い布を取らない様にする」
「それが良い」
ペンタガラマは温かい地域なので、獣人達は薄着がほとんどだ。
上着を着る者もあまりいない。
そして半袖が多い。
その後、赤い布を腕に巻き付けている2人を見て真似する子供が爆発的に増えて行った。
それが学年で色分けされたり、種族での色を二重巻きにしたり、お店の色として使われたりとペンタガラマで色んな意味を持つオシャレな布として認識され定着して行った。
☆
腕の赤い布がオシャレ!
「何だ」
「ちょっと寄り道しないか?」
「構わんが」
そう言って2人は方向転換し、いつもと違う道を歩き出したので慌てだす隠密護衛だ。
(大変だ! 護衛対象が所定の順路から外れたぞ! 本部に知らせろ!)
それはもう大慌ての護衛達だ。
後から付けていた護衛は急に振り返り自分に向って来るのだから。
前方を警戒していた護衛は別の護衛から直ぐに連絡が有り後を追い掛けた。
全体の指揮をとる者は本部の指示を仰いでいる。
たまたま、城の護衛部隊室に居合わせたエルヴィーノは知っていた。
(おっどうした? さては、あそこに行く気か?)
数日前に親子で、とある木賃宿に行って食事をしたのだ。
街中を変化してアロンソと2人で気兼ね無く歩く事の喜び。
親子2人にとっては新鮮な経験だった。
それ以降、機会を合わせて出かける様にしている。
木賃宿で主人が作ってくれた”特製”の冷たい果物ジュースと肉を焼いたモノがとても美味しかったのだ。
決してゲレミオで出てくるような洗練された料理では無い。
ワイルドと言えば聞こえは良いが、違う言い方をすれば大雑把な男の手料理だ。
見た目よりも味と量と値段を重視した物だ。
「ねぇ父さん、凄く美味しかったね。またこの店来たいなぁ」
小さな店だが喧騒の中で子供の小さな声だったが、褒め言葉は聞き逃さない強面の主人が声をかけて来た。
「嬉しい事言ってくれるなぁ。いつでも来てくれ。オメェにはタダで奢ってやるからよ」
「やったぁ! じゃ友達も連れて来て良い?」
「勿論だ。何人でも構わんぞ」
「おい、大丈夫か?」
「子供の量だ。構わん。それにもしもの時はゲレミオに付けとく」
ヤレヤレだ。
どいつもこいつも甘やかして。
城からは大分離れている街外れの木賃宿だ。
アレグリアにも同じ宿が有り経営者は同じだ。
「ガルさん、友達連れて来たよ」
「おう、来たか。この前ので良いか?」
「ウン」
「ちょっと待ってな」
フィドキアと2人でカウンターに座り待っていると、スパイシーな肉料理と”特製”の冷たい果物ジュースが運ばれて来た。
「こ、これは!」
フィドキアの鼻腔を直撃したそのスパイシーな香りだが、ガルガンダ特製の香辛料を調合した物が使われていて甘く馨しい香りと焦げ目の香ばしさが幾重にも重なった香りの多重攻撃にフィドキアの思考は我を忘れてしまった。
「さぁ食べようフィドキア」
そう言って食べ始めたアロンソもこのピリッと香辛料の効いた料理が大好きなのだ。
無言で食べる2人だが、ふと隣を見ると何も無い皿が有った。
「早っ! もう食べたの?」
「うむ、とても旨かった」
「良かった」
微笑んで残りを食べているとジッとこちらを見る視線が気になって見ると、フィドキアが肉を凝視していた。
アロンソは内心、全部食べてしまったら夕食が食べられなくなって寄り道した事がバレる可能性を考えた。
「もうお腹一杯だから、食べる?」
「いいのか?」
皿ごと動かすと一瞬で無くなった。
「食べるの早すぎじゃないか?」
「大丈夫だ」
そして”特製”を頂く。
「っかぁーこの冷たさが溜まらないよなぁ」
「ふむ、熱い肉の後に冷たい飲み物か。悪く無い」
(変わった表現方法だなぁ)と思っていたアロンソ。
「ガルさん、ご馳走様!」
「おう残さず全部喰ったな」
「美味しかったよ。友達も美味しかったって」
「そうか。またいつでも来な」
「うん。じゃね」
店を出るとフィドキアが気を使ったようだ。
「支払は良いのか?」
「うん。あのガルさんが父さんの知り合いで奢ってくれるんだ」
「そうか。しかし、旨かったな」
「フィドキアも気に入ったの? じゃまた一緒に来よう」
「良いのか?」
「勿論さ、俺達友達だろ」
俺達友達だろぉ・・・友達だろぉ・・・友達だろぉ・・・
フィドキアの脳内は何度も同じ言葉が繰り返していた。
フィドキアと別れる時に告げられた。
「明日は我が家に寄って行け」
「えっ良いの?」
「ああ」
「じゃ楽しみにしてるよ」
そう言って別れて転移部屋に向った。
その間、間諜達は大忙しだった。
何しろ友達と思われる者と2人で歩くのだが、護衛対象者が先導しているのだ。
誘導されている訳でも無く、誘拐でも無さそうで、何処で曲がるか分からず目的地も定かでない。
全員が戦慄を覚え、嫌な汗が流れたと言う。
辿り着いた場所は第二城壁近くの木賃宿エスピナだった。
その報告を聞いて「やっぱりな」と言ってしまったからアンドレアとパウリナに理由を聞かれた。
勿論母娘はこの街でもガルガンダが趣味でやっている店を知っているが訪れた事は無い。
「そんな美味しい料理が作れるなんて聞いていません」
母娘で御立腹の様子。
「じゃ今度案内しますよ」
それはもう見事に笑顔になった母娘でした。
その結果、王族や聖戦士が訪れた事が噂になり知る人ぞ知る隠れた名店になって行くのだった。
そして翌日。
「我が家はこっちだ」
そう言ってフィドキアに案内されたのは、転移室のある建物の隣だった。
一階の裏側に扉が有り開けて入る。
すると、どう見ても違和感が有った。
「あれ? ここ一階だよね」
しかし、窓から見える景色は一階では無い。
「ここは四階だ」
「ええっ! どうなってるの?」
「お前の家と同じく転移したのだ」
「マジで!? もしかして知ってたの?」
問いかけに答えず果物を用意するフィドキア。
「まぁ座れ」
椅子に腰かけて果物を食べながらフィドキアが唐突に話し出す。
「我はお前が黒龍王の息子だと知っている」
そう言われて驚いたが、アロンソはフィドキアを初めて見た時から気になっていた事が有った。
「えっ何で知ってるの? それより俺も聞きたい事が有ったんだ」
「何だ。言ってみろ」
「フィドキアって黒髪黒目だよね。父さんを知ってるならもしかして・・・」
「ダークエルフでは無い」
「本当に?」
「ああ、本当だ」
サラッと出て来たダークエルフと言う単語と否定した答えに、ちょっとがっかりしたアロンソだがフィドキアが色んな事を知っていると認識した。
「それよりもこれから話す事はお前の父親にも秘密の事だ」
ドキドキしながら聞いているアロンソ。
「お前の父親と、我の父親はとても仲良しだ」
エルヴィーノとロサの事だ。
「お前が学校へ行くので、それならば我も行く事になった」
「へぇ、そうだったんだ」
「お前の事は以前から聞かされていたが初めて会った時は緊張したぞ」
「ええっ何でさ」
「お前は父親に良く似ているからな」
「父さんに会った事が有るの?」
「ああ。だが我が学校に来てお前と友達になったのは2人だけの秘密だぞ」
「どうして?」
ニヤリと笑うフィドキア答えた。
「いつか驚かせる為だ」
「ぷっ、良いよ。でも驚くかなぁ?」
「心配は要らん。必ず驚かせる。その時が楽しみだ」
楽しそうに微笑むフィドキアを見て(他にも楽しい事有ると思うけどなぁ。変なヤツ)と思っていたアロンソ。
「ところでフィドキアはここに1人で住んでるの?」
部屋に誰も居ないから聞いて見た。
「1人の時が多いだけだ。我は父親しか居ないし、たまにしか合わないからな」
「それって、俺と同じだ」
「ああ」
姿や境遇が同じなので更に親近感を強く持ったアロンソだった。
「フィドキアの父さんだけ? 他に親戚とか居ないの?」
「居るには居るが、余り人に会いたくないらしいからな」
ラソンの事だ。
「1人で寂しく無いの?」
「以前は多少感じた事も有ったが今は無いな。今はお前が居る」
真剣な眼差しでアロンソを見るフィドキアだ。
「そうだね。俺もやっと”何でも話せる友達”が出来た気がするよ」
笑顔で返すアロンソだ。
「お前は我の事を友達と呼ぶのであれば、我は友の証しとしてこれをやろう」
そう言って手渡したのは金色の腕輪だった。
「いいよ、こんな高そうなの。貰ったら悪いし」
「言っただろう友としての証しだ」
「こんな目立つ腕輪してると誰かに何か聞かれるし、ガバガバだぜ」
アロンソの腕はまだ細く腕輪がブカブカだった。
「では、こうしよう」
腕輪を二の腕に押し上げて、赤い布で覆うように巻き付けられた。
「あっ、これだったら良いかも!」
そしてフィドキアも同じ様に赤い布を腕に巻き付けてあげた。
「アハッ御揃いだな!」
「この腕輪には様々な効果が有るが今は1つだけだ。後はお前が成人してから使える様になるだろう」
子供に龍の召喚は危険だ。
「それで何が出来るの?」
問いかけたがフィドキアは黙ったままアロンソの顔を見ていた。
すると
(・・ンソ。・ロンソ)
???
何か空耳が聞こえたような気がした。
(アロンソ、聞こえるかアロンソ!)
「えっ、声が聞こえた!」
(そうだ、聞こえているかアロンソ)
「ああ、聞こえるよフィドキア!」
(これは念話だ)
「念話!?」
(誰にも聞かれず我らだけが話す事が出来る)
「本当に?」
(そうだ。お前もやってみろ)
「ウン」
(心を静めて話したい者を思い浮かべるのだが、今は我を見て心で話しかけて見ろ)
(・・・・、フィ・・・、フィド・・、フィドキア、聞こえてるかフィドキア)
(初めてにしては上手だな。流石だ)
珍しく褒めるフィドキア。
(凄い、コレ。間諜とか意味無いね)
(そう言うな。これは特別な腕輪だからだ。一応注意する事を教えよう)
幾つかの注意事項を聞いて、特にしてはいけない事は父親に念話しない事だった。
「なんで?」
「我らは子供同士の付き合いだ。そこに相手の親が入ると面倒だろ」
「そうだね」
「それに我らの情報がお互いの親に筒抜けになると面白く無いだろぉ」
アロンソはニカッと笑い納得した。
「解かったよ。この赤い布を取らない様にする」
「それが良い」
ペンタガラマは温かい地域なので、獣人達は薄着がほとんどだ。
上着を着る者もあまりいない。
そして半袖が多い。
その後、赤い布を腕に巻き付けている2人を見て真似する子供が爆発的に増えて行った。
それが学年で色分けされたり、種族での色を二重巻きにしたり、お店の色として使われたりとペンタガラマで色んな意味を持つオシャレな布として認識され定着して行った。
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腕の赤い布がオシャレ!
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